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三章
魚類
しおりを挟むお久しぶりです!
1日?早いですが投稿します(*^^*)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「留学生?」
「はい」
そう返事をすると流石に父は、難色を示した
かなり微妙な顔だ
「お前も知っていると思うが先代皇帝が皇太子の際に他国の王族を斬り倒す騒ぎを起こして、今はほとんど留学する学生はいない」
「存じ上げております」
「それも王族とは………」
「王族でなくてはなりません」
考える隙を与えぬように直ぐさま答える
「…………エピスィミアの貴族ではいかんのか」
父の意見は的を得ていた
国の発展のために留学生をわざわざ王族する理由はない
だが、あのことについてより知るためには絶対に王族を迎えてもらわなくては
だが父もいくら人に左右されやすいとはいえ、後先考えぬ程愚かでない
他国との交流は必須であると考えているだろうが、理解出来ないものには許可は出さない
だからこそ、何か真っ当な理由を提示する必要がある
「…エピスィミアは、歴史ある国です。そんな国の王族が留学してこれば……
きっと、我が国に対する恐れも薄まるでしょう
…それに彼らとは昔から接点があるとはいえ、こちらに招いた事はありません。
我が国の発展を見せつけ、牽制することも出来ましょう」
「うむ…………確かにな」
父は、納得したようだ
ハテサルは戦争ばかりしてきた国であるため周辺国から怖がられている
流石にこのままでは良くないと思ったのだろう
「すぐに通達を送ろう」
「どういうおつもりで?」
謁見からの帰り
側近は、訳が分からないといった様子で尋ねてきた
何故王族に固執するのかが分からないのだろう
「…スキアはエピスィミアの王によって滅ぼされた」
そう言って歩調は変えず、視線を隣に向ける
まだ若い書記官である男は、少し怯えながらこちらを見据えていた
その現状に少しばかり驚く
普段、人と会話する際には大体の者が恐怖からか目を合わせようとしない
こうして目を合わせて話すのは久しぶりだ
……この書記官は少しでも多くのことを知り、経験を積みたいのだろう
普段なら聞かれたところでスルーしているが、向こうは真剣なのだからこちらも誠意を返さなくてはならない
「……1番事情を知っているのは王だろう。…だが流石に当事者が、簡単に口を割るはずがない。」
「あぁ、子供を人質にして口を割らせるのですか?」
確かに招くのは王子か王女のどちらかだが、何故急に人質の話が出てきたのか
「……子供は関係ないだろう」
「えぇっ……?!」
そんなに驚かれても困る
「……………私をなんだと思っている」
意外に失礼な事を言う男だ
最近あまり人と話していなかったせいで忘れていたが、周りの者は皆、自分を鬼畜人間だと思っているらしい
普段から温情を与えているつもりはないが、かといって関係のない者に害を与えようなどとは考えていない
無意味であり、効率も悪い
そんなことをしているくらいなら、リリを探すか、次の侵略の計画でも練っている方が余程有意義だ
確かに王族を人質にすれば、リリやスキアについての情報が得られるかもしれないが、親がやった不始末を子供が負う必要も無い
………………以前なら…人質にする考えも一つの手として視野に入れていたかもしれない
だが、こうして彼女に会えるかもしれないならば会えた時失望されぬように、前々から心を構えておくべきだ
逃げられては今まで探してきた意味が無い
「……ただ情報を聞き出すだけだ。
………………たとえスキアについて詳しく知らなくとも噂話位なら聞いたことがあるだろう」
「なるほど……」
いつもより遥かに丁寧な説明でようやく理解できたようだ
「…こちらの情報量よりは、沢山のことを知っているのは間違いない」
自分で言っておいて、その状況に溜息が出る
こちらがスキア襲撃について知っていることは限りなく少ない
命令を出したのは王であること
村人は全員粛清するように命じたこと
たったこれだけだ
情報が少なすぎる
第1段階にすら立てていない
もしかしたら、今もまだ逃亡する日々を送っているやもしれないというのに
「確か、表沙汰にならないようにしているのですよね?たとえ知っていても、父親の事を簡単に他国の者に教えて頂けるでしょうか?」
「だから調べる」
「どうやって調べるのですか?」
何回も同じ質問してくる側近に、ため息をつく
「……言っただろう。聞くだけだ。」
これ以外に何か方法があるとでも言うのか
この書記官にはもう少し理解力を譲って欲しいものだ
教育係に命じておくべきか…
そう考えながら窓の外を見る
外には活気のある街が広がっていた
ようやく見つけた、生きている意味
待っていてくれ
