あの人と。

Haru.

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After Story

甘いご褒美

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「はっ、は、っはぁ……は、ぅ……」

 ……結局無理矢理2回も出させられた上に1回出さずにイかされた……! 僕の体力すっからかんだよダグのバカ!

 うぅ、朝からこんなこと……しかももらった温室で……現在、後悔が押し寄せてきております……

「はは、気持ちよかったな。またここでしような」

「や! ここではもうしない……!」

「なんでだ? 気持ちよかっただろう?」

 う……そりゃ気持ちよかったけども……! いつもと違うところでのえっちはドキドキハラハラ感があっていつもより気持ちよかったけれども……!

「罪悪感が……」

「まだ気にしてたのか? 父上も母上も気にしてないぞ。ほら、これ見てみろ」

「へ?」

 ダグに渡されたのは1通の手紙……? 差出人はアーノルドさん、つまりはお義父さん……なになに、なんて書いてるんだろ……


 温室は好きに使いなさい。第2の寝室として使っても構わないよ。2人のものだからどう使ったとしても罪悪感などいらない。ユキちゃんに楽しく使ってもらった方が私も嬉しいからね。

 追伸、浄化はしておくことをお勧めするよ。

アーノルド・リゼンブル


「っ?!! っっ??!!!」

「言っただろう? 気にしなくていいと」

 ううう嘘でしょえっちに使うことが予想されてたってこと?!! そして気づかぬふりからの黙認とかじゃなくてわざわざこんな手紙……!

「……っ似た者親子……!!!」

 お義兄さんも含めてな……!

「はは、悪いな。ま、とりあえず罪悪感はいらないということだけ覚えとけ」

「……うん」

 かといってまたここでえっちするかと言われたらちょっと逆に戸惑うけど。まぁ、結局は流されてしまうんでしょうけどねー。ダグに求められたらよっぽどじゃない限り断ることはないと思うしねー。
 体調悪かったらそもそもダグは心配してすぐ寝かせるからえっちしようとしないし。体調いい時に愛しい人に求められたら、ね? 流石に屋外ではしませんけど……!! それは抵抗する!

「さて、このままだといくら暖かい温室とはいえ風邪を引いてしまうな。拭いてから昼にしよう」

「……ん」

 僕は主に腰に力が入らないので全部やってください。ジトっと見つめつつ腕を伸ばせばくつくつと笑いながら魔法収納からほかほかのお湯が入った洗面器を取り出したダグ。

 ……最初からえっちするために用意してたな……!

 お湯で拭かれるのはありがたいけどなんだか複雑だ……

 浄化をかけてからお湯で濡らしたタオルでさっと拭かれてさっぱりした僕はささっと服を着せてもらった。あったまっていない服はちょっと冷たく感じたから服を整えたダグに抱きしめてもらってぬくぬく。すっぽり覆われると温かくて気持ちいいのです。

「髪が乱れてしまったな。一度取っておいて昼を食べてから整えよう」

「ん」

 そりゃえっちなんてしたら髪の毛も崩れますよね……! 髪が乱れるようなことをしたってリディアにバレる……いや、リディアのことだから雰囲気で察するか。今更だね。

 髪を引っ張らないように慎重にガラス細工の髪飾りが取られ、1度テーブルの上へ避難。ちゃんと落ちないところに置いてもらったよ。落ちて万が一にも割れたら泣く。大泣きする。これもダグに貰ったものだからね……!

「さて、昼も俺が食べさせてやるからな」

「……ん」

 カトラリーくらいは持てるけど食べさせてもらう。今はえっち後の甘やかしタイムなのです。いつもより甘やかしてもらえる最高の時間なのです。ダグはえっち後と僕が体調を崩した時、それから僕が特に甘やかしてほしいなって思った時に特にデッロデロに甘くなる。7割増しで甘くなる。僕はこの時間が大好きなのです!

 え? いつも十分すぎる程甘い? 知ってる!


 雛鳥よろしくダグに食べさせてもらうご飯はいつもの倍は美味しく感じる。いつかより美味しく食べれるからって自分で食べることをやめて、全部ダグに食べさせてもらおうとしちゃわないかな?! ダメ人間は回避しなくちゃ……!

 なんて思いつつ嬉々としてダグの餌付けを受ける僕。だって美味しいんだもの。

「ほら、ユキの好きなローストビーフだ」

「ん!」

 ふわぁ……美味しい……! しっとり柔らかいローストビーフ!! そしてしっかり好物を覚えてくれてるダグ大好き!

「美味いか。ほら、もう一口」

 はぅ……美味しい……

「野菜も食べないとな」

 むぐ……野菜も甘くて美味しいけど僕はお肉が食べたいな! お肉!

「肉はスープを飲んでからな」

 お肉……んっ、でもスープも美味しい。しっかり出汁が取られてますね!! じっくり煮込まれた奥深いお味がします! さてお肉!

「わかったわかった。次は肉だな」

 ん~!! おいしーい!


 こんな調子でお昼は食べ終わり、いろんな意味で甘~いデザートタイム!

「ダグ、あーん」

「ん……美味いな。ほら、ユキも」

「ん! ん~! 美味しい!!」

 今日のデザートはフォンダンショコラ! トロッとした濃厚なチョコレートがたまりません……! ちょっと寒くなってきた季節にあったかいフォンダンショコラっていいよね。でも僕フォンダンショコラはあまり上手く作れません。焼き加減が難しいんだよねぇ……

「ついてるぞ」

「んっ……もう、普通に拭いてよ……」

「もったいないだろう?」

 甘~いダグは僕の口元に付いたチョコもペロッと舐めて取るのです。ついでに唇もペロッとされるから濃厚なキスを思い出してドキドキしてしまう。

「むぅ……」

「ほら、食べないと冷めるぞ」

 それはダメ! 冷たくなったフォンダンショコラも美味しいことは美味しいけどやっぱりあったかいのがいい!

 早く次ください!!

「くっくっ……ユキは本当に甘いものが好きだな」

「大好き!」

「……俺の方が好きだよな?」

 え? まさかの甘い物にまで嫉妬? 無機物だよ……?! 人じゃないんだよ?!!

「当たり前! 甘い物も大好きだけど、甘~いお菓子を食べさせてくれる甘~いダグはもっと好きだなぁ?」

 だから食べさせてください!!

「……あげなかったら?」

 そうきたか。

「ダグが好きなことに変わりはないけどちょっと拗ねます」

「それは駄目だな。沢山食べろ」

「ん! ふふー、美味しいねぇ」

「そうだな。俺にも食べさせてくれるか?」

「うん! はい、あーん」

「ん。ユキに食べさせてもらうと余計に美味いな」

 ダグも僕と同じことを思ってるってやっぱり嬉しいなぁ……幸せとはまさにこのこと。

「僕もダグに食べさせてもらうの好き! いつもより美味しくなるもん」

「なら毎食俺が食べさせてもいいな」

「それは駄目!」

「なんでだ」

 心底不思議そうに言うダグ。どれだけ僕を甘やかしたら気がすむのですか……

「僕がダメ人間になる予感しかしないし、それが普通になっちゃったらダグが任務の日のお昼と夜が辛くなる!」

 今はお休みだからこうしてべったりひっついて食べれるけど任務中だったら同じ席について、なんてできない。ただでさえ1人で食べるのって寂しいのにダグに食べさせてもらうのが普通化したら大変なことになる!

「そうか……残念だ。やはりたまにだけか」

「うん! たまにこうして食べれたら特別感も相まってもっと美味しくなるね?」

「ふ、そうだな。たまの楽しみにとっておこう」

 そうしてください! 僕もそれをご褒美に1人のご飯も耐えます……!
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