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主人マクベス
19P
しおりを挟むパジャマ姿のマヌケなマクベスなのに、いつものマクベスじゃないみたい。あたしを脅すなんて。怖くて怖くて、痛くて。あたしは痛くてたまらない心を叩き壊した。卑怯者。
フッと体の力が抜け、涙が止まって震えが治まる。心臓の高鳴りも穏やかになって、青い瞳からは光が消え失せた。もう、恐怖も痛みも感じない。
「……できるわよ。マクベスを殺すことが最善なら、それを望むなら、殺してあげる。転生して次の発作が起こるまでに全て終わらせてみせる。すぐに終わらせるためなら、この邪魔な心は壊したままにする」
「ナツメ……」
「心があるからためらう。本来の任務を遂行するのに関わらなくてもいい人間と関わって、余計な道草を食うから前に進むのが遅くなる。鬼を倒して、知能が高い鬼から情報を引き出して発生源を見つける。見つけたらそれを消す。それだけの任務でしょ?」
「あぁ、そうだね」
「あたし達だけで倒せない鬼が出たら戦える強い人間を利用すればいい。協力してくれないようなら力で支配する。馴れ合いなんて、必要ないのよ」
「…………」
「最短にして最善。それが嫌ならあなたの意識は消してあたしが、あなたの体を乗っ取って戦う。あたしにはそれができる。だってあたしは――」
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