恋人以上、永遠の主人

那月

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終末の先の景色

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「酷いな。でも仕方ない。ここでお別れだね、ナツメ」


 そっか。あたしは消えちゃうし、マクベスは消えずに残りの人生を生きるんだからここでお別れなんだ。もう2度と会うことはない。


 ずっとずっと運命を共にしていたマクベス。もう、彼の姿を見ることはないし声を聞くこともない。触れることも触れられることもない。


 あれ、おかしいわね。あたしは晴明様を愛しているのにすごく辛い。心が締め付けられて苦しい。別れが辛くて、熱い涙があふれてはボロボロ零れ落ちていく。


 優しい晴明様はそっと手を離し「行っておいで」と背中を押した。


 瞬間、駆け出したあたしはマクベスに体当たり同然に抱き着いた。幽霊のように下半身が消えている状態でも力一杯抱きしめる。


 何度も何度も「ありがとう」を口に出し、声の限り泣き叫ぶ。感極まって何を言っているのかもわからない。


 でも最後に聞こえた。震えて涙に濡れた「ありがとう。俺はずっと愛している、愛し続けるよ……ナツメ」という彼の声を。


 やがて彼を感じなくなったあたしは、もうほとんど消えかかっていることに気付いて少しずつ離れていく。


 なかなか止まってくれない涙をぬぐいながら、それでも目一杯笑って、最高の笑顔を彼の目に焼き付ける。


 忘れないで、マクベス。でも、幸せになって。あたしはあたしで全力で幸せになってやるんだから。


 せっかく晴明様があたしを選んでくれたんだもの。たとえ晴明様や酒吞童子達と地獄巡りをしていても、マクベスのことは絶対に忘れない。


 あぁ、どんどん聞こえなくなっていく。どんどん見えなくなっていく。皆にはあたしの姿がどう見えているのかしら?


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