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死神の神那
3P
しおりを挟む2人はごく普通のカップルのようにビーチで遊び、一緒に海に入ってたくさん泳いだ。泳ぎすぎて途中で足をつって溺れかけた小娘を彼氏が助け、砂浜まで彼女を抱えていた時だった。
突然、彼氏は小娘を砂浜に投げ出すようにして倒れた。そしてそのまま彼氏は、2度と目を覚ますことはなかった。
原因は、彼の足に絡みついていた毒クラゲ。
その海水浴場ではクラゲが入って来れないように目の細かいネットが沖に張られていたのだが、なぜかその時だけはどこからか毒クラゲが遊泳ゾーンに入ってきてしまったらしい。
幸い死傷者は他に出なかったものの、また小娘は身近な人を目の前で失うことになった。
この頃から小娘は周りから“死神の神那”と呼ばれるようになり、そして彼女の回りから徐々に人が遠退いていった。
登下校を共にしたり昼飯を一緒に食べ過ごしていた親友、同じ教室で学ぶクラスメイト、勉学を教えてくれていた先生、1人暮らしでは何かと大変だろうとよく世話をしてくれた近所の大人達。
神那を知る人達の、神那を見る目が変わっていった。
次々と身近な人を亡くした小娘のことを、心を理解できないわけではない。ただ、近づけば次は自分が死ぬかもしれない。皆はそう思っていたに違いない。
小娘が殺したわけでもないのに。何が理由でそうなったのかも、全く何もわからないのに。自分の身が可愛い愚かな人間どもだ。
完全な孤立。1人っきりになってしまった神那からこれ以上奪えるとすれば、あとは彼女の命。
あともう少しで高校を卒業ということもあってなんとか学校には通っているが、1人暮らしで借りていたアパートは噂が広まってから追い出された。その代わり、今は大家に紹介された古い空家に住んでいるらしい。
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