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酒吞童子と茨木童子
15P
しおりを挟む晴明様と、酒呑童子と茨木童子は宿敵なのにね。晴明様は2人を助けようとしてる。敵同士でも確かにある、男の友情ってやつかしら?
わからなくはないけど、晴明様と彼らは硬い絆で結ばれている。相手を強く想う心があるから、できないこともできる。
「わかった。あたし達も頑張るから、だから……晴明様――」
「待っていなさい。全てが終わったらお前も迎えに行く。必ず、約束しよう。だから早く行ってあげなさい」
上で大きな爆発音のような轟音が響いた。それから立て続けに「ドォンッ!」とか「ドガッ!」とか、建物が揺れるほどの音が響く。誰かが戦っている?
晴明様は鬼じゃないけど約束は必ず守る。それを知っているからあたしは、うつむかせていた顔を上げることができた。
おかしいわね。実体がないはずなのに、目の前の晴明様が優しくあたしの肩を抱き寄せ「私は死なない。お前が私を想ってくれている限り、な」って囁いた感じがしたの。
温かかったわ。大好きな晴明様の匂いがして、すぐに突き放されちゃったけど幸せを感じた。
これが最後のお別れなんじゃない。そう言いたかったんでしょ?だから晴明様はあたし達にも力を分けてくれた。先に進む勇気を。
あたし――マクベスは足を踏み出し、ナナシ君の隣を通り過ぎた。瞬間、ナナシ君は酒呑童子めがけ駆け出した。
急がなきゃ。羅刹が彼を見つけて殺してしまわないように。
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