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出遭う
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しおりを挟む久しぶりに見た弟の顔の右側が、火傷でいびつにただれていたのだ。右目も、まぶたが溶けてくっついてしまっていて2度と開くことはない。
ドクンッ!と大きく心臓が脈打ち、体の真ん中から隅々まで何か熱いモノが駆け巡っていった。
体の隅々まで駆け巡った熱いモノは体の真ん中に集結。グルグル渦巻いて、まるで溶岩のように熱くドロドロして留まっている。熱い。熱い。この感情は何だ?
一体誰がこんな酷いことを?なぜ?白鴇が悪い子とは?焦った。驚いた。恐怖した。悲しんだ。憐れんだ。相手に怒りを感じた。
忘れていた本物の感情が黒鷹の心に戻り、逃げようとした白鴇の手をつかんだ。そのまま引っ張り、両腕の中に捕まえる。ギュッと抱きしめた。
「痛いっ!……あ、ご、ごめんなさい……なんでもない、です」
まるで雷に打たれたかのように細い体が大きく跳ねたので、もしやと思って体を離し白鴇の着物を下ろす。
「これ、は…………母様と父様にやられたのか?なんで、僕はもうされなくなったのに……」
月明かりに照らされた白鴇の体は、アザと火傷と切り傷で埋め尽くされていた。そのどれもが最近のもので、古傷の上に重なって血がにじんでいるところもある。
顔を背けギュッと口を閉ざしたあたり、日常的に両親から虐待を受けているのは間違いない。
白鴇もまた、黒鷹と同じように幼い頃から大変厳しく育てられてきた。もしも黒鷹の身に何かが起こって長になれなかった時のための替わりとして。
だが黒鷹が才能を開花させたのがあまりにも早かったため、白鴇は比べられるようになった。
黒鷹はあんなにも頭がいいのに、黒鷹はあんなにも強いのに、なぜ双子のお前はそんなにも劣っているのかと。
劣っているのは不真面目だから。劣っているのは努力が足りないから。真面目にいうことを聞かないと罰を与える。努力しない悪い子は飯抜きだ。
そんな毎日が、その日までずっと続いていたのだという。そしてたった一言、白鴇が「兄さんとは違う、僕は僕だ」と呟いた言葉でキレた父親に顔に熱湯かけられた。
白鴇は決して不真面目だったわけでも努力をしていなかったわけではない。むしろ兄のようになりたいと懸命に努力を重ねてきた。
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