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After Story
甘やかす者達
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「さて、綺麗な姿を見せてもらったし礼をせねばのぉ。ユキや、欲しいものはないか? どれ、爺が湖でも買ってやろうか?」
「なら私からは森林を」
「じゃあ俺はその近くの屋敷だな」
……この爺馬鹿と親馬鹿2名を誰かどうにかしてもらえませんか……? さらっととんでもないことを言い出すし、冗談抜きでそれが出来ちゃうくらいの財力も権力も持ってるんだもん……放って置いたらとんでもないことになりそう……僕の領地とか知らないうちに出来てたりしないよね……?
「どれもいらないから! 貰っても困るだけだから!」
「しかしじゃな……」
「そう言うのはいらないから、また今度ゆっくりお茶でもしよ? 僕、みんなと過ごすの好きだよ」
まぁ実はこれが1番贅沢な気がするんだけども……お金は確かにかからないけど、逆に言えば時間はお金じゃ買えないって言われるくらい貴重なものだし、国のトップに立つ人達の時間を貰うんだから物凄い贅沢だよね。
「もう、ユキは可愛いなぁ! そう言うことならいくらでもお茶しような!」
「まったく、相変わらずユキは無欲だな」
「そんなことないよ。みんなの貴重な時間を欲しいって言ってるんだから」
「確かに国のことがある故そう頻繁には難しいが、私達とてユキと会いたいと思っていることは同じことだ。ユキのために時間を作ることなど苦ではない」
そう言いながら優しくポンポンと頭を撫でてくるロイにジーンってきました。こういうところはいいお父さんだなぁってなるのに、たまに暴走するってところが残念ポイントです。まぁ暴走したってロイ達を好きなことに変わりはないんだけどもね。
「ありがと。みんなでお茶できるの楽しみにしてるね。でも、無理はしないでね」
「ああ、わかった」
「ほほ、ユキの可愛いおねだりの為なら書類も真面目に片付けようかのぉ」
「僕お手伝いする? レイのお手伝いが少なくなったから時間いっぱいあるよ」
正直な話、やることがなくて暇というかなんというか……何かできることが増えるなら嬉しいくらいなのです。
「気持ちはありがたいが、ユキと共に仕事となれば一日中休憩時間にしてしまいそうじゃからのぉ。気持ちだけ受け取っておくの」
1日中休憩時間とは……でも確かにヴォイド爺なら僕がヴォイド爺の部屋に行った途端お茶にお菓子にとあれこれ出してきてそのままのんびり終わりのないお茶会モードになりそうかも……? リディアがいたら別だろうけどもね。
「そっかぁ。何かあったらいつでも言ってね」
「ああ、ありがとうな」
「さて、そろそろ夕飯の時間ではないか? ユキは今日はご家族と食べるのか?」
「うん! 僕とダグ用に用意してもらったこっちのご飯と、母さんの手料理とでみんなで分けながら食べるの! すっごくいい誕生日……あ、みんな誕生日プレゼントありがとう!」
「喜んでもらえたのならそれで良い。ほら、夕飯が冷めないように早めに戻りなさい」
「ん、そうする。じゃあまたね!」
「ああ」
にっこり笑顔のみんなに手を振ってからダグとロイの執務室を後にしてのんびり部屋まで歩きます。……実はちょっと鼻緒のとこが痛くなってきちゃったからゆっくりしか歩けないのです……流石に今日はダグも慣れない格好だから抱えてもらうのは申し訳ないから頑張って歩きます! ……なーんて僕なりにバレないようにって歩いててもダグにそれが通用するはずもなく。
「ユキ、無理をするな。足が痛いのだろう?」
「う……でもダグも慣れない格好で大変でしょ……? ダグも鼻緒のところ痛くない?」
「ハナオ、とはどこのことか俺にはわからないが、痛くなっている場所はないぞ。それにこの格好にも慣れたから大丈夫だ。ほら、おいで」
「うぅ……ありがと、ダグ」
「ああ」
帯を崩さないように、僕を腕に乗せる形でそっと抱き上げてくれたダグの肩に腕を回してホッと一息。そのままノシノシと歩くダグは僕と歩いていた時よりもはるかにスピードが速くて、本当にダグは着物にも慣れてしまったようです。凄いなぁ、僕は疲れちゃったよ。
ダグに抱えてもらってからはあっという間に部屋に着いて、戻れば神様がのんびりカウチに座ってお茶を飲んでいました。
