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いざ、鷹の巣へ
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しおりを挟む「高遠と同い年だ。僕は20だからお兄さんだね。高遠は一見怖いけど、あれはあれで良い子だから、よかったら仲良くしてやってくれ。今は混乱しているだけ。慣れればそのうち、心を開いてくれるはずだ」
それではやっぱり、高遠は犬扱い。急に小紅の記憶の中の高遠に犬の耳と尻尾が生えて見えだした。ちょっと可愛いかもと口元が緩むと、桜鬼の隣が元気よく手を上げた。
「次、俺っちやな。雪っていうんや、よろしゅーな!えーっと、歳は21やけどよう子供と間違われるでっ」
桜鬼の隣の、彼とは頭2つ分ほど背が低いのは雪。天真爛漫、いつも明るく笑っていてイノシシのように勢いよくまっすぐ突き進む、加減を知らないちょっとバのつく人だ。
なぜか真っ白い髪は短く、茶色の大きな目は少しだけ吊り上がって見える。赤い帯を巻いた黄色の着物は高遠のように足元を捲り上げていて、こちらもよく走るのだとうかがえる。
悪戯が好きで、町でちょっとした悪戯をするだけでは飽き足らず屋敷なんかで仲間にもシャレにならない悪戯をすることがたびたびあるらしい。
見つかればある人になっがーい時間の説教を食らうのだが、効果は皆無。反省なんて言葉は頭にない。
「……あ。……鳶。22。よ、よろしく……ぐふっ!ゴホッゴホッ……」
「すまん、こいつは言葉足らずなんや。慣れてへん人相手のおしゃべりが苦手で……こら、逃げんなや!こんな風にすぐ逃げたがるんや」
雪の隣、これまた背が高い――桜鬼より低い――青年は鳶。低く、それもくぐもった声でボソボソ呟かれれば誰だって聞き取れない。
極度の人見知りなのだそうだ。後ずさりし逃げようとする鳶の脇腹をドスンッ!とド突いた雪は笑顔でさらに脇腹をつねる。容赦のない、黒い笑顔が恐ろしい。
鳶もまた、変わった見た目だ。茶色い髪は攻撃的にツンツン、青い目は名前の通り鳶のように切れ長で鋭い。
首元から覆っている黒い布が鼻まで覆っていて表情が見て取れないし、首元には薄い灰色の長い襟巻きが巻かれている。
おかしなことに、彼が動くとわずかに青い着物の中から金属が擦れる音が聞こえる。よく見るとあちこち縫い直したあとがあるような。
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