45 / 386
つながり
4P
しおりを挟むまだ来たばかりだから、疑わしいから。だから打ち解けられない。そう自分に言い聞かせたいのに。
積極的にできない。気配りができない。力になれない。自分の無力さに情けなくなる。小紅は、胸を押さえて座り込んだ。
こういうのを被害妄想というのか。唇を強く噛みしめる彼女は洗った湯呑みを拭くためのふきんを握り締めたまま、自分のふがいなさにどんどん沈んでいく。
「いっそ、全てを打ち明けられればいいのに……」
それができれば苦労はしない。というか、そんなことをすればどうなるかよくわかっているはずだ。
鷹の翼にいられなくなる。だけでは留まらず、全てを敵に回してどこにも行き場がなくなり頼れる人もいなくなってしまう。
何よりも、大切な人との約束を破ることになる。ある人と再会をするという約束を。
結局、しばらくそうしたまま時間をかけて気持ちを回復させた小紅は湯呑みを片付けてから黒鷹の元を訪れた。
ちょうど桜鬼が話を終わらせて退室した後で、黒鷹の向かいに温かい座布団が残っていた。
黒鷹の小姓なのだから何かやることはないかと尋ねると、彼は笑みを浮かべて「近くにいて、話し相手になってよ」と手招く。
ついさっきまで桜鬼が座っていた座布団を自分の隣に置いて、そこに小紅を座らせるとおもむろに彼女の手をつかんだ。
当然、肩を震わせて驚いた小紅は反射的にバッ!と振り払い壁際に跳び逃げる。1秒とかからないくらいか。その素早さに黒鷹は瞬きを3回。
しまった。気を張りすぎてつい、過敏に反応してしまった。身構えて鋭い目つきで睨みつける。とっさのことに、目の力を抜こうにも上手く抜けない。
「綺麗な、しっかりした手をしているね。取って食いやしないから、おいで?」
と微笑んだ。敏感で俊敏なのは彼女の癖だ。バクバクいう心臓を落ち着かせ、静かに息を吐いた彼女は座布団を少しだけ離して座った。
「乱暴なことを、申し訳ありませんでした」
「いいよ、僕も悪かったし。女の子でマメだらけの手をしていても、ここでは誰も気にしないよ」
小紅はとっさに隠したのだ、手の平にいくつもできたマメを。マメが潰れたあとに捲れて血で汚れた皮膚を。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
お父様の相手をしなさいよ・・・亡き夫の姉の指示を受け入れる私が学ぶしきたりとは・・・
マッキーの世界
大衆娯楽
「あなた、この家にいたいなら、お父様の相手をしてみなさいよ」
義姉にそう言われてしまい、困っている。
「義父と寝るだなんて、そんなことは
親戚のおじさんに犯された!嫌がる私の姿を見ながら胸を揉み・・・
マッキーの世界
大衆娯楽
親戚のおじさんの家に住み、大学に通うことになった。
「おじさん、卒業するまで、どうぞよろしくお願いします」
「ああ、たっぷりとかわいがってあげるよ・・・」
「・・・?は、はい」
いやらしく私の目を見ながらニヤつく・・・
その夜。
俺達は愛し合ってるんだよ!再婚夫が娘とベッドで抱き合っていたので離婚してやると・・・
白崎アイド
大衆娯楽
20歳の娘を連れて、10歳年下の男性と再婚した。
その娘が、再婚相手とベッドの上で抱き合っている姿を目撃。
そこで、娘に再婚相手を託し、私は離婚してやることにした。
連れ子が中学生に成長して胸が膨らむ・・・1人での快感にも目覚て恥ずかしそうにベッドの上で寝る
マッキーの世界
大衆娯楽
連れ子が成長し、中学生になった。
思春期ということもあり、反抗的な態度をとられる。
だが、そんな反抗的な表情も妙に俺の心を捉えて離さない。
「ああ、抱きたい・・・」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる