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きょうだい
4P
しおりを挟む4人ともが殺すつもりではない。本気を出していない、相手の様子をうかがうような、近藤と黒鷹にいたっては戯れているような。
また、小紅は何もできない。守られているだけで何もさせてもらえない。胸に抱いている短刀は飾りか?
命を奪い合うような戦いじゃないのでそこまで緊張はしていない。なのに、不安で不安で仕方がない。小紅はギュッと目を閉じ、大きく息を吸った。
「私も、参戦いたします」
目を開くと同時に短刀を鞘から抜いて近藤に向ける。しかし――
「必要ない」
冷たく吐き捨てた黒鷹がすぐさま小紅の前に出て近藤を蹴り飛ばす。近藤も、小紅の思わぬ行動に気を取られてしまったようだ。
蹴り飛ばされ地面を転がされ、地面に打ち付けた衝撃で手から刀がこぼれた。瞬時に、すでに目の前にまで迫ってきている黒鷹の刃を、素手でつかんだ近藤。
「そんなにその子が大事か、黒鷹?お前らしくもない」
黒鷹の刀身を握る手にグッと力をこめれば当然、手の平が切れて血が流れる。近藤ご自慢の大きな握りこぶしは引き抜こうとした黒鷹を逃がさない。
近藤の濃い黄色の瞳に、拳にとらえられていた黒鷹が「しまった!」と気づいた時にはもう、近藤のもう片方の拳が黒鷹の腹にめり込んでいた。
それでも刀から手を離さない。「ぐはっ!」と体を折り口から血を吐きながら崩れ落ちても、しっかり柄を握り締めて近藤を睨み付ける。
「かはっ!?雪、貴様っ……くそ、加勢が来やがったか。おいそこ、敵を前にベタベタするな!馬鹿にしやがって…………全員、牢にぶちこんでやるっ!覚悟しやがれぇッ!!」
突然土方がキレた。まさに鬼の形相でブンッ!と刀を振り回し、雪と鳶と和鷹に襲いかかる。
黒鷹はこれを待っていたのか。金を拝借した鳶と猫丸が参戦。鳶は雪を落とし穴から救い出し、猫丸は黒鷹の代わりに小紅の前に立つ。
自由になった雪が和鷹に集中していた土方に飛び蹴りを食らわし、一旦下がると鳶が手裏剣を投げつけた。
そして抱きしめ合う鳶と雪。鳶はほぼ本能的に愛する雪の危機を察知して飛んで来たんじゃないか?だがな、まだしっかり戦闘中だぞ。
夫婦愛を見せつけられて、そりゃあ土方がキレるのも無理はない。斎藤が戦線離脱した腹いせもあるようだ。
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