リリ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「お前が…皇子が……何故その村について知っている?」
時は経って、ジークフリートの部屋にて
「…特に深い意味は無い。以前、スキアについて話している者がいて興味が湧いただけだ」
(あの村について聞かれるとは思ってなかったわ…)
リリアーヌは、猫がねずみ捕りに引っかかってネズミに食べられるミラクルが起こった時ぐらい驚いていた
ハテサルでは王女のメンタルを殴りにかかってくる出来事が多すぎる
まずは、バナナ
空腹の時に突然の攻撃
世の中の食物を全て愛する彼女にとって心が折れそうになる出来事であった
次に、テスト
世の中にある負のエネルギーをひとつにまとめたようなあの存在
命がかかっている彼女にとって、今1番不必要だと感じるものだ
最後は、なんと言っても、この皇子
最初は話すどころか目も合わせようとしなかった。
のにも関わらず、こうして聞きたいことがあったら素直に答えろと無表情で圧力をかけてくる
舐めているのか
いくら大国の、皇帝の、第1の、皇子とはいえ
舐めてんのか
普段の自分なら何も言わずに即アッパーカットをきめている
だが、ここでそんなことをしたら即処刑場行き一択だ
運良く処刑されなくとも、弟に襲撃される
まさかイアンという名を借りるだけでこんな弊害が待っていたとは思いもしなかった
勉強面だけで十分だ
メンタルダイヤモンドの王女も、流石にドリルのような怒涛の攻撃をしてくる出来事が連続で襲いかかってきたら敵わない
こんなよく分からない状況下で男装しながらさよならするなんてこんな悲しい話はないだろう
リリアーヌは、まだここに来て1週間も経っていなかった
(せっかくあのクソ野郎共から避難できたのに…)
リリアーヌは頭の中で愚痴を漏らす
こうして最悪の結末を避けるべく
脳内で色々と考えた結果、王女はひとつの言い訳をすることに至る
「あー……たしかぁ、スキアはぁバナナでぇ…有名だったようなぁ?」
リリアーヌ史上、最大の考えを出したつもりであった
特産品を答える
良くも悪くもない回答
是とも非ともとれぬ回答
別に相手は何が聞きたいなどと指定してこなかったからァね…というひん曲がった思考回路
だが…
「………………かなり目が泳いでいるが」
ジークフリートから見て、今のリリアーヌはただの不審者でしかない
明らかに何か知っているのが丸わかりだった
答えを言っているようなものだ
本当なら、何も知らないと言って即座に部屋から逃走しているところではあるが、既に過剰な反応をしてしまっているため不可能である
ここで逃げたらそれこそ後ろめたいことがあるのだと思われる
リリアーヌは小さい脳みそをフル回転させていた
普段、暴言と暴力で何事も解決する彼女にとって複雑な考え方などほとんどいらない
だがテストでも分かる通り、決して彼女は馬鹿だという訳では無い
弟であるイアンもそれを分かっていて留学を許したのだ
勉強は一応できるが、考え方は馬鹿。
脳筋だし、アホ。
悲しい話である
ーー
彼女の問題をあげると
ーー暴言と暴力で何でも解決☆とりあえず攻撃しときゃ、解決間違いなし
といった基礎知識のせいで重要な所に頭が働かないところである
「前世、魚だったんだよね。だからじゃない?」
「…………ふざければ何でも解決できるとでも思っているのか…?」
そのため、頭が回ってないおかげで大国の皇子が怖いだとかそんな考えには至らなかった
ある意味助かったと言えよう
「…今日はもう帰れ」
ジークフリートは、この先この男から情報を聞き出さねばならない事実に頭を抱えた
(………頭痛がする)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
皇子と書記官その後…
皇子が心の中で決意表明をしていると、隣に立つ側近はとんでもない事実に気づいたとでも言うような険しい顔をしていた
「はっ・・・皇子が聞くってことは…拷問をするという意味ですよね?」
?
「あの夏国の極寒の地と例えられる方ですもんね!!」
「………………聞くだけだと言っているのに何故、拷問することになるんだ?」
「いやー、大胆だ」
「…ちが」
「じゃあ、直ぐに取り掛れるように準備しときます!
ハサミとか要りますもんね!」
「ハサミ…」
何故自分の周りには話を聞かない者が多いのか
……………………疲れる
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
もう既に終わりそうな雰囲気ですけどまだまだ続きます
段々リリアーヌの本性が出てきますので…
あと、一応この物語は恋愛物語です
(今のところ全くドキドキのどの字さえ出てきてませんが…)
しばしお待ちを
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