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ほんとに欲しいもの

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1、ほんとに欲しいもの


ほんとに欲しい物は、

忘れられなくなる物。

手に入らない障害と思う物。
乗り越えようとするエネルギーを与えてくれる物だ。

それを強く感じるのはあの男と繋がりたいとおもうとき。

 私はヤキモチを焼くとひどい事になる。それもお酒が入ると酷くなる。
 酒乱だと言われるが暴力は振るわない、それより酷いと夫が言う。私は性欲が凶暴になる。
 
 それを性癖として認めてくれて発散してくれる男が目の前にいたらあなたならどうするだろうか?
 
 これは私の1人語りの打ち明け話しです。


 スマホが振動した、LINEの着信を表示してる。
 それは簡素に男から「来い」と言うだけの連絡だった。

 梅雨の合間の晴れた日だった。クライアントとの打ち合わせにいつも職場件、自宅近くのカフェテリアを使っている。いつもは自宅で作業をするのだが気さくな担当な方が来る時は近くのカフェテリアで話しをしている。着信があったのは担当の女性山田さんが、届いたカフェオレのコーヒーに、ストローを入れてミルクの混ざりあう様子に気を取られていた時だった。
 人懐っこい笑顔がかわいいし、話し声も少女っぽいこの担当の女性が爽やかに話しかけてくれる。
 「文子さんのブラウス可愛いですね。大人っぽい花柄で少しアンティークなデザインですね」
 文子は私の事だ。
 私は40半ばの建築デザイナーを個人でやってる。もう10年になるのか安定した受注を貰える様になったのは最近だ。髪を肩に届くまで伸ばしクルクルと巻き、化粧もスタイルも気にするやり手の女を演じてる。
 仕事は実績と見た目、気にかける必要がある。
 でもいまはそれどころじゃない。

 スマホを手に取りLINEを見た時、それだけで女の亀裂がジュワン震え愛液が溢れてしまった。
 クライアントとはいま席に着き話しを始めようとしたばかりなのに気にも出来ず詫びながら席を立った。
 「ごめんなさい少し時間下さいね」
 私はトイレに行って自分を慰めてあげないと気が狂いそうな気持ちになった。
 
 ずっとこの時間を待っていた。気にしない様に努めていたがこの飢えた女の身体は耐え切れて無かったようだ。    
 待っていた。その気持ちに合わせて2本の指をお股の付け根の暖かい所に沈ませた。片手で口を押さえ喉の奥から出てきそうな男の名前を手で止めて押さえた。
 股間の真珠を手のひらで押し潰し、挿入した指をかぎ型に曲げて腕事動かして前後させる。
 あっと言う間にorgasmが訪れてしまう。
 貧欲な私の女は何度も何度もと求めるのをやり過ごしながら終わらせた。
 充血した女の亀裂を無音のシャッターでスマホで撮りその写真と一緒に
 「行きます」と返信した。
 慌てて席に戻り赤い顔に気づかれながらも、うわのそらになりそうな所を頑張って話しを聞き、ポイントが理解できた頃合いを見て急用を切り出した。
 そう今から男に逢いにいく。
 下着が少し古くなった物をつけているのが気にかかる。でも、最近は毎日毎日この男の事ばかり考えて濡らすし夜も眠れない。行かないという事は思いつかない。
 以前都心に買い物に出た時もターミナル駅の車両に押し込まれ、押し付けて来る背広の男たちに囲まれた時、好きな男の使うコロンに出会ってしまった事がある。瞬間にここには居ないあの男にハグされた感覚が思い出されてみぶるいしてしまった。その背中を走る多幸感に軽くオルガズムを迎えてしまった。  
 最近は自分じゃ制御出来ない性的な興奮が日常に起こる。あの男をきっかけで起こるエクスタシィで体が動く事に怯えている。
 自宅に戻り車に乗って家族のための買い物をして男の家の近くのコインパーキングに車を停めた。
 車から降りる前に鏡で化粧を治そうと自分の顔を見たら、口紅が乱れていたのに気がついた。
 男の名前を叫んでしまいそうで押さえた口紅が口元にうっすら広がっている。
 クライアントの女性も買い物したあとのレジのお姉さんもきっと気づいているんだろう。
 家庭を持つ主婦が1人暮らしの男の部屋に行こうとしている、淫らな女な自分と口紅の広がりが似合う気がして可笑しかった。
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