「おかえり」
「ただいま戻りました。もしかしてずっとこちらに?」
「いや、美加子達が一旦向こうに戻ったら私も一旦帰っていたよ。幸仁とダグラスが戻ってくるタイミングに合わせてまたこっちに来たんだ。幸仁とダグラスでは振袖は脱げないだろう? ある程度手伝おうと思ってね」
「そうだったんですね、ありがとうございます」
まさか着替えを手伝うために来てくださったなんて凄い至れり尽くせり……でもたしかにこの帯を解いたり色々つけられた小物類と格闘するのは僕1人では厳しそうだから助けてもらえるのは有り難いです。
「さて、着替えるかい? 疲れただろう」
「そうします」
着替えることになればダグがそのまま衣装部屋に連れて行ってくれて、続いて神様も入ってきたら足が痛いって言ったからかものすごく慎重に下されました。流石にただ立ってるくらいなら大丈夫だよ? 草履のまま歩くのはちょっと厳しいけど。
「先に衣桁を出しておこうか。ついでにここも広くしてこれを飾れる場所を作って、と……これでよし。さて、幸仁腕を上げて」
「……はい」
流れるように衣装部屋を広くして着物を飾っておくスペースを作ったことにはもう何も言うまい……きっと言ったところで笑いながらいいじゃないか、なんて言われるだけだもん……
腕を上げれば神様がクルリと指を振り、その途端帯がシュルシュルと解けていって全て解けたら圧迫感が大分なくなりました。そのままあっという間に振袖を脱がせてもらい、長襦袢になったところで今度はダグのを脱がせて、同じようにダグも長襦袢になれば神様は出て行きました。僕達が嫉妬するから肌は見ないよってことみたいです。
あとは僕でも脱ぐくらいはわかるから、パパッと着替えました。解放感がすごい……! だってお腹周りに結構な圧迫感があったもんね。すごく楽です。
ダグも着替えたら長襦袢や肌着、そのほかの小物類を抱えて部屋へ。
「神様、長襦袢って着物と同じようにかけておくのです?」
「幸仁が眺めたいなら掛けてもいいけれど、湿気を乾かすという意味でなら浄化をかけたらそのまま畳んでしまって構わないよ。ほかの小物類も浄化をかけておけばいいだろう」
「わかりました。これも綺麗だけどしまっておくことにします」
「畳み方はわかるかい?」
「はい、大丈夫です」
浄化をかけてからラグの上で手早く2つとも畳み、肌着や小物類も浄化をかけると神様がまた指を一振りして長襦袢も小物類も全部衣装部屋に吸い込まれるように飛んで行きました。神様の力を見てると僕も指をヒョイって一振りして何か動かしてみたくなるんだよね。時間はあるし魔法で真似できないか考えてみようかなぁ。
「これでよし。幸仁、何か欲しいものはないかい?」
「え、着物を頂きましたよね……?」
「あれは私が見たかったからというのが大きいからね。幸仁が欲しいものを別であげるよ」
……あのとてつもない額がしそうな着物を見たかったからって用意できるのがさすが神様というか……
「ふむ、ならキッチンなんてどうだい? 幸仁専用のキッチンを作ってあげよう。好きな時に料理が出来るようになるよ」
「え」
今何かまたも桁違いのものを挙げられた気がして、数秒ほど現実逃避していると、我に帰った時には早くも部屋にドアが増えていました。
「神様……! そんなにホイホイと僕に与えないで下さい! 甘やかされすぎてそのうちバチが当たりそうです……」
「いいじゃないか。私の愛し子たる幸仁には私に甘やかされる資格があるのだから」
「うぅ、ありがとうございます。今度お礼に何か作りますね」
「それは楽しみだ。さて、私はこれで帰ろう。振袖が着たければいつでも呼ぶといい」
「ありがとうございます」
最後にポンポンと僕の頭を撫でてからスッと居なくなった神様にもう1度心の中でお礼を言ってから母さん達が戻ってくるまでの少しの間、ダグとのんびり過ごしたのでした。
僕の好物ばかりの夜ご飯は食べすぎちゃうほどに美味しかったです。
「なら私からは森林を」
「じゃあ俺はその近くの屋敷だな」
……この爺馬鹿と親馬鹿2名を誰かどうにかしてもらえませんか……? さらっととんでもないことを言い出すし、冗談抜きでそれが出来ちゃうくらいの財力も権力も持ってるんだもん……放って置いたらとんでもないことになりそう……僕の領地とか知らないうちに出来てたりしないよね……?
