恋人以上、永遠の主人

那月

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 やがて灰色の煙から飛び出た大きな翼の羽ばたきによって巨大な浮島と化していた煙が晴れた。見えた姿に、あたしの頬を涙がこぼれ落ちる。


「グォォオオオォォォォオオオォオォォォォッ!!」


 巨大な、白銀のドラゴン。マクベスの心と体を長年蝕んできた、災厄のドラゴン。そしてマクベスの気配が完全に、消えた。


 ドラゴンが長い尾を振れば近くのビルが爆発のごとく倒壊、空中浮遊する羅刹めがけ腕を振り下ろせば屋上の一角が大きく抉られた。


 避けきれなかった羅刹は羽根を4枚破壊され、悔しそうに「チッ」と舌打ちをして手を上げ雷を呼んだ。


 巨大なドラゴンは狙いやすい。落雷が3本、ドラゴンを直撃し絶叫。動きが止まって墜落しかけたけど、それでも強く羽ばたいて再び羅刹に襲いかかる。


 その風圧は巨大なハリケーンのようで、いちいち周りの建物を揺さぶり壊す。まるで怪獣映画。


 マクベスの跡形もない巨大なドラゴン。今は羅刹だけに攻撃しているけれど、あたし達に気付けば……


「何で……こんな……」


 腰が抜けて立ち上がることができない。なんとか起き上がってみたら、手の中に見覚えのある巾着袋を握っていた。


 これ、マクベスが晴明様にもらったドラゴン化を鎮める石が入っている巾着袋だわ。晴明様の鎮めの力を宿した石をいつも身につけているからドラゴン化を防いでいた。


「気づいていたのか。まさか自分でアレを開放し力を利用するとは、あとのことを考えない無鉄砲さは昔から変わらないみたいだな、やれやれ」


「晴明、様?」


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