惰眠童子と呼ばれた鬼

不幸は幸運

１０P

「ありがとう神那ちゃん。ほら旦那、僕がシャワーの使い方教えてあげるから早く行くんじゃーっ」


「くっ。お前達、手を組んだな。引っ張るなキツネ！自分で歩ける！お、押すなっ！」


　やれやれ、子供だな。小娘は着替えを取りに行き、キツネは俺の背中を押して風呂場へ連行。俺が渋々着物を脱いでいる間に自分の寝間着を持ってきていた。


　やけに用意がいいな。というか、俺にシャワーの使い方を教えるとか言いながら一緒に風呂に入るつもりなのか。……その歳で、か。


　キツネはもう１６歳だぞ。年相応ではない性格と、年相応ではない体で時々混乱する。


　小学校の低学年レベルの脳ミソと、年の割に筋肉の付きが良いキツネの体。む。俺より背が高くなっていないか？子供の成長は早いな。


　大事な部分は年相応のようだが。仕方がない、男同士、裸の付き合いということにしておいてやろう。この俺の裸体を拝めるなんぞ今後一切ないからな。


　そんなにジロジロ見るな。どうせ俺は筋肉も必要最低限しかついていない、ひ弱な鬼だ。普段は、な。


　まさかお前、俺の裸に興味があるとか言わないだろうな？女性が嫌すぎてソッチのシュミに目覚めたとか。…………まぁ、キツネに限ってそれはないな。


　いくら俺が見目麗しい美鬼でも、脳内お花畑なキツネがオトコをシュミにもつなんて有り得ない有り得ない。俺とキツネは、飼い主と下僕。


「旦那って、色白なんじゃな。こうやって見れば……うん、べっぴんさんじゃ、でっ！」


「くだらぬ妄想をするな。体が冷える、さっさと済ませるぞ」