「どれもいらないから! 貰っても困るだけだから!」
「しかしじゃな……」
「そう言うのはいらないから、また今度ゆっくりお茶でもしよ? 僕、みんなと過ごすの好きだよ」
まぁ実はこれが1番贅沢な気がするんだけども……お金は確かにかからないけど、逆に言えば時間はお金じゃ買えないって言われるくらい貴重なものだし、国のトップに立つ人達の時間を貰うんだから物凄い贅沢だよね。
「もう、ユキは可愛いなぁ! そう言うことならいくらでもお茶しような!」
「まったく、相変わらずユキは無欲だな」
「そんなことないよ。みんなの貴重な時間を欲しいって言ってるんだから」
「確かに国のことがある故そう頻繁には難しいが、私達とてユキと会いたいと思っていることは同じことだ。ユキのために時間を作ることなど苦ではない」
そう言いながら優しくポンポンと頭を撫でてくるロイにジーンってきました。こういうところはいいお父さんだなぁってなるのに、たまに暴走するってところが残念ポイントです。まぁ暴走したってロイ達を好きなことに変わりはないんだけどもね。
「ありがと。みんなでお茶できるの楽しみにしてるね。でも、無理はしないでね」
「ああ、わかった」
「ほほ、ユキの可愛いおねだりの為なら書類も真面目に片付けようかのぉ」
「僕お手伝いする? レイのお手伝いが少なくなったから時間いっぱいあるよ」
正直な話、やることがなくて暇というかなんというか……何かできることが増えるなら嬉しいくらいなのです。
「気持ちはありがたいが、ユキと共に仕事となれば一日中休憩時間にしてしまいそうじゃからのぉ。気持ちだけ受け取っておくの」
1日中休憩時間とは……でも確かにヴォイド爺なら僕がヴォイド爺の部屋に行った途端お茶にお菓子にとあれこれ出してきてそのままのんびり終わりのないお茶会モードになりそうかも……? リディアがいたら別だろうけどもね。
「そっかぁ。何かあったらいつでも言ってね」
「ああ、ありがとうな」
「さて、そろそろ夕飯の時間ではないか? ユキは今日はご家族と食べるのか?」
「うん! 僕とダグ用に用意してもらったこっちのご飯と、母さんの手料理とでみんなで分けながら食べるの! すっごくいい誕生日……あ、みんな誕生日プレゼントありがとう!」
「喜んでもらえたのならそれで良い。ほら、夕飯が冷めないように早めに戻りなさい」
「ん、そうする。じゃあまたね!」
「ああ」
にっこり笑顔のみんなに手を振ってからダグとロイの執務室を後にしてのんびり部屋まで歩きます。……実はちょっと鼻緒のとこが痛くなってきちゃったからゆっくりしか歩けないのです……流石に今日はダグも慣れない格好だから抱えてもらうのは申し訳ないから頑張って歩きます! ……なーんて僕なりにバレないようにって歩いててもダグにそれが通用するはずもなく。
「ユキ、無理をするな。足が痛いのだろう?」
「う……でもダグも慣れない格好で大変でしょ……? ダグも鼻緒のところ痛くない?」
「ハナオ、とはどこのことか俺にはわからないが、痛くなっている場所はないぞ。それにこの格好にも慣れたから大丈夫だ。ほら、おいで」
「うぅ……ありがと、ダグ」
「ああ」
帯を崩さないように、僕を腕に乗せる形でそっと抱き上げてくれたダグの肩に腕を回してホッと一息。そのままノシノシと歩くダグは僕と歩いていた時よりもはるかにスピードが速くて、本当にダグは着物にも慣れてしまったようです。凄いなぁ、僕は疲れちゃったよ。
ダグに抱えてもらってからはあっという間に部屋に着いて、戻れば神様がのんびりカウチに座ってお茶を飲んでいました。
「おかえり」
「ただいま戻りました。もしかしてずっとこちらに?」
「いや、美加子達が一旦向こうに戻ったら私も一旦帰っていたよ。幸仁とダグラスが戻ってくるタイミングに合わせてまたこっちに来たんだ。幸仁とダグラスでは振袖は脱げないだろう? ある程度手伝おうと思ってね」
