鷹の翼

那月

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つながり

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 数年が経ち夜鷹が数日町を離れて帰ってくると小紅は、愛する娘は女性の家にはいない。もぬけの殻だ。

 女性は金欠で家賃が払えなくなり長屋を追い出された。小紅を養うこともできなくなったので仕方なく、山奥に置いてきたのだと。

 書き付けを見た夜鷹は血相を変え走った。町を出て山の中に入り駆け回る。

 転んでも、急な斜面で足を滑らせて落ちても、転倒した際に足を切り腕を枝に貫かれても、日が落ちてあたりが真っ暗になっても、探し続ける。

 本当に山にいるのか、生きているのかすらわからないのに。探して探して、死に物狂いで足を動かし続けた結果、夜鷹はたった1人の家族を腕に抱いた。

 小さな体は冷えきって衰弱しているものの、震える声で「もう、会えないかと思った……」と父親にしがみついた。

 この時の小紅は7歳。夜鷹はすでに“鷹の翼”を結成しており、黒鷹と和鷹を仲間に加えていた。小紅を養うことは、できなかった。

 やっと再会しても一緒に暮らすことはできない。望まずして生まれた子供だから。隠すしかなかった。

 夜鷹は鷹の翼の長として活動しながら、別の空き家で小紅の面倒を見ていた。ある日、小紅が町で見回り中の新選組隊士とぶつかってしまった。

 小紅を抱いてすぐに逃げたが、なにぶん悪い方に有名な夜鷹だ。新選組の長に話が伝わるのも早い。

 女の隠し子がいることがバレてしまい、夜鷹は新選組局長である近藤勇に呼び出された。そこで、隠してもじきにわかるだろうと素直に事のいきさつを話す。

 相当気が動転していたのだろう。勢い余って「同情してくれるなら小紅を引き取ってくれ!これ以上、辛い不自由な思いをさせたくないんだ……っ!」と叫んだ。

 すぐにハッと我に返るがもう遅い。命を奪い合う間柄だ、長い沈黙についに首を斬られると覚悟を決める。

 罪のない小紅の命までは奪うことはないだろうが、夜鷹がこの世を去れば完全に家族を失うことになる。うつむく夜鷹は「すまない、小紅」と歯を食いしばった。

 が、近藤は大笑いを響かせれば「わしに名案がある。乗ってみる覚悟はあるか?」と、笑ってみせた。

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