鷹の翼

那月

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新選組

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「無視、されても……俺に触れる、こともできずにボロボロに打ち負けても、お前は諦めなかった。それが……面白い、と思った」

「ほんっと、あんたっていつも手加減してくれるっすよね。俺様はあんたより弱い。才もない。けどな、これでも新選組の監察方を取りまとめる長としての誇りと責任があるんすよ」

「強い。諦めの悪さも、高望みも、よくキレて吠えるのも、がむしゃらでまっすぐなところも、高遠によく似ている」

「なぜここで高遠が出てきた!?あと、付け加えるなら自分のことを“俺様”って言うのも同じっすよ!?」

「そういう、本当は真面目なところも似ている。1番似ているのは。目的を達成するためなら失敗を恐れず、振り返って、失敗した原因を追究。成功につなげるところ」

 高遠は黒鷹に勝つことを最終の目標にしている。そのために黒鷹のことを事細かく調べている。その途中で、彼の病のことを知った。

 倒したい相手のことを知り、戦い方を考慮し、心身ともに鍛えてと目的を達成するためなら努力を惜しまない。

 その結果、挑戦を重ねるたびに“慣れ”てきて達成までの距離が縮まる。山崎も同じなのだ。だから山崎はこの戦いで鳶の動きについて来れているし、攻撃も鳶をとらえている。

 山崎もまた鳶のことをとても詳しく調べてきた。天才忍者としての鳶のこと、そして鷹の翼の鳶のこと、雪を愛する鳶のこと。

 1度、雪を人質にと考え実践に移したことがある。失敗に終わった。まず、いつも鳶がそばにいる。わずかな隙を突いて襲うも、あの怪力だ。あとは言わなくともわかるだろう。

「忍は自己犠牲が当たり前だろう?どんな任務も、命を懸ける。この戦いだってそうっす」

「…………あぁ。いつからか。お前が俺に、襲いかかってくる時を、楽しみに待っているようになった。今まで相手をしてきた忍達とは違う、お前との戦いは楽しい。だから、俺は…………お前が好きだ」

「いや『だから』じゃねーっすよ、全然。そりゃあ俺様もあんたとの戦いはイライラするけど楽しいっす。倒し甲斐がある好敵手って認めてるんす」

 山崎のあまりにも熱すぎる熱意に、しつこさに鳶まで燃えてしまった。

 お互いをよく知り認め合っているからこそ、楽しさと寂しさが入り混じる。胸の内で渦巻いて、2人の心を強く締め付ける。

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