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朝霧神那、襲来
13P
しおりを挟む「昨日で18歳になったんじゃな、誕生日おめで…………え?朝霧、神那?」
「なんだキツネ、この小娘を知っているのか?」
悪いな。俺が煤に寝てしまうのはもはや体質なんだ。俺にだって小娘の話をちゃんと真剣に聞いてやりたいという思いは、ペットボトルのキャップくらいはある。
だが、俺の中に長年住み着いている睡魔の方が断然強い。せめてどれくらい眠るのかくらいは自分でコントロールさせてほしいんだが、聞く耳を持っていない。
一瞬は小娘の誕生日を知って喜んで手を叩いていたが、急にキツネの笑顔が凍りついた。
「い、いや、そのー……あんまりよろしくない通り名がついているんじゃ……」
「別に隠さなくてもいいわよ。そういうあだ名が付けられても仕方のない生き方をしてきたんだもの。あのね、あたしは皆から“死神の神那”って呼ばれてるの」
小娘はキツネに目を向けて「でも、それを知っているってことは当然その理由もしてるのよね」と明るく笑ってみせた。
一段と明るい笑顔。嘘の笑顔。暗い顔をしないで、気にしなくていいからと俺達に、そして自分に向けた嘘。
彼女の態度にキツネはますます困惑し、悲しげな顔をうつむかせてしまった。なんだ、キツネはこの小娘のことを知っていたのか。
しかしまぁ、死神なんてどんな生き方をすれば呼ばれるのか。これで、彼女の話がある意味楽しみになったな。
少なくとも、他の人間どもとは違って本物の鬼である俺がいると信じて1人でやってきた。そして臆することなく、むしろ偉そうに酷い暴力で起こした。その度胸は高く評価してやろう。
後にも先にも、この俺を蹴り起こしたのはお前とアイツだけだろうよ。
ふむ。迷惑この上ない、面倒なことになったと思っていたが。これは、少しは退屈しのぎくらいにはなりそうだ。面白い……
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