あの人と。

Haru.

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After Story

大人

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大変遅くなって申し訳ございません…!
忙しさが少し落ち着いたか、と思いゆっくり書こうとしたところ、若干スランプに陥りかけているらしくどうにも思うように書けないという状態になっていることに気付きました……
書きたいことは沢山あるはずなのに1行書くことすらままならない現状に作者自身戸惑っております。
ゆっくりとでも書いていきたいと思っておりますので、亀更新が続いてしまい申し訳ございませんが暖かく見守ってくださると嬉しいです。
──────────────────


 サダン君が入団試験に合格してから2週間ほどが経ちました。毎日雑用をこなしつつ先輩騎士に鍛えてもらってるみたいで、ここにいたら確実に今までよりも成長できるって嬉しそうにしてたよ。……僕だって魔法なら教えられるもん! 僕も頼ってほしいです!

 まぁそれは置いておいて、今日は勝手にダグと計画したピクニックの日です! あの数日後、付き合い始めたことを報告してくれたサダン君に提案してみたらあっさりノってくれて、サダン君が行くならってことでラギアスも賛成してくれてっていう予想通りの流れでした。

 ブランチにはちょうどいいくらいの時間に集合した僕たちは、それぞれ馬に乗ります。もちろん僕はダグと2人乗りで、サダン君もまだサダン君の馬がないからラギアスと2人乗りだよ。後ろからラギアスに抱きしめられる形になったサダン君が恥ずかしそうにしてるのが可愛いです!

 護衛の騎士さん含め全員が馬に跨ったところで出発!

 やっぱり馬の上って気持ちいいね。植えられてる木は葉がすっかり色付いていて、春とはまた景色が違って楽しいしね。

「寒くないか?」

「ん、大丈夫だよ。ダグとひっついてるとあったかい」

「ならもっと寄りかかっていいぞ」

「ふふ、ありがと」

 最初から殆どダグに寄りかかった状態だったけど、もう少し寄ってペッタリとダグに背中をつけるともっと温かくなりました。ダグは体温が高いから本当に温かいけど、それだけじゃなくて気持ち的なものもあると思うよ。ダグとこうしてると心がポカポカするもんね。

 くすくす笑いながらすり、と首筋に擦り寄るとちゅっとキスされました。僕もお返しにちゅっとしてまたくすくす。ん~幸せです! 永遠とこうしてられるよ。

「あっっま……ユキ、俺らいるの忘れるなよ……」

「んぅ? サダン君はラギアスとこういう風にしないの?」

 僕たち的にはこれは普通なんだけどなぁ、と思いつつ聞いてみればボッとサダン君の顔が真っ赤になりました。

「し、しねぇよ! んな恥ずいことできるかよ……」

 恥ずかしい、かぁ……僕も付き合いたてはそうだったなぁ。隣に座るのも恥ずかしかったし、ダグにキスされるたびにワタワタしてたよね。今はドキドキ感がないってわけじゃないけど、それ以上に心が満たされるというか……ドキドキするけど、それ以上に嬉しいし安心するしっていう感じかな? んー、言葉にするのって難しいね。とりあえずサダン君に言えるのは……

「初々しいねぇ」

「ああ、初々しいな」

 なんだか思わず優しい目になっちゃうね。そのうちきっとドキドキより安心感の方が勝つ時が来るから初々しい期間を目いっぱい楽しまなくちゃね。

「う、うるさいぞユキ!」

「あはは、真っ赤な顔で睨まれても怖くないよ、サダン君!」

 本当に可愛いなぁ。ラギアスが甘々になるのも頷けるよね。

「くそ、俺だってやればできるんだからな……!」

 あ、そんなこと言っちゃ……

「本当か、サダン。サダンがどんな風に出来るのか俺に教えてくれ」

 あー……ほら、ラギアスがイキイキしだしたじゃん。完全に捕食者の目になってるよ。

「え、あ……ち、ちが……!」

「なんだ、出来ないのか? ……そうだな、求めすぎるのも良くないし仕方ないか……」

「いや、その……っ! ……っな、なんだってやってやるよ……!」

「そうか! それは楽しみだ。今夜はどんなサダンが見られるんだろうな」

 あーあ、もうやっちゃった、って顔しても遅いよサダン君。言質取られちゃったもんね。頑張ってとしか言えません。……僕も言動には気をつけます!!!

 そのままそれぞれ多種多様な空気感をまといつつゆったりと目的の丘へ向かい、到着するとラギアスとダグの連携プレーで馬から降ろしてもらいました。もちろんサダン君には笑われましたよ! 相変わらず生まれたての子鹿みたいな状態だったからね!

