あの人と。

Haru.

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本編

140 結局は

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 旅行3日目! 水曜日です。今日こそはダグへのプレゼントを買いたい……! あ、おじさんへのお礼の手紙は昨日の夜に書き上げてリディアに渡しましたよ。いつお礼を届けるのかは知らないけど、絶対届けてくれるはず。

「さて、いくか」

「うん!」

 昨日の夜はそのまま寝たから今日の僕は絶好調! ダグと街へお出かけです。

「では行きましょうか」

 今日はリディアも街に行く。とはいえ僕達とは別行動なんだけど、リディアはお土産買わないのかって聞いたらそれなら僕が出かけてる間に行ってくるって言ったから一緒に街に向かうの。一緒の馬車に乗って降りてから別行動だよ。

 むふふー、リディアも好きな人にお土産買えばいいのにって思ってたから聞いたんだけど、お土産見に行くようで良かった! まぁその人に買うとは決まってないけど、見に行かないよりは買う可能性高いよね!



 馬車で街中まで行き、リディアと別れてダグと2人で歩く。今日来たのは一昨日とはまた違う場所で、市場ではなく普通のお店が並ぶ場所。お土産買うならこっちかなって思ってる。

「何を買うんだ?」

「うーん、何がいいかなぁ。せっかくだから海っぽいのがいいよね」

 サンゴや貝殻を使った何かとかがいいかな?

「ふむ……とりあえず見てからだな」

「そうだねぇ」

 とりあえずデートを楽しみつつ見て行きましょう! お土産探しで大変ですデートどころではなかったなんてならないようにね! デートできるようにロイ達が計画してくれたんだからあくまでもメインはデート! お土産はその中でいいものを探すのです。



「むー、見つからない……」

 現在街の中心にあった噴水の近くで休憩中。ダグが渡してくれたリディア特性果実水を飲みつつうんうんと唸る。

「土産ならだいたい見つかっただろう?」

「えっ、あっ、う、うん!!」

 ダグへのプレゼントを探してたなんて言えない……! 

「で、何を探しているんだ?」

「な、内緒」

「内緒にしても俺の前で買えばバレるぞ。別行動は無理だしな」

 うっ、たしかに……わかってはいたけどこっそり買うなんて無謀かぁ……ダグが商品に夢中になることってないからその間に店員さんに話をつけて、も無理だし僕まだ魔法収納を習得できてないからリディアに渡すまでも隠せない……

「うぅ……でもダグには言えないよぅ……」

「ふむ……? ああ、まさか俺の誕生日祝いを買おうとしているのか」

「な、なんでそれを……!」

 なんでバレた?!

「いや、俺に言えないなら俺宛だろう? 最近で俺宛に何かを贈るような出来事といえば誕生日か結婚くらいだしな。結婚相手のユキからなら結婚祝いというのもおかしな話だし、ならば誕生日祝いだろうと」

「うぅ……正解です……」

 思わずガクリと項垂れる。もうこれでサプライズ企画は潰れた……悲しい!!

「気にしなくていいと言っただろう?」

「だってぇ……」

「俺としてはユキとの結婚が誕生日祝いみたいなものだったからな。可愛い奥さんをもらえて俺は嬉しいぞ?」

 今すっごいキュンとした……! 微笑みながらのそのセリフはずるいと思うのです!!

「ぼ、僕だってかっこいい旦那様もらったもん!」

 僕ももらってるから誕生日祝いにはなりません!!

「その台詞は嬉しいな」

 本当に嬉しそうに微笑むから僕の胸が鳴り止みません!! キュンキュンとうるさいぞ、僕の胸!

「俺は本当に欲しいものがユキくらいだからな。ユキが俺のものである以上、何もいらないぞ?」

「あ、う……でもぉ……」

「なら帰ってから1日を俺にくれ。ユキと2人きりでただまったりと過ごしたい。父上と母上がくれた温室ででもゆっくり過ごそう」

「それ、僕が喜ぶだけなんだけど……」

 ダグとまったりするなんてなんのご褒美? 結婚前って意外にバタバタしてじっくりまったりする時間ってなかなか取れなかったし、いくらでもそんな時間は欲しいくらいだよ。まぁ忙しかったわけじゃなくともダグとの時間はいつだって嬉しいのですが!

「俺だって嬉しいからいいだろう? ああ、温室にはピアノもあるようだから何か弾いてもらおう」

「いくらでも弾くけど……本当にそれでいいの? 僕なんだって買うよ?」

「物よりユキとの時間が欲しい」

 っ!! 今ぼくの心臓止まりかけた!!

「僕ダグが好きすぎて死にそう……」

 キュンキュン通り越してギュンギュンいってる……ダグへの愛が止まらない!!

「はは、死なないでくれよ? 俺はユキがいないと生きていけん」

 はぅ……さらにときめかせて僕をどうする気ですか……ときめき指数振り切れ過ぎて本当に死にそうなんですが!

 こんな幸せを逃したくないから死なないけどね! なんとしてでも生き延びますよ僕は!!

「ふぅ……一生分ときめいた気がする……本当に何も買わなくていいんだね?」

「ああ、もちろんだ。ほら、何も気にしなくていいから普通に旅行を楽しもう」

「……そうだね! 旅行なんてそうそう出来るものじゃないし楽しまなくちゃ!」

 何もいいものが見つからないし、ダグがいいというならもう気にせずに楽しもう! ダグと過ごす前の日にケーキは焼いておくけどね! ダグは甘いものは好きだけど甘すぎると食べられないから甘さ控えめで作るつもりです。

 並んで座っていたベンチからパッと立ち上がってまた街へ。まだもう少しリディアと合流するまで時間があるから近くのお店でも見ながら時間を潰そう。何か珍しいものとかあるといいなぁ。



 結局その後色々と見ているうちに僕ばっかり買ってもらっちゃった。髪飾りやアンクレットや綺麗なジュエリーケースなどなど……申し訳ないなって思うんだけど、本当に楽しそうに僕に買い与えるダグを見てたら何も言えない。
 本当は僕の身の回りのもの全てをダグが買ったもので埋め尽くしたいんだって。リディアが集めたものが多すぎて無理だからそれはしないけど、少しずつダグが買ったものを増やしていくつもりなんだって。

 ……少しずつとはって思うくらい買ってくれたのは気のせい? まぁダグが買ってくれたものは全部宝物になるし嬉しいしいいんだけどさぁ……いつか破産しない?

 え? それ以上に稼いでるから大丈夫? それにこうして買ってやれるのはたまにだから問題ない?

 ……流石部隊長なだけありますねぇ。まぁいいや、ダグにもらえる物はなんでも嬉しいしありがたく受け取ろう!


「ユキ、最後にあの店に行こう」

「ん? 欲しいものあるの?! 僕が買う!」

 なになに、欲しいものあるんじゃ、ん……

「……ダグ兄上、念のため聞きますがこれは何に使うおつもりで……」

「聞くのか? 別にいいがそうだな、夜にベッドの上でユキを蕩か」

「わぁああああ!! もういい! もういいです!!」

「ふ、残念だ。買ってくる」

 ばかばかばか! 欲しいものだと思ったのに!! 確かに買うってことは欲しいもので間違いはないのだろうけどそういうことじゃない!!

 ダグが手に取ったのはえっち用の香油でした。いつも使ってるやつとはまた違った香りのものらしいです……
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