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3-Love doesn't stop-

72高塚くんの愛が爆発した④

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「……大丈夫?」
「んんー、ダメージがでかい。そんなとこ聞かれてるとか信じられないし。一体、どういうタイミングなんだよ」
「まさかだよね」

 莉乃もあの場所であの時間で、同じ柱に立っているとかすごい偶然だと思う。

「…………その日、俺もりの見かけてて男と一緒とかショック受けてたけど、そんな会話まで聞かれてるとか考えもつかずあれこれ考えて嫉妬して」
「そう、なんだ」

 男って拓真くん?
 電話の時からちょっと気にしてるみたいだったのは、迎えに来てたのを見られてたのかな。

 だから、電話でも機嫌悪かったし、そういうのも高塚くんが心情を隠さなくなった理由の一つだったり?
 なんか、いろいろ自分たちにとってタイミングが悪かったというか、でもこうして話し合えるようになったのだから良かったのか。

「俺はりのがもう少し擦り寄ってきてくれたら、とろとろのどろどろにしようって思ってた。でも、まだ我慢できる範囲だったし、りのを怖がらせたくなかったから我慢するつもりではいたんだ。だけど、男といる姿見てぐちゃぐちゃになった。どうしてやろうって。親しげに名前も呼んでたし呼ばせてたし」
「…………っ」

 続く言葉に、莉乃は息を飲んだ。最後の方とか、高塚くんから漂う気配にひゅっと首筋が寒くなる。
 ああ~、ちょっとどころではなくて確実にその影響は大きかったようだ。
 そして、名前呼びをやたらと昨日から気にすると思ったら、もろにそこが原因だった。
 高塚くんの言葉は続く。
 
「ずっと、自分でも制御つかない溢れるこの思いを全て見せるには早いって。りのが逃げてしまうんじゃないかって抑えてた。ただでさえも、距離感じるのにいきなりは怖がられるかもって思ってたものが吹っ飛んで、りのがそういったことを耳にしてるとか考えもつかなかった」
「そっか……」

 徐々にのしかかるように実感する高塚くんの思いの重さ。
 今までエスコートとかスキンシップも多少行き過ぎてたけど爽やかだったからかな。なんだか、語られれば語られるほどずぅーんと重くて、それでいて甘さがじわじわと莉乃の中で疼いていく。
 ずっと心臓が忙しないのだけど、また違った意味できゅっと引きしぼられるというか、これ落ち着くことあるのかなってくらい自分で制御できない。

「あの電話はお世話になった先輩と話してたんだけど、揶揄う感じだったし言葉通りの意味じゃなくて。好きって言葉では表せないくらい、りのが欲しかった。ましてや、他人に気軽に好きとか言えるもんでもなかったし。俺の思いがわかってたまるかっていうか。そんな感じ」
「……えっ?」
「やっと休日休み取れたのに莉乃と会えなかったのとか、息抜きにと思って誘いに乗ったら勝手に女連れてきたのとかイライラしていたし」
「…………確かに、不機嫌そうではあったかな?」

 驚きはするが、なんだか今までの流れでその理由も納得できるもので。だったら、仕方がないかって。
 聞いたタイミングだったりが悪かっただけで、女性に対しての態度はどうかと思うけれど、気がないのにほいほい優しくしていたところを見てたよりは良かったと思う。
 あれっ。すっかり絆されている?

「引くよね? 愛しくて、誰にも見せたくなくて、俺だけのりのにしたくて、少しでもそういった言葉を出すと自分が止められそうになくて、そんなことしてる間に、りのに勘違いされて一度思いっきり振られた俺だけど……」
「振っただなんて」
「わかってる。告白もしてないのにって。でも、昨日は手を振り払われて一瞬心臓が止まったかと思った。連絡するなと言われて連絡できなくて、すぐにでもりのとの隔たりを払いに行きたかったけど、これ以上嫌われたらと思うと怖くて。それでいて、今日は絶対逃がさないって思ってた」
「あぁ~~~」

 もう、十分に伝わった。逃がさないって何度も言われて、説明されてよぉ
ーくわかった。
 高塚くんにすっごく好かれているってことを。
 どうしてここまで思われているとか、なんで自分なのだとかはやっぱり疑問はあるけれど、好かれているって言葉で表せないくらい愛されてるのではないかっていうことは、回される腕、吐息、言葉でもって理解した。

 その思いを疑ってはいけないくらい本気であること、他の誰かが疑っても莉乃が疑ってはいけないくらいのものだということも。
 どうしてそこまで莉乃を思ってくれるのかとかその原因はまだよくわからないけど、莉乃が悩んで一度拒絶したからか、高塚くんの愛が爆発してしまったってことを知ってしまった。

 そして、知ったからには離さないってずっと高塚くんは告げていて。
 押し込めていたものを、その蓋を開けさせた一端は自分にもあって。

 莉乃としては、ただ恋愛に悩んでいただけだ。相手の見えない気持ちに悩むなんて、誰もが経験することだろう。
 相手の行動が気になって悩んで、好きだと気付いて、心から好きと言えるように相手のことを知りたくて、信用したくて、相手の気持ちを教えて欲しい、どうしてなのかと聞いても普通なら問題ないことのはずだ。

 ただ、すれ違っている間に莉乃の思いもよらない方向に高塚くんがこじらせていて、そう問いかけた時には大変なところまで来ていた。
 つまり、高塚くんのこの状態は莉乃にも責任があるわけで。

「りの、愛してる。愛してるって言葉では表現できないくらい、りのを欲してる。だから、離れるとか連絡するなとか言わないで。ずっと俺と一緒にいて」
「……うん。私も一緒にいたい」

 熱烈な告白に、受け止めきれるかとちょっぴり心配になりながらも、受け止めたい、なにより他の誰にもあげたくないと、莉乃は頷いた。
 

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