 お昼を食べるにはちょっと早い、ということで取り敢えずシートを敷いてまったりすることに。ダグとラギアスはゆったりと座り、僕とサダン君はクッションを抱え込んでゴロンと転がりました。

「ここいいとこだな」

「でしょー? あ、あそこ僕がお披露目したとこだよ」

「あれか? だいぶ広そうだな……神子って大変だなぁ」

「んー、普段はこうやってまったりしてるだけでいいから楽といえば楽だよ? 人前は疲れるけど」

 どうしても公の場って気疲れが凄いよねぇ。僕が失敗しちゃったら、僕に色々と教えてくれたこの国が悪く言われるんじゃないかって思っちゃうもん。僕だけならまだしも周りまで言われたらって思うと肩も凝っちゃいます。

「神子って国民の期待が集まる国王よりももっと上の存在なんだもんな……こうやって一緒にいるとそう思わねぇのにさ、世界中の期待をこの小さい身体に背負ってるんだからやっぱすげぇよなぁ……」

「ダグがいないと耐えられなかったよ。ダグがいたから今の僕がいるんだ」

 リディアやロイ達も最初から僕に甘かったけどなんでかなぁ、この世界に来てから僕が1番支えになってるって感じてたのはダグなんだよね。抱き締めてくれる腕や繋いでくれる手からダグの優しさが伝わってきたからかなぁ。……1人の人間として支えてくれるダグが今までもこれからも大好きです。

「愛する人がいればなんでも頑張れるってか?」

 ニヤニヤと笑いながら言ってきたサダン君にエイっと体当たりしてそのまま引っ付いたままでクスクスと笑う。

「せいかーい! ダグのこと愛してるもーん。ダグがいたらなんでもできちゃうもんね」

「照れねぇのかよ!」

「だって事実だもーん。サダン君だって愛するラギアスのためならなんでも出来るでしょ?」

「ぐ……いや、その……そう、だけどよ……」

 赤くなっちゃって可愛いねぇ。初々しくていいと思うよ! そのうちこんな状態のサダン君見られなくなるんだろうし、今のうちに目一杯見ておかなくちゃね!

「……ユキは恥ずかしいとか思わねぇのかよ」

「恥ずかしいっていう感情はあるよ? でもそれよりももっともっと幸せだって思うんだもん。きっとサダン君も今の幸せを目一杯感じられる日がくるよ」

 えっちは言うまでもないけど、キスするのも恥ずかしいよ? 特に他に人がいたりするとね。でも、やっぱり何よりも強いのは幸せって気持ちだもん。ダグと2人でいるだけでじわ~っと温かい気持ちが湧き上がってきてふわふわしたような幸せな気分に浸れるのです。

「大人みてぇなこと言いやがって……」

「ふふ、サダン君よりは大人だと思うよ?」

 一応結婚して1年経ったからね! そりゃ付き合いたてなサダン君よりも色々と経験してるし気持ちもいい意味で変化してるってものですよ。……それでもダグと比べたらまだまだ子供なんですけどね!! 翻弄されてばっかだもん……!

「あ"ー……恋愛ってこんな思い通りにならないものなんだな……」

「誰でも好きな人の前では冷静ではいられないってものだよ。感情を制御なんてできないし思い通りにならない。でもそれが楽しくない? せっかく両想いなんだから、思い通りにならないことも楽しまなくちゃ」

 僕だってダグへの想いが溢れてどうしようもなくなったり、そんなダグへの想いを全部ダグに伝える術が見つからなくてヤキモキしたり……まぁ思い通りにならないことなんてままあるわけです。僕にってそれはダグと両想いじゃなかったら経験出来なかったわけだから、そういうのもまるっと楽しんじゃえっていう感じです!

「……ユキって本当に大人なんだな」

「えー? 惚れた?」

「ばーか、俺が惚れるのはラギアスだけだ」

 若干シリアスになった空気を払拭したくてちょっとボケてみれば狙い通り軽い空気になって満足です!

「だって! ラギアスよかったねー!」

「そうですね。俺もサダンだけを愛している」

「き、聞こえてたのかよ!!」

 そりゃラギアスは狼さんだもん。結構大きなシートの端と端に近い距離はあるとはいえこの距離じゃコソコソ話したとしても聞こえちゃいますよ。

 わちゃわちゃしだしたサダン君とラギアスを見て、僕もダグの元へダイブして定位置に。やっぱりダグの膝の上でガッチリホールドされるのが落ち着きます。サダン君がラギアスに同じようにされたら顔を真っ赤にして暴れるんだろうなぁ、とクスクスと笑いながら、詰め寄るラギアスから真っ赤な顔で逃げようとしているサダン君をダグと仲良く眺めたのでした。
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