惰眠童子と呼ばれた鬼

那月

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死神の神那

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 こいつは、家の屋根裏や使われていない物置きなんかに入り込んで居候している。そして、バレる前に出て色々な人間の家を転々としているんだ。


「白状しろ、キツネ。お前、小娘の家――どうせ屋根裏にでも――住んでいるんだろう?」


「ごめんなさいっ!!」


「え…………うちの、屋根裏……?」


 小娘は震えた。キツネも、震えた。


 小娘は怒りと羞恥で耳まで真っ赤になってワナワナと肩を震わせ、ギンッと睨みつける。睨まれたキツネは本能的に命の危険を感じ怯えてガタガタと震える。


 大正解、か。プライバシーも何もないな、小娘。年頃の女性だというのに。


 だが珍しいな。キツネは人間の女が苦手なはずなのに、特に苦手なタイプのこの小娘の家に住んでいるだなんて。しかも気に入っているだなんて。


 もしかしてキツネ、この小娘に気があるのか?…………いや、あんなに怯えていたし有り得ないな。


 というかこいつ。気に入っている居候先の人間の顔を覚えていなかったのか?最初に小娘の顔を見た時、完全に怯えてわかっていなかったしな。恐怖と驚きのあまり記憶が飛んだか?


 あぁ、体はデカいくせに気の弱いキツネが少しずつ戸口へと逃げるものだから、つい手が伸びて掴んでしまったじゃないか。俺の左手が、キツネの首を。


「キツネ、男なら腹をくくるんだな」


 俺がそう冷たく吐き捨てると、キツネはボンッ!と音を立てて白いキツネの姿に戻り短い手足をバタバタと振り回す。フッ……滑稽だな。


 俺は暴れ泣き叫ぶキツネを高々と持ち上げ、そしてスッと、静かに怒れる小娘の方に向けた。


 まぁ、この直後にキツネの断末魔の叫びが山の頂上まで響いたのは言うまでもない。


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