あの人と。

Haru.

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After Story

安心毛布

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 ダグに抱きしめられつつお昼寝して、起きたらもう夕方だった。

「おはよう、ユキ」

「おはよ……」

 だいぶ身体も軽くなってる。これならケーキも焼けそうだけど……やっぱりまたの機会にしておこう。

「身体はどうだ?」

「だいぶ楽だよ……」

 ダグラスさん、ゆっくーり撫でられるのはたまらなく気持ちいいし嬉しいのですが、寝起きで眠気が完全に取れていない状態でされると瞼が……

「もうひと眠りするか? 夕食まではまだ少し間があるぞ」

「夜ねれなくなっちゃう……」

 いやまぁダグと一緒なら問答無用で安眠出来るのですけどもね! 気分的にだよ!!

「なら何か飲むか」

「ん……」

 渡してくれたグラスに口をつけるとちょっとびっくりした。

「これなに?」

「リディアが置いていった栄養満点の飲み物だそうだ」

 なるほど。僕てっきりレモン水だと思ってたから思ってた味じゃなくてびっくりしちゃったよ。ほら、コーヒーだと思って飲んだらコーラだった時の感じだよ。改めて飲んでみるとちゃんと美味しかった。飲んだことない味だから多分前に作ってもらったのとはまた違うんだよねぇ……ほんとリディアって超人だよね。レパートリーどれだけあるのかリスト作ってみたいかも。

「夕食までどうする」

「うーん……なにしよっか。前のボードゲームは?」

「あるぞ。久しぶりにやるか?」

「うん!」

 今度こそダグに勝ちたいなぁ。まぁいくら手加減してもらっても全然勝てないから無理なんだろうけども……今度兵法書的なの読んでみようかな?


「むむ……」

「教えるか?」

「敵に教わるなんて……!!」

「はは、冗談だ」

 むぅ。絶対内緒で兵法書読んでやる……!

「そういえばダグとアルバスさんでやったらどうなる?」

「俺はあの人に勝てないぞ。あの人は奇抜な戦略で攻めにくるからな。予想外の展開にもっていかれる」

 あー、たしかにそんな感じするかも。すごい納得できる。こっちがいけるって思った瞬間に一気に崩しに来そうな気がする。まぁ僕だったらいける、なんて思う暇もないと思うけどね!

「僕、ダグがアルバスさんに勝つかっこいいとこ見たいなぁ」

 なんて言ってみたり。

「普段の俺は格好良くないのか?」

「ち、違うよ?! かっこいいよ?! かっこいい自慢の旦那様です!!」

「なら勝てなくとも問題ないな」

 ……なんか負けた気分。確かにいつもかっこいいけどアルバスさんに勝つところも見てみたかったのになぁ。

「勝てるかはわからないが、今度団長と手合わせでもしてみるか。ボードゲームじゃなくてな」

「ほんと?! あ、でも怪我しない……?」

 僕のわがままで手合わせをしてもらって怪我をするのは……

「騎士に怪我はつきものだ。手合わせは訓練にもなるし少しの怪我くらいどうということはないさ。俺もあの人と手合わせをしたら学べることが多々あるからな。今度申し込んでおこう」

「ふふ、じゃあ戦うダグが見れるんだね。ダグの真剣な目好きだから楽しみ」

 第3王子の時のように襲撃からの戦闘じゃないから落ち着いて見れそう。あの時は落ち着いてみてられなかったし、手合わせはちゃんと見たいなぁ……絶対剣を振るうダグはかっこいいと思うのです!!

「負けても格好悪いから別れるなどと言わないでくれよ?」

「言わないよ!! 僕だってぜっっっったい別れたくないもん!」

「はは、冗談だ。俺も別れるつもりなどない。一生離さない予定だ」

「予定なの? 決定事項にしといてよ。おじいちゃんになっても一緒にいるんでしょ?」

 予定は未定! 予定止まりじゃ不満です!! 

「決定事項にしてもいいのか? 何が何でも離さないぞ」

「いいもん! 離されたら困るよ?」

「なら決定事項にしておこう。ユキは一生俺のものだ」

「ダグも一生僕のもの!」

 途中のボードゲームそっちのけでいちゃいちゃしだした僕達のもとへリディアが温かい夕食とともにやってくるまであと数十分。


「ふぁー、美味しかった! 最近ご飯が美味しすぎてつい食べすぎちゃう」

 食欲の秋、ってやつかなぁ? ぶくぶく太ったらどうしよう……冬になったらまんまるの僕、なんてなったら嫌だ! 冬ってただでさえ厚着するから雪だるまみたいになっちゃう!!

 まぁまずいってなったらリディアが止めてくれるはずだし気にしなくていいか。毎日エステ受けてるようなものだし!

「俺からしたらそれでもユキの食べる量は少ないがな」

「ダグと比べたらそりゃあね……4倍は食べるもんねぇ……やっぱり筋肉に栄養いってるのかな」

 ムニムニと逞しい腕を揉んでみる。この二の腕、僕の太ももより太いんですよ。だからこそ僕はダグの腕に安心して乗れるんだけどね。全く揺らがないから安定感抜群なのです。

「どうだろうな。俺にとっては普通だったから考えたこともなかった」

「でも流石に身長は止まってるでしょ?」

「……そうだな」

「……え、伸びてる、の……?」

「……誤差程度な」

 ……嘘でしょ? たとえ誤差程度でも伸びてるの? もうダグ26だよ?! 僕止まってるのに!!

「もう伸びちゃダメ!!」

「そう言われてもな……」

「ずるい……僕も身長ほしい……」

 この世界の平均とっくに超してるのにダグは伸びすぎだと思います! 僕に分けて!!

「可愛いからそのままでもいいじゃないか」

「むぅ……だってダグとの視線がどんどん離れちゃう……」

「俺が抱き上げたら問題はないな」

 そうだけども。たしかに視線はぐっと近くなりますけども!!

 まだちょっと不満げな僕にダグがまた一言追加。

「今のユキのサイズは抱き締めやすくて好きだぞ」

「ならこのままでいいや」

 単純で結構! ダグが最優先なので!!

「くっくっ……ほらこっちに来い。可愛いユキを抱き締めさせてくれ」

「ん!」

 ダグの腕の中へダイブ! すっぽり逞しい腕で包み込まれてたまらなく心地いいです! 首筋に顔を埋めたらダグの匂いがふわっと香って最高です! お風呂前だから完全なるダグの匂いなのですよ。臭くないよ! 爽やかなとってもいい匂いです!! あれ、僕変態チックだな……まぁいっか、ダグ限定だし。

 ふすふすとダグの匂いを嗅いでいるとものすごくリラックスしてきてうとうととしてきた。ダグも僕の頭を撫でてくるものだからもうよけいにねむーく……

「はっ!! 寝ちゃダメだ!」

 お風呂にも入らず寝るところだった! ダグもなに僕を寝かせようとしてるのさ!!

「くっくっくっ……このまま寝るのかと思っていたんだがな。ほら、風呂に入れてもらって来い。風呂から上がったらもう寝ような」

「うん、そうする……」

 お風呂で寝ないようにしなくちゃ……まぁ寝る前にリディアが起こしてくれるんだけどもね。

 今にも寝そうな僕をパパッとお風呂に入れてマッサージもしてくれたリディアに服を着せてもらい、ダグのもとへ戻るとダグもお風呂上がりでホカホカ、僕もホカホカで……ああ、ねむけが…………

「ユキ様お飲み物は……眠ってしまわれましたね。まぁ予想していたのでマッサージの前に一度レモン水をお飲み頂いていますし大丈夫でしょう。私はもう部屋へ戻りますのでユキ様をお願いしますね」

「ああ、わかった。明日は温室に行くから昼もそっちに用意してくれるか?」

「かしこまりました」

 ほとんど意識を飛ばしながらそんな会話を聞いた僕は明日のデートを楽しみにしつつ心地いい眠りにつきました。
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