鷹の翼

那月

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新選組

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 さきほど対峙した時、鳶は感じた。山崎の緑色の瞳にも炎がある。ゴウゴウと燃え盛っている、緑色の炎。

 鳶はさらに着地せず木の幹を蹴って隣の木に飛び移るまでに手裏剣を投げつけ、かつ鉤縄を投げて別の木にひっかけてみせた。

 重さがないのか?そう思えるほど軽々と、縄を引っ張るだけで鳶の体が跳ね上がり高い枝に着地。

 瞬間、鳶の足元が爆ぜた。カッ!と目も開けられないほど眩しい閃光が放たれ、寸の間遅れてドガァンッ!と爆発。

 人間とは思えない素晴らしい反射神経で枝から飛び降り避難しようとして、空中でまた爆ぜた。

「く、うっ!」

 これにはさすがに驚き避けることもできず、頭を守るようにグッと体を縮めて耐える。落ちていく。

 連鎖するように空中で、体が触れた枝で次々と爆ぜて鳶の体を傷つけていく。一体どこに爆弾が?

 鳶は見た。落下しながら、見上げる木々の間に張り巡らせた細い細い糸のようなものを。まるで蜘蛛の巣のような糸に、枝にいくつもの起爆札がくっついているのを。

「今までの俺様だと思うなよ?最初で最後っす、俺様の本当の武器を披露してやるっすからその体で味わいやがれぇッ!」

 鳶は空中でクナイを構えた。体のあちこちに軽いやけどを負ったが大したことはない。しかしまだ起爆札は仕掛けられているし、地上では山崎が目を光らせている。

 逆さまに落下する彼を映す緑色の瞳は爛々と輝き、いまだかつて鳶との戦闘で使うことのなかった武器を手に腰を低く落とした。

 手に持っているのは、彼の身長よりも長いまっすぐな棒。山崎は忍でありながら小太刀やクナイではなく、この棒術に長けている。

 突くか打つか、その瞬間を見定める。どんどん近づいてくる鳶はクナイを構えてはいるがまだ攻撃してこないし受け身を取らない。

 もうすぐ手が届く。もうあと少しで鳶の攻撃範囲内に入るのに、動きがなくて山崎も攻撃できない。

 このままでは睨み合いだけで鳶が地面に撃墜してしまう。というか山崎に激突する。そう思い焦りがにじんだその瞬間、鳶の右手が動いた。

 動いたのはクナイを持っている左手ではなく、何も持っていない右手。空中で何かをつかみ、グイッと引っ張る動作が見えたかと思えば山崎の右肩にクナイを突き刺す。

 動けなかった。クナイを、見ていなかった。

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