「そうだったんですね、ありがとうございます」
まさか着替えを手伝うために来てくださったなんて凄い至れり尽くせり……でもたしかにこの帯を解いたり色々つけられた小物類と格闘するのは僕1人では厳しそうだから助けてもらえるのは有り難いです。
「さて、着替えるかい? 疲れただろう」
「そうします」
着替えることになればダグがそのまま衣装部屋に連れて行ってくれて、続いて神様も入ってきたら足が痛いって言ったからかものすごく慎重に下されました。流石にただ立ってるくらいなら大丈夫だよ? 草履のまま歩くのはちょっと厳しいけど。
「先に衣桁を出しておこうか。ついでにここも広くしてこれを飾れる場所を作って、と……これでよし。さて、幸仁腕を上げて」
「……はい」
流れるように衣装部屋を広くして着物を飾っておくスペースを作ったことにはもう何も言うまい……きっと言ったところで笑いながらいいじゃないか、なんて言われるだけだもん……
腕を上げれば神様がクルリと指を振り、その途端帯がシュルシュルと解けていって全て解けたら圧迫感が大分なくなりました。そのままあっという間に振袖を脱がせてもらい、長襦袢になったところで今度はダグのを脱がせて、同じようにダグも長襦袢になれば神様は出て行きました。僕達が嫉妬するから肌は見ないよってことみたいです。
あとは僕でも脱ぐくらいはわかるから、パパッと着替えました。解放感がすごい……! だってお腹周りに結構な圧迫感があったもんね。すごく楽です。
ダグも着替えたら長襦袢や肌着、そのほかの小物類を抱えて部屋へ。
「神様、長襦袢って着物と同じようにかけておくのです?」
「幸仁が眺めたいなら掛けてもいいけれど、湿気を乾かすという意味でなら浄化をかけたらそのまま畳んでしまって構わないよ。ほかの小物類も浄化をかけておけばいいだろう」
「わかりました。これも綺麗だけどしまっておくことにします」
「畳み方はわかるかい?」
「はい、大丈夫です」
浄化をかけてからラグの上で手早く2つとも畳み、肌着や小物類も浄化をかけると神様がまた指を一振りして長襦袢も小物類も全部衣装部屋に吸い込まれるように飛んで行きました。神様の力を見てると僕も指をヒョイって一振りして何か動かしてみたくなるんだよね。時間はあるし魔法で真似できないか考えてみようかなぁ。
「これでよし。幸仁、何か欲しいものはないかい?」
「え、着物を頂きましたよね……?」
「あれは私が見たかったからというのが大きいからね。幸仁が欲しいものを別であげるよ」
……あのとてつもない額がしそうな着物を見たかったからって用意できるのがさすが神様というか……
「ふむ、ならキッチンなんてどうだい? 幸仁専用のキッチンを作ってあげよう。好きな時に料理が出来るようになるよ」
「え」
今何かまたも桁違いのものを挙げられた気がして、数秒ほど現実逃避していると、我に帰った時には早くも部屋にドアが増えていました。
「神様……! そんなにホイホイと僕に与えないで下さい! 甘やかされすぎてそのうちバチが当たりそうです……」
「いいじゃないか。私の愛し子たる幸仁には私に甘やかされる資格があるのだから」
「うぅ、ありがとうございます。今度お礼に何か作りますね」
「それは楽しみだ。さて、私はこれで帰ろう。振袖が着たければいつでも呼ぶといい」
「ありがとうございます」
最後にポンポンと僕の頭を撫でてからスッと居なくなった神様にもう1度心の中でお礼を言ってから母さん達が戻ってくるまでの少しの間、ダグとのんびり過ごしたのでした。
僕の好物ばかりの夜ご飯は食べすぎちゃうほどに美味しかったです。
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