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二章
超常現象と残像
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「おぉぉぉ」
国境内に入り、約2週間
リリアーヌ一行は、首都ブライスに来ていた
「戦争をやってきた国なのに意外と活気があるな」
「まぁ及第点です、イアン様」
「おうよ」
「ん?」
「ありがとう」
「違和感しか感じないです」
「理不尽」
侍女の言葉にため息をつき、窓の外を見る
戦争なんてものを微塵も感じさせない様子の街が広がっていたーーーーー
(いくら戦争で成長した国とはいえ、ここまで豊かなのは何故?)
「イアン様!!!学園が見えてきましたよ!」
珍しくリリアーヌが黙り込んでいると、レイラが興奮しているのか思いっきり叩いて主人に主張する
1馬力ぐらいの強さで
その細い腕のどこからそんな力が湧き上がってくるのだろう
人間って不思議だ
ズキズキと悲鳴をあげる肩をさすり、侍女が指を指す方向に目を向ける
そこには、祖国にある学園より何十倍も大きい建物がそびえ立っていた
「…城?」
「これから通われる学園ですよ?」
人生とは、数々の驚きで満ち溢れたものだ
人間は、そんな沢山の出来事に笑い、焦り、気絶するのだ
しかしリリアーヌは、メンタルがダイヤモンドなのである。
ほとんどのことには動揺しない。むしろ楽しんでいる程だ
だがこの巨大な学園は、これから周りを騙していかなければならない彼女に絶大なストレスを容赦なく与えた
初めての動揺
焦るリリアーヌ
震えて残像が残る
突然の超常現象に、驚く侍女
姿が確認できた時には彼女に意識はなかった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「んー……」
「あ、イアン様大丈夫ですか?」
聞き慣れた声が聞こえてきて目を開ける
見慣れない部屋が広がっている
「どこ?」
「宿ですよ。予定よりも3日早く着きましたから。学園には寮があるみたいですけど、まだ手続きもしてませんからね…。あ、ここの貴族や王族の方が愛用されている有名な宿ですから大丈夫ですよ」
「…あの宿には2度と泊まりたくないわ」
「あれは、宿だったんでしょうか…」
リリアーヌとレイラの言うあの宿とは、ハテサルに来る道中に泊まった民間の宿である
部屋が狭いだけでなくとても汚れており、蜘蛛の巣があちこちに張られている、それはもう酷い宿だった
おまけに壁が薄く隣から大声が聞こえてくる始末
一国の王女が泊まるような場所ではない
だが、大雨に遭いこれ以上進めなかったので渋々泊まることを決定したのである
リリアーヌは他の兄妹に比べこだわりはほとんどないが流石に許容範囲外だった
「いっその事、お化け屋敷にすればいいのよ。そうすればお客が入るわ」
「店を畳んだ方がいいです。あそこの店主に商売は向いてません」
国境内に入り、約2週間
リリアーヌ一行は、首都ブライスに来ていた
「戦争をやってきた国なのに意外と活気があるな」
「まぁ及第点です、イアン様」
「おうよ」
「ん?」
「ありがとう」
「違和感しか感じないです」
「理不尽」
侍女の言葉にため息をつき、窓の外を見る
戦争なんてものを微塵も感じさせない様子の街が広がっていたーーーーー
(いくら戦争で成長した国とはいえ、ここまで豊かなのは何故?)
「イアン様!!!学園が見えてきましたよ!」
珍しくリリアーヌが黙り込んでいると、レイラが興奮しているのか思いっきり叩いて主人に主張する
1馬力ぐらいの強さで
その細い腕のどこからそんな力が湧き上がってくるのだろう
人間って不思議だ
ズキズキと悲鳴をあげる肩をさすり、侍女が指を指す方向に目を向ける
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「…城?」
「これから通われる学園ですよ?」
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人間は、そんな沢山の出来事に笑い、焦り、気絶するのだ
しかしリリアーヌは、メンタルがダイヤモンドなのである。
ほとんどのことには動揺しない。むしろ楽しんでいる程だ
だがこの巨大な学園は、これから周りを騙していかなければならない彼女に絶大なストレスを容赦なく与えた
初めての動揺
焦るリリアーヌ
震えて残像が残る
突然の超常現象に、驚く侍女
姿が確認できた時には彼女に意識はなかった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「んー……」
「あ、イアン様大丈夫ですか?」
聞き慣れた声が聞こえてきて目を開ける
見慣れない部屋が広がっている
「どこ?」
「宿ですよ。予定よりも3日早く着きましたから。学園には寮があるみたいですけど、まだ手続きもしてませんからね…。あ、ここの貴族や王族の方が愛用されている有名な宿ですから大丈夫ですよ」
「…あの宿には2度と泊まりたくないわ」
「あれは、宿だったんでしょうか…」
リリアーヌとレイラの言うあの宿とは、ハテサルに来る道中に泊まった民間の宿である
部屋が狭いだけでなくとても汚れており、蜘蛛の巣があちこちに張られている、それはもう酷い宿だった
おまけに壁が薄く隣から大声が聞こえてくる始末
一国の王女が泊まるような場所ではない
だが、大雨に遭いこれ以上進めなかったので渋々泊まることを決定したのである
リリアーヌは他の兄妹に比べこだわりはほとんどないが流石に許容範囲外だった
「いっその事、お化け屋敷にすればいいのよ。そうすればお客が入るわ」
「店を畳んだ方がいいです。あそこの店主に商売は向いてません」
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