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After Story
お互いが1番
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「親父! なにユキ捕まえてやがる!!」
「アルバス、お前こそなに神子様を呼び捨てにしているんだ!! 申し訳ありません神子様!!」
わぁ、なんかブライアンさんが土下座しそうな勢いです。
「大丈夫ですよ、最初に敬語も敬称もいらないっていう話をしたんです」
まぁその話をする前からすでにタメ口だったけども。楽で嬉しかったなぁ。僕的にアルバスさんは気安い親戚のおっちゃんみたいな感じなのです。豪快だけど面倒見が良くて優しい親戚のおっちゃんです。
「しかし神子様……」
「ユキは堅苦しい方が嫌いなんだよ。俺が正しい接し方だ」
「でも高い高いはもうごめんです」
「しねぇよ。半径5メートルに入れてもらえなくなるからな」
良く覚えてるなぁ。高い高い事件懐かしいね。僕ものすごく怖かった……今思い出しても怖いよ、あれは。高いところからの景色は綺麗だけどさ、安全なところから見るからこそ綺麗だって思えるのであって、あんな怖い思いしてる時に景色なんて気にしてられなかったよ。
「たかい、たかい……」
あ、ブライアンさん白目剥きかけてる。
「申し訳ございません神子様……! 愚息がとんだご迷惑を……」
「いえいえ、大丈夫ですよ。楽しいですし、アルバスさんみたいに気安いと僕も楽なんです」
時折お城ですれ違う貴族の人とかに挨拶されるけど、堅苦しいのはまだまだ苦手だよ。見えないところまで離れたら肩から一気に力抜いてため息ついちゃうもん。その度にダグは慰めるようにぽんぽんって頭とか肩を優しく叩いてくれたりします。癒されます。
「ほれ、ユキもこう言っているじゃねぇか」
「お前は……! ユキ様、愚息がお気に召さないことをやらかしましたらいつでもご連絡ください。すぐに飛んできます」
「あはは、大丈夫ですよ。本当に楽しいので。それに……」
「それに?」
言っていいのか、なぁ……いいや、言っちゃえ!
「それに……アルバスさんが敬語を使うのは正直言って気味が悪いです……」
あのアルバスさんが……!? ってなるよ。僕多分いきなりユキ様なんて呼ばれたら思考停止しちゃう。その後に後ずさってダグの陰に隠れるよね。リディアなら頭を思いっきり叩いて頭がおかしくなったのかと思いまして、なんて言いそう。
「ユキちゃーん? おっちゃんだって敬語くらい使えるぞ?」
「だって熊みたいなアルバスさんに敬語は似合わないです」
あっ、しまった、この言葉じゃブライアンさんが敬語使うのも似合わないって言ってるようなものだ……いや、うん、正直言ってあまり似合わないけどね……でも普段の話し方をよく知らないぶんアルバスさんよりマシかな。
「だってよ、親父。親父の敬語も似合わないらしいぞ」
ちょ、自分でもしまったって思ってたんだからわざわざ言わないでよ……敬語似合わないって言った仕返し??
「神子様が思っているのはお前だけにだろう。ですよね、神子様?」
「えーと……そう、ですね」
本音が邪魔をしてついぎこちない返しになっちゃった。
「思っていらっしゃるのですね……」
「ごめんなさい」
とりあえず謝っておきましょう。
「くっくっく……やっぱユキは面白いな」
「む……ダグ、僕って面白いの?」
「いや、可愛いな」
「ぶっふぉ!! お前はブレねぇな!!」
もうダグ、嬉しいけどアルバスさんに笑われちゃったじゃんか。それになんかその答えはズレてる気がするよ、僕。まぁいいけど!
