鷹の翼

那月

文字の大きさ
上 下
74 / 386
桜鬼と桜樹

8P

しおりを挟む

 その反応を、青ざめた顔を待ってましたとばかりに、桜鬼の右手はさらに奥へと滑り込み直接腹部を撫でた。

 ついさっきまで何度も殴りつけられ濃い赤紫色に変色した熱い腹部をゆっくり撫で、わざと痣の部分をギュウッと強く押さえる。

「うぅっ!ん、うっ……んんっ!んんーっ!」

 さらに腹部から横へ、下へ。腰を撫でて太もも全体をいやらしく撫でれば内側で手を止めた。

「その反応、すでに経験済みかな?どうしよっかなぁ。壊しながら辱めるのも好きだけど、せっかくの声が聞けないのは面白くないし。でも…………めちゃくちゃにしたい。真っ赤な血液と僕の白い液で紅白に染めてめでたくしたいねぇ!」

 グッと顔を近づければ赤い瞳が怪しく光る。狂気に満ちた光。

 匂いを嗅ぐように首や肩に顔をうずめ、胸まで来ると襟を噛んで引っ張り器用にはだけさせた。外気にさらされた胸が露わになり、桜鬼は喉を鳴らす。

 いくら小紅が「嫌!」だと首を振っても、懸命に「やめてください!」と涙を流しても、桜鬼はやめない。

 そんなに大きくはない胸に顔をうずめ、右手は足をつかんで、左手は口を塞いで、そして膝は小紅の下半身を刺激し始める。

 本当に、桜鬼は一体どうしてしまったというのか?普段の彼とは真逆の、凶暴でイカれた快楽殺人鬼。

 元々物置き部屋だった小紅の部屋は他の人達の部屋からは遠く、誰もが完全に寝静まっているこの時間、誰かが助けに駆け付けてくれる可能性は低い。

 夜が明けて誰かが目を覚まし部屋の前を通り過ぎる時に気づくのが先か、誰かが小紅を起こしに来るのが早いか。

 もしくは、このまま犯され傷つけられて体も心もボロボロにされた挙句、もう2度と動かない冷たいモノになり果てたのを発見されるのか。

「んっうっ……んんっんうっ……っ!」

 冷たい外気にさらされ、恐怖でどんどん体が冷えていく。無理矢理与えられる刺激に体が反応し、触れられているところだけがジンジン熱を帯びる。

 怖いはずなのに、確かに嫌なのに。体は敏感に反応して彼の膝を濡らしてしまう。それが余計に彼を高ぶらせる。

 ギュッと目を閉じ、自由な震える両手で両耳を塞ぐ。もう小紅は全てを捨てた。何も見ない、何も聞かない、何も感じない。ひたすらに全てが終わるのを待つ。

 楽しそうに笑いながら小紅の体に赤い痕を残していく桜鬼。だんだん本能的になってきて、下を刺激する膝は激しさを増し、がぶりと首筋に噛みつく。

 そのまま肉を噛みちぎってしまいそうなほど強く噛みつき、なおも笑い続ける彼は障子に黒い人影が写っていることに気付かなかった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

徳川慶勝、黒船を討つ

克全
歴史・時代
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 尾張徳川家(尾張藩)の第14代・第17代当主の徳川慶勝が、美濃高須藩主・松平義建の次男・秀之助ではなく、夭折した長男・源之助が継いでおり、彼が攘夷派の名君となっていた場合の仮想戦記を書いてみました。夭折した兄弟が活躍します。尾張徳川家15代藩主・徳川茂徳、会津藩主・松平容保、桑名藩主・松平定敬、特に会津藩主・松平容保と会津藩士にリベンジしてもらいます。 もしかしたら、消去するかもしれません。

武蔵要塞1945 ~ 戦艦武蔵あらため第34特別根拠地隊、沖縄の地で斯く戦えり

もろこし
歴史・時代
史実ではレイテ湾に向かう途上で沈んだ戦艦武蔵ですが、本作ではからくも生き残り、最終的に沖縄の海岸に座礁します。 海軍からは見捨てられた武蔵でしたが、戦力不足に悩む現地陸軍と手を握り沖縄防衛の中核となります。 無敵の要塞と化した武蔵は沖縄に来襲する連合軍を次々と撃破。その活躍は連合国の戦争計画を徐々に狂わせていきます。

おばけ長屋へようこそっ!!

晴海りく
歴史・時代
「一ツ柳長屋ってさ、昔おばけ長屋って言われてたけど…全然おばけ出ないよね?」 「むしろ、あの長屋の住人になりたいくらいよ!」 長屋の住人は、みんなそれぞれ訳ありな人々。 知りたい?秘密? ─じゃあ、長屋へ遊びに来てよ?─

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

処理中です...