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偶然は必然
2P
しおりを挟む「あ、和比呂君だ。おはよー!うわっ、目の下にクマができてるわよ、大丈夫?」
「おはよ。明け方に解放されて、さっき家に戻ったんだ。寝てない。蒼輝さん、あとで話があるからこの式札をそばにつけていてくれ」
あとで実体化させると、校門前で合流した和比呂が俺に5センチ四方の式札を握らせた。式札に独特な、達筆な字で鷲と書いてあるのが気になる。
小娘も言っていたが、酷いクマだ。急に呼び出され、明け方に解放されて不眠とは。そしてそのまま学校。若いから体力がある。いや、意地だな。皆勤賞を逃すまいと。
かなりフラフラして、たまに小娘に腕を支えてもらっているのを見送り、俺は校舎に背を向けた。
あまりくっついて親しくしていると、あらぬ勘違いをされるぞ?小娘はともかく和比呂は嫁、許嫁がいる身だ。あらぬ噂が小夜の耳に入れば、箸がまっすぐ突き刺さった飯を出されるぞ。
小娘とキツネと和比呂は校舎の中に入っていき、俺はあてもなく近くを歩く。ボロボロの着物のままだったら確実に通報されていただろう。
今日も小娘の彼氏のだという洋服を着ているが。今日もネクタイに苦しめられた。上手くできない俺を見かねたキツネが間違って、締め上げたんだからな。
結局、キツネの頭にコブを2つこしらえた俺はネクタイを諦めてボタンも上2つは留めていない。これでいい。
どうやら俺は人間の目を集めてしまうらしい。上着のポケットに両手を突っ込んで校門の前に立っていたその数分で、かなりジロジロと見られていた。
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