爆笑するアルバスさんに、僕たちのやりとりに呆然とするブライアンさん達、微笑みながら見つめ合う僕たち……なかなかにカオスな空間が出来上がってまもなく、呆れた表情のリディアがやってきた。どんな表情でもリディアは美しいです。
「まったく、何を騒いでいるのです?」
「あ、リディア。みんなお祝いしてくれた?」
「はい、ユキ様。ありがたいものですね」
「ふふ、よかったね。みんなにお祝いされるのって嬉しいよね。僕も結婚式は浮かれちゃったなぁ……」
え? いつも浮かれてる? まぁそうだけど! ダグといるだけでウキウキしちゃうんだから仕方ないのです。でも結婚式はもう本当にね、みんなにおめでとうって言われたらもの凄い嬉しさがぶわって湧き出してきてテンション爆上がりしちゃったんだよ。
「もう一度挙げるか?」
「ううん、結婚式は一回だからこそあれだけ幸せなんだよ。何回もやったら薄れちゃう。僕はあの一回の思い出を大事にしたいの」
挙げようと思えば形だけの結婚式はいくらでも挙げられるんだろうけど、やっぱり一回だけがいい。あのキラキラして幸せに満ち満ちた思い出1つだけでいいのです。
「そうか、俺もだ。それに、何度やったところであの結婚式以上の幸せは感じられないだろうしな」
まさにそれです。本物の結婚式だからこそ幸せなんだよ。あの幸せを味わっちゃったからただの形だけの結婚式なんていりません。
「俺も結婚式は一回で十分だな。なぁ、リディア」
「……そうですね」
「お? それは今日の思い出を大事にしてぇってことだよな?」
ああ、またそんなこと言ったらリディアに殴られるんじゃ……って思ったらリディアがまさにぷいって感じで顔を背けました。あれれ、耳が赤くなってる? え、なにそれ可愛い。綺麗なリディアが可愛い!!
「可愛すぎねぇかお前……」
「うるさいです。あっち行ってください」
「んなこと言うなって」
アルバスさんが閉じ込めるようにリディアを抱きしめて……いつもなら暴れそうなリディアはおとなしくアルバスさんの腕の中に……!! えぇええ、リディアが可愛い! 素直になってる!!
「神子様、ひとつお聞きしても?」
「なんですか?」
「……息子のデレデレとした表情が気味が悪いのですが、いつもあんな感じなのでしょうか」
「アルバスさんはいつもあんな感じですよ? リディアはツンデレなのでいつもはツンツンしてますけど」
いつもなら今頃アルバスさんの頬には綺麗な紅葉が出来上がっていると思う。アルバスさんなら避けられるんだろうけども、リディアの攻撃はあんまり避けないんだよね。多分アルバスさんの目には怒るリディアも可愛く映ってるんだと思う。あと避けたら避けたで更に攻撃されそうってのもあるかも。
「……見慣れなくて気味が悪いので私どもは少し離れたところへ移動します」
「ふふ、わかりました」
「では失礼します」
げっそりとしたブライアンさん達はあっという間に遠くへ行ってしまった。僕的にはアルバスさんがリディアにデレデレなのは見てて面白いからいくらでも見てられるけど、感じ方はそれぞれだしね。身内のは見たくないってことなのかなぁ。でも僕は兄さん達がデレデレしててもびっくりするくらいで気持ち悪いとか思わない気がする。やっぱ人それぞれなんだろうね。
「ね、2人きりにしよ? 僕ケーキ食べたい」
「向こう行くか」
「うん」
リディアを腕の中に閉じ込めたままなにかを囁いているアルバスさんと大人しいリディアを放置して僕たちも移動し、負けじと僕たちもいちゃいちゃ。
置いてあった椅子にまずダグが座って、その上に僕が跨って向かい合わせの状態で食べさせあいっこです。こういうところでそんなことしてもいいのか? んー、騎士と神官の結婚式だからさ、それぞれのご家族と同僚とか親しい人だけ呼ばれたから僕の時みたいに割とこじんまりした結婚式だったの。完全な公の場って感じじゃないしいいかなって。大きい舞踏会じゃちゃんと僕も椅子に座りますよ!
「ダグあーん」
「ん」
「美味しい?」
「ああ、美味い。ほら、ユキも」
「あむ」
美味しい……ビターなチョコレートがトロッととろけて……口の中が幸せ……
そんな幸せに浸っているとダグがポツリ。
「やはり俺にとってはユキが1番可愛いな」
「えへへ、僕にとってもダグが1番かっこいいよ!」
アルバスさんとリディアにとってお互いが1番であるように、僕とダグもお互いが1番! 一般的な基準で言って顔が整っている人を見てもモテるんだろうなぁ、と思うくらいでまったく惹かれません。ダグが好きすぎて周りに興味がないのもあるけど、ダグがかっこよすぎるから他の人が霞んでる可能性もあるよね!
「アルバス、お前こそなに神子様を呼び捨てにしているんだ!! 申し訳ありません神子様!!」
わぁ、なんかブライアンさんが土下座しそうな勢いです。
「大丈夫ですよ、最初に敬語も敬称もいらないっていう話をしたんです」
まぁその話をする前からすでにタメ口だったけども。楽で嬉しかったなぁ。僕的にアルバスさんは気安い親戚のおっちゃんみたいな感じなのです。豪快だけど面倒見が良くて優しい親戚のおっちゃんです。
「しかし神子様……」
「ユキは堅苦しい方が嫌いなんだよ。俺が正しい接し方だ」
「でも高い高いはもうごめんです」
「しねぇよ。半径5メートルに入れてもらえなくなるからな」
良く覚えてるなぁ。高い高い事件懐かしいね。僕ものすごく怖かった……今思い出しても怖いよ、あれは。高いところからの景色は綺麗だけどさ、安全なところから見るからこそ綺麗だって思えるのであって、あんな怖い思いしてる時に景色なんて気にしてられなかったよ。
「たかい、たかい……」
あ、ブライアンさん白目剥きかけてる。
「申し訳ございません神子様……! 愚息がとんだご迷惑を……」
「いえいえ、大丈夫ですよ。楽しいですし、アルバスさんみたいに気安いと僕も楽なんです」
時折お城ですれ違う貴族の人とかに挨拶されるけど、堅苦しいのはまだまだ苦手だよ。見えないところまで離れたら肩から一気に力抜いてため息ついちゃうもん。その度にダグは慰めるようにぽんぽんって頭とか肩を優しく叩いてくれたりします。癒されます。
「ほれ、ユキもこう言っているじゃねぇか」
「お前は……! ユキ様、愚息がお気に召さないことをやらかしましたらいつでもご連絡ください。すぐに飛んできます」
「あはは、大丈夫ですよ。本当に楽しいので。それに……」
「それに?」
言っていいのか、なぁ……いいや、言っちゃえ!
「それに……アルバスさんが敬語を使うのは正直言って気味が悪いです……」
あのアルバスさんが……!? ってなるよ。僕多分いきなりユキ様なんて呼ばれたら思考停止しちゃう。その後に後ずさってダグの陰に隠れるよね。リディアなら頭を思いっきり叩いて頭がおかしくなったのかと思いまして、なんて言いそう。
「ユキちゃーん? おっちゃんだって敬語くらい使えるぞ?」
「だって熊みたいなアルバスさんに敬語は似合わないです」
あっ、しまった、この言葉じゃブライアンさんが敬語使うのも似合わないって言ってるようなものだ……いや、うん、正直言ってあまり似合わないけどね……でも普段の話し方をよく知らないぶんアルバスさんよりマシかな。
「だってよ、親父。親父の敬語も似合わないらしいぞ」
ちょ、自分でもしまったって思ってたんだからわざわざ言わないでよ……敬語似合わないって言った仕返し??
「神子様が思っているのはお前だけにだろう。ですよね、神子様?」
「えーと……そう、ですね」
本音が邪魔をしてついぎこちない返しになっちゃった。
「思っていらっしゃるのですね……」
「ごめんなさい」
とりあえず謝っておきましょう。
「くっくっく……やっぱユキは面白いな」
「む……ダグ、僕って面白いの?」
「いや、可愛いな」
「ぶっふぉ!! お前はブレねぇな!!」
もうダグ、嬉しいけどアルバスさんに笑われちゃったじゃんか。それになんかその答えはズレてる気がするよ、僕。まぁいいけど!
爆笑するアルバスさんに、僕たちのやりとりに呆然とするブライアンさん達、微笑みながら見つめ合う僕たち……なかなかにカオスな空間が出来上がってまもなく、呆れた表情のリディアがやってきた。どんな表情でもリディアは美しいです。
「まったく、何を騒いでいるのです?」
「あ、リディア。みんなお祝いしてくれた?」
「はい、ユキ様。ありがたいものですね」
「ふふ、よかったね。みんなにお祝いされるのって嬉しいよね。僕も結婚式は浮かれちゃったなぁ……」
え? いつも浮かれてる? まぁそうだけど! ダグといるだけでウキウキしちゃうんだから仕方ないのです。でも結婚式はもう本当にね、みんなにおめでとうって言われたらもの凄い嬉しさがぶわって湧き出してきてテンション爆上がりしちゃったんだよ。
「もう一度挙げるか?」
「ううん、結婚式は一回だからこそあれだけ幸せなんだよ。何回もやったら薄れちゃう。僕はあの一回の思い出を大事にしたいの」
挙げようと思えば形だけの結婚式はいくらでも挙げられるんだろうけど、やっぱり一回だけがいい。あのキラキラして幸せに満ち満ちた思い出1つだけでいいのです。
「そうか、俺もだ。それに、何度やったところであの結婚式以上の幸せは感じられないだろうしな」
まさにそれです。本物の結婚式だからこそ幸せなんだよ。あの幸せを味わっちゃったからただの形だけの結婚式なんていりません。
「俺も結婚式は一回で十分だな。なぁ、リディア」
「……そうですね」
「お? それは今日の思い出を大事にしてぇってことだよな?」
ああ、またそんなこと言ったらリディアに殴られるんじゃ……って思ったらリディアがまさにぷいって感じで顔を背けました。あれれ、耳が赤くなってる? え、なにそれ可愛い。綺麗なリディアが可愛い!!
「可愛すぎねぇかお前……」
「うるさいです。あっち行ってください」
「んなこと言うなって」
アルバスさんが閉じ込めるようにリディアを抱きしめて……いつもなら暴れそうなリディアはおとなしくアルバスさんの腕の中に……!! えぇええ、リディアが可愛い! 素直になってる!!
「神子様、ひとつお聞きしても?」
「なんですか?」
「……息子のデレデレとした表情が気味が悪いのですが、いつもあんな感じなのでしょうか」
「アルバスさんはいつもあんな感じですよ? リディアはツンデレなのでいつもはツンツンしてますけど」
いつもなら今頃アルバスさんの頬には綺麗な紅葉が出来上がっていると思う。アルバスさんなら避けられるんだろうけども、リディアの攻撃はあんまり避けないんだよね。多分アルバスさんの目には怒るリディアも可愛く映ってるんだと思う。あと避けたら避けたで更に攻撃されそうってのもあるかも。
「……見慣れなくて気味が悪いので私どもは少し離れたところへ移動します」
「ふふ、わかりました」
「では失礼します」
げっそりとしたブライアンさん達はあっという間に遠くへ行ってしまった。僕的にはアルバスさんがリディアにデレデレなのは見てて面白いからいくらでも見てられるけど、感じ方はそれぞれだしね。身内のは見たくないってことなのかなぁ。でも僕は兄さん達がデレデレしててもびっくりするくらいで気持ち悪いとか思わない気がする。やっぱ人それぞれなんだろうね。
「ね、2人きりにしよ? 僕ケーキ食べたい」
「向こう行くか」
「うん」
リディアを腕の中に閉じ込めたままなにかを囁いているアルバスさんと大人しいリディアを放置して僕たちも移動し、負けじと僕たちもいちゃいちゃ。
置いてあった椅子にまずダグが座って、その上に僕が跨って向かい合わせの状態で食べさせあいっこです。こういうところでそんなことしてもいいのか? んー、騎士と神官の結婚式だからさ、それぞれのご家族と同僚とか親しい人だけ呼ばれたから僕の時みたいに割とこじんまりした結婚式だったの。完全な公の場って感じじゃないしいいかなって。大きい舞踏会じゃちゃんと僕も椅子に座りますよ!
「ダグあーん」
「ん」
「美味しい?」
「ああ、美味い。ほら、ユキも」
「あむ」
美味しい……ビターなチョコレートがトロッととろけて……口の中が幸せ……
そんな幸せに浸っているとダグがポツリ。
「やはり俺にとってはユキが1番可愛いな」
「えへへ、僕にとってもダグが1番かっこいいよ!」
アルバスさんとリディアにとってお互いが1番であるように、僕とダグもお互いが1番! 一般的な基準で言って顔が整っている人を見てもモテるんだろうなぁ、と思うくらいでまったく惹かれません。ダグが好きすぎて周りに興味がないのもあるけど、ダグがかっこよすぎるから他の人が霞んでる可能性もあるよね!
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