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第二部 第五章 これから

エピローグ ステージ開放③

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「ああー、なんか、幽霊になって出てきてもやっちゃったわーって言いそう。というか、本読めなかったこと気にしそうだよね。ほんと、なにそれ」

 しばらく何もする気も起こらず、好きなゲームも放置したままだった。だけどある日、あの日に置きっ放しのそれがとても気になった。
 エリが亡くなる前に話していたゲーム。
 なんだか縁があるような気がして、放置しすぎて充電がなくなっていたがつけてみる。

「そういえば、エリザベスとエリって名前もそうだけど、ひっそりしようとするところそっくりよね」

 パッケージを改めて見る。
 ランカスター王国っていうゲームなのだが、サブタイトルに、『密やかな彼女の願いを叶え叶えず、がっつり恋の自覚を』って小さめの文字で書いてある。

 正直、タイトルとバランスを見て、意味がわからんってなった。
 ランカスター王国ということは、国がベースの話なのだとはわかる。恋の自覚で恋愛ものってこともわかる。乙女ゲームだし。
 でも、叶え叶えず? というか、恋愛レベルがどれくらいなのかタイトルからはわからなかった。

 ぶっちゃけ、そこの会社の信頼度とイラストが非常に好みだったから購入した。
 やっぱりイラストは大事。そこで世界に入り込めるかどうか変わってくるし。

 あと、ちょっとがっつりというのが気になった。
 がっつり具合はどれくらいのものなのかで、こちらのモチベーションもまた変わってくる。

 それと、パッケージの隅っこに描いてある雲。よくよく見ると、ふわふわと雲が浮いているのはいいのだが、そこにちょろっと何か出ている。
 綿あめをイメージ? それにしては太いし波打ってる?

 いやいや、普通に幻想的に雲浮かべていたらいいのに、なんでそこ変な雲?
 今まで気にならなかったのに、タイトルといい一度気になると視線がいく。

 この妙なもやもやはエリの美術の絵を見たときと同じ感覚だ。
 真剣に描いてるから、笑えるところも笑いにくい。だから余計に尾を引いて忘れられない。

 一度、気になるとあれもこれもと妙にエリのことが思い浮かぶ。
 そうなると、ゲームの中のエリザベスが気になった。

 そして、ちょっとやってみるかと思ってやってみて、見事にまたはまった。
 今のところ萌えはかなり少ない。でも、気になる。
 エリザベスは何回やっても逃げまくるし、戦地に行って薬が爆発して頭を打って終わりって本当に意味わからん。

「その薬、エリザベスが作ったんじゃないの? いや、でもその横にいた青年が悪いのか。ああー、また始めからかぁ」

 頭を打って倒れるエリザベスを見て、こっちもごちって頭を打ちたくなる。
 悔しくて文句が止まらない。

「ちょっ、エリザベスが逃げちゃったじゃない。マリアは愛が重すぎるわぁ。前にゲームしていた時はここまでシスコンなんて思わなかったし。どうしてそんなに重いの?」

 ヒロインと絡ませるのにどちらがいいのか悩み、やっぱり姉妹のほうがいいかとマリアのターンからやりこんで、一生懸命妹であるエリザベスと絡めてみるのだが思った以上に難しかった。
 最初の頃なんて、全く恋愛ゲームではないかったからね。

 マリアは非常にモテるけどどうせ誰ともくっつかないし、今回はエリザベスと絡めると決めているからマリアの恋愛は進展しない。
 つまり現在、姉妹愛育成ゲームかと疑うくらい二人を絡めるのに必死だ。

「あと、エリザベス。ちょっとうっかりすぎない? そして、どうしてあっちこっちいろいろやらかすの。あっ、お母様が怒った」

 文句は出るがやっていくうちに愛着が湧く。
 うっかり具合とか、ひっそりしようとか、意外と能力があるエリザベスにエリの姿も重なるしで、早希はエリザベスの環境を整えるために必死になった。
 次第にマリアの絡め方もわかってきて、最善の形でエリザベスのルートを解放するのに緻密な計算をして、エリザベス自身の能力も底上げることに成功する。

「やったぁー! 王子全員絡みも成功。頑張ったわぁ。マリア、癖ありすぎたしやっぱ愛重いし。でも、あとはエリザベス次第だよねー。やっと、ここから乙女ゲームかぁ。うーん本当に?」

 不安に首を傾げる。
 正直不信感はまだあるけれど、変な形ではまっている自覚がある。
 王子とくっつけることは前提だけど、別に隠しキャラがよければそれでもいいけれど、どっちかというとエリザベスがエリザベスらしくどう進むのか見たい。

 だって、どうしても考えてしまう。
 うっかりとか、ひっそりとか、あと絵心ないところが妙にエリと重なって、最近流行りの転生で、エリザベスの中にエリがいてもおかしくないのではないかと。
 
「ま、非現実的だけど」

 エリがいなくなって悲しいし寂しい。
 けれど、エリは天国でも新たなに生まれ変わっていてもエリらしく過ごしてそうだし、私は私でここで生きていくしかない。

「なんか、エリザベスの幸せを最後まで見ないと落ち着かないんだよね。なんだろうなぁ。もう、私とエリのためにもエリザベス頑張りなさいよー!」

 相川早希は親友の死を悼みつつ、今日も今日とてうっかり虜になってしまったちょっと変わったゲームに勤しむのであった。



第二部 彼女のこっそり行動はしっかりフラグを踏みしめる 完


✽.。.:*·゚ ✽.。.:*·゚ ✽.。.:*·゚ ✽.。.:*·゚ ✽.

ここまでお付き合いありがとうございます。 (੭ु ›ω‹ )੭ु⁾⁾♡
いいねにエールも本当に感謝です!

-NEXT 閑話 sideマリア 愛しのエリー。
こちらでなぜそこまで重度のシスコンになったのかも少し見える話です!

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