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第四章(下)
戦いを終わらせよう!
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前回のあらすじ、大剣が刺さる。
「こんなあ... 事で... ん... こんな子供騙しみたいな手で... 」
市場につながる路地にて、長髪の魔物は上半身だけになり、断面から赤黒い霧のようなものが溢れだしていながらも、虚ろな目で大剣持ちの少女の影まで這おうとする。
そんな魔物の様子とは対照的に、大剣持ちの少女はがっしりと腰に手を当て、空いた手で魔物を指差す。
「リリーは... スズは... メイはどうした?てめえはメイを人質に取ったとリリーが言っていたよな?人間を操ったり人間を人質に取りやがって... てめえは絶対に許さねえ!」
「俺が人間の本質なんだ... 人間の魂である俺が... 魔王様のため、人間を操るため... 負の感情を持つ魂から生まれた俺が... 」
魔物の指先が影に触れるまで数十センチといったところ、魔物目の前には火がついた木材が投げられる。
そのまばゆい灯りは彼女の影を照らし... 魔物の目を見開かせる。
「タイランお嬢様、影に触れられないよううお気をつけください」
「あん?影だ?」
それでも執念深く魔物は這い続け、うっすらと浮かぶ少女の影に触れようとする。
だがそれも防ぐよう、魔物の目の前に今度は杖持ちの少女が立つ。
「に、人間を完璧に模倣しているはずですが、凄まじい生命力です。それほどまでに重い感情なのでしょうか?出来れば魔王の話を聞きたいのですが... 」
「邪魔を... するな... 王族なんて... 」
「お、お聞かせ願えますか?」
魔物が睨むも、少女はピクリとも表情を変えず、ただ単々と質問を投げつける。
「王族に... !魔王様の持つ憎悪の感情なぞ理解出来るはずもない!」
魔物が少女に指を差した瞬間、魔物の後ろに転がっていた大剣がひとりでに浮き上がる。
「スズ!俺の剣が!」
そしてその剣は勢いよく少女目掛けて飛んでいくが...
杖持ちの少女はびくりとも動かない。
剣先が当たる寸前、剣は空中で停止し... 力無く落ちる。
よく見ると、魔物の頭からは霧のような物が吹き出し、崩れ落ちていっているのが分かる。
少女の手からは赤黒い霧のような物が発散しており... 気付けば魔物の影も形も無くなっていた。
そのままそよ風が吹くと、霧のような物はどこかへと飛んでいってしまう。
「おう!やったかスズ!」
「... いえ」
暗い夜空に浮かんでいく霧は、戦いの終わりを意味していた。だが杖持ちの少女はどこか浮かない顔をしているようで...
「あの魔物は自害を選びました。魔王の情報を少しでも抜かれるくらいならと、私にとどめを刺させたんです」
「あ?勝ちは勝ちだろ。なに言ってんだ?」
「それに王族に対する並みならぬ嫌悪... 少し気になりますね」
「あん?また物語でも追っているのか」
その言葉に、杖持ちの少女は少し困ったような笑みを返す。
「そんな事よりメイの治療だぜ。リリーはどうなっているんだ?」
「は、はい。それでは失礼しま... 」
言いかけた瞬間、市場の通りから聞こえてくるのは若い男の声で...
「うおおおぉぉぉっっ!!そっちはどうなっているんだスズ!」
現れたのは、胸の辺りを血まみれにし、呼吸を激しく乱しながら駆け寄ってくる黒髪の男だ。
しんと静まりかえる周囲に漂うのは遠くから聞こえる衛兵たちの声と、焚き火がパチパチと弾ける音で... 男の必死な形相とは真反対な状況に、その顔はみるみるうちにゆるんでいき...
「もしかして... もう終わった?」
その男の質問に、三人の少女はそれぞれ無言の頷きで肯定する。
「こんなあ... 事で... ん... こんな子供騙しみたいな手で... 」
市場につながる路地にて、長髪の魔物は上半身だけになり、断面から赤黒い霧のようなものが溢れだしていながらも、虚ろな目で大剣持ちの少女の影まで這おうとする。
そんな魔物の様子とは対照的に、大剣持ちの少女はがっしりと腰に手を当て、空いた手で魔物を指差す。
「リリーは... スズは... メイはどうした?てめえはメイを人質に取ったとリリーが言っていたよな?人間を操ったり人間を人質に取りやがって... てめえは絶対に許さねえ!」
「俺が人間の本質なんだ... 人間の魂である俺が... 魔王様のため、人間を操るため... 負の感情を持つ魂から生まれた俺が... 」
魔物の指先が影に触れるまで数十センチといったところ、魔物目の前には火がついた木材が投げられる。
そのまばゆい灯りは彼女の影を照らし... 魔物の目を見開かせる。
「タイランお嬢様、影に触れられないよううお気をつけください」
「あん?影だ?」
それでも執念深く魔物は這い続け、うっすらと浮かぶ少女の影に触れようとする。
だがそれも防ぐよう、魔物の目の前に今度は杖持ちの少女が立つ。
「に、人間を完璧に模倣しているはずですが、凄まじい生命力です。それほどまでに重い感情なのでしょうか?出来れば魔王の話を聞きたいのですが... 」
「邪魔を... するな... 王族なんて... 」
「お、お聞かせ願えますか?」
魔物が睨むも、少女はピクリとも表情を変えず、ただ単々と質問を投げつける。
「王族に... !魔王様の持つ憎悪の感情なぞ理解出来るはずもない!」
魔物が少女に指を差した瞬間、魔物の後ろに転がっていた大剣がひとりでに浮き上がる。
「スズ!俺の剣が!」
そしてその剣は勢いよく少女目掛けて飛んでいくが...
杖持ちの少女はびくりとも動かない。
剣先が当たる寸前、剣は空中で停止し... 力無く落ちる。
よく見ると、魔物の頭からは霧のような物が吹き出し、崩れ落ちていっているのが分かる。
少女の手からは赤黒い霧のような物が発散しており... 気付けば魔物の影も形も無くなっていた。
そのままそよ風が吹くと、霧のような物はどこかへと飛んでいってしまう。
「おう!やったかスズ!」
「... いえ」
暗い夜空に浮かんでいく霧は、戦いの終わりを意味していた。だが杖持ちの少女はどこか浮かない顔をしているようで...
「あの魔物は自害を選びました。魔王の情報を少しでも抜かれるくらいならと、私にとどめを刺させたんです」
「あ?勝ちは勝ちだろ。なに言ってんだ?」
「それに王族に対する並みならぬ嫌悪... 少し気になりますね」
「あん?また物語でも追っているのか」
その言葉に、杖持ちの少女は少し困ったような笑みを返す。
「そんな事よりメイの治療だぜ。リリーはどうなっているんだ?」
「は、はい。それでは失礼しま... 」
言いかけた瞬間、市場の通りから聞こえてくるのは若い男の声で...
「うおおおぉぉぉっっ!!そっちはどうなっているんだスズ!」
現れたのは、胸の辺りを血まみれにし、呼吸を激しく乱しながら駆け寄ってくる黒髪の男だ。
しんと静まりかえる周囲に漂うのは遠くから聞こえる衛兵たちの声と、焚き火がパチパチと弾ける音で... 男の必死な形相とは真反対な状況に、その顔はみるみるうちにゆるんでいき...
「もしかして... もう終わった?」
その男の質問に、三人の少女はそれぞれ無言の頷きで肯定する。
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