189 / 386
最強を求めて
7P
しおりを挟む勝負を挑んで勝てば鼻高々、超ご機嫌に町で手当たり次第に喧嘩を吹っ掛ける。まるで自分の力を見せつけるように、喧嘩して派手に騒いでは最終的に勝てない相手にぶつかってボコボコにされるか新選組に叩かれる。
勝負を挑んで負ければ腹いせに町で暴れて、やっぱり手当たり次第に喧嘩を吹っ掛ける。以下同文。
鷹の翼に入る前から高遠は「暴れ馬の高遠」で有名だった。殺しや盗みはしないが、たまに新選組の監視がつくほどに超迷惑な人物。
起きている時間のほとんどを喧嘩が占めるような喧嘩好きというか何というのか。要するに、喧嘩バカ。
そして、彼が言うように町での喧嘩にも飽きて夜鷹に勝負を挑んだある日。鷹の翼の屋敷の門を蹴り飛ばし、まず、駆けつけた和鷹に負けた。
次に、和鷹に組み敷かれているところにやってきた夜鷹にくっついていた黒鷹に飛びかかるも完敗。
指やあばらの骨くらいは折れていたかもしれない。全身に怪我を負って歩くのもままならない高遠は、それでもなお夜鷹に勝負を挑んだ。
その諦めの悪さと根性を面白いと思った夜鷹は、一切の手加減もなく一瞬でカタをつけた。
手を抜いて長引かせば怪我が増えて高遠を苦しめることになると、同情したのかもしれない。それはもう目で捕えることのできないほどの素早さ。
一瞬で姿が消えたかと思えば刀を構えた高遠の後ろで、いつの間にか抜いていた刀を鞘に納める夜鷹。目にも留まらぬ速さで一撃を食らった高遠はそこで完全に伸びて気絶。
屋敷の物置部屋――今の小紅の部屋――に放り込まれていた高遠は目を覚ますと、性懲りもなく朝っぱらから再び夜鷹を襲撃。
まぁ、どうなったのかは言うまでもない。それを何日も繰り返し、夜鷹は気づいた。
最初にやってきた日よりも夜鷹の動きを目で追うことができているし、夜鷹からの攻撃も受け止めかけている。確実に強くなっていると。
伊達に毎日、バカみたいに喧嘩なんかしていない。高遠はこれでも喧嘩でしっかり成長しているのだ。まだまだ強くなる。
和鷹が、黒鷹が、夜鷹が手加減なしで相手をすれば、いずれは順番に負かされるほどに強くなる。
夜鷹の直感がそう言った。高遠の成長には果てがないと。彼が強さを求める限り、精神が壊れない限り、彼は肉体の限界を超えてでも成長し続けるのだと。
震えた。そして決心した。高遠を、鷹の翼に引き入れようと。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
武蔵要塞1945 ~ 戦艦武蔵あらため第34特別根拠地隊、沖縄の地で斯く戦えり
もろこし
歴史・時代
史実ではレイテ湾に向かう途上で沈んだ戦艦武蔵ですが、本作ではからくも生き残り、最終的に沖縄の海岸に座礁します。
海軍からは見捨てられた武蔵でしたが、戦力不足に悩む現地陸軍と手を握り沖縄防衛の中核となります。
無敵の要塞と化した武蔵は沖縄に来襲する連合軍を次々と撃破。その活躍は連合国の戦争計画を徐々に狂わせていきます。
徳川慶勝、黒船を討つ
克全
歴史・時代
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
尾張徳川家(尾張藩)の第14代・第17代当主の徳川慶勝が、美濃高須藩主・松平義建の次男・秀之助ではなく、夭折した長男・源之助が継いでおり、彼が攘夷派の名君となっていた場合の仮想戦記を書いてみました。夭折した兄弟が活躍します。尾張徳川家15代藩主・徳川茂徳、会津藩主・松平容保、桑名藩主・松平定敬、特に会津藩主・松平容保と会津藩士にリベンジしてもらいます。
もしかしたら、消去するかもしれません。
おばけ長屋へようこそっ!!
晴海りく
歴史・時代
「一ツ柳長屋ってさ、昔おばけ長屋って言われてたけど…全然おばけ出ないよね?」
「むしろ、あの長屋の住人になりたいくらいよ!」
長屋の住人は、みんなそれぞれ訳ありな人々。
知りたい?秘密?
─じゃあ、長屋へ遊びに来てよ?─
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる