あの人と。

Haru.

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本編

21 玉体

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「んっ…………あぁっ!」

「ふふ、ここがよろしいのですか?」

「ん……そこぉ…………ぁ……」

「気持ちいいのですね、もっとして差し上げますよ」

「もっとなん、て……あっ……」

「ほら、こちらなんてどうですか?」

「あぁっ! そこ、だっめ……んぅっ……!」


































「はい、終わりです。












そんなにも気持ちよかったのですか? この
お気に召されたようでしたら毎日でも致しますよ」

「うぅ、リディアマッサージ上手すぎない? もうゴッドハンドだよ」


 結局リディアに隅から隅まで洗われて全身オイルマッサージまでされた。抵抗したんだけどキラッキラの笑顔で

「私に全てお任せください! 大丈夫ですよ、私に恥ずかしがることは何もございませんよ」

って言われて押し切られたんだよ……え? 局部?


 ……察して。


 いやまぁ、正直人にお風呂入れてもらうのって凄くくせになりそうなくらい気持ちよかったよ。頭なんか特に丁寧にわしわしされたら気持ちよすぎて寝かけたよね。
 全身洗われて湯船に浸かるとその間にリディアが僕の髪にオイルを揉み込んでマッサージを始めたんだけど、多分それのおかげで僕の髪の毛は乾いたらかつてないほどにさらっさらのつやっつやになると思う。なんかいい匂いもするし。

 そして何よりついさっき終わったオイルマッサージ! あれほんと堪らない。やばい。エステに通う女の人の気持ちがわかった気がするよ、僕。いや、綺麗になりたいわけじゃないけどさ、気持ちいいし全身軽くなるし最高すぎるよ!!


「お褒めに預かり光栄です。マッサージは血行を良くし、健康にもよろしいのですよ」

 僕に服を着せて、僕の髪を優しく布で拭きながらリディアが言う。
 うわ、この布めっちゃ水分吸収する。さっきまでびちゃびちゃだったのにもうほとんど乾いちゃった。

「そうなの? じゃあ、リディアがお休みじゃない日は毎日軽くでもやってもらおうかな?」

「ふふ、かしこまりました。では入浴のお手伝いも毎日させていただきますね」

「えっそれはいいかな?!」

「ご遠慮なさらずに。私に全てお任せください」

 いやいやいやそんなにっこり笑顔で言われても……!

「いや、自分d「お任せくださいね?」

「……はい」


負けました。だって圧力がすごいんだよ……! リディア綺麗な顔してるのに押しが強い!! 勝てる気がしないよ……
 それにしても明日から毎日お風呂はリディアに入れてもらうのか……手伝ってもらうような歳でもないのに! いや、確かに頭とか洗ってもらうの凄い気持ちよかったけどさぁ! やっぱ恥ずかしいじゃん!!!

 ……慣れるしかない、か。







「そういえばユキ様、ユキ様の故郷の方達は皆様体毛が薄くていらっしゃるのですか?」

 ん? ハゲ?

「え、確かにそれなりの歳の人とか、苦労してる人とかは髪の毛薄かったりするけど、この世界は違うの?」

「いえ、こちらの世界でもそれは同じですよ。私が言っているのは所謂ムダ毛のことでございます」

 ……ムダ毛。うん、なんでその質問したのかなんとなーくわかった気がするよ。


 ……悲しいことに。


「別にそんなことないよ? 男の人とかすね毛も生えてるし髭だって生えてるよ?

……で、一応聞くけどなんでその質問を?」

「いえ……ユキ様のお身体にはムダ毛というものが一切見受けられませんでしたので……そういう世界なのかと」



 やっぱり……! 僕気にしてるのに!!!


 そうなんだよ、僕なぜか一切ムダ毛ってものが生えてこないんだよ!! 流石に産毛程度はあるよ?  うっすらと。
 でも一般的な男の人が生えてるようなすね毛も脇毛も髭も! ……アソコの毛も!!! 何も生えてないんだよ!!!! ツルッツル!! マニアックすぎるよ!!!


 修学旅行とかでさ、いかに同級生に見られないようにするかってすごい大変だったよね。まぁ、抵抗虚しく見られましたけども!
 それでも「キモい」とかは言われなかったのは不幸中の幸い、ってやつなのかな?
 ただ「身長高め合法ショタ目指せ」って言われたなぁ。いやもう平均身長ある時点でショタもクソもないしどこに需要あるのって感じだったなぁ。


 ……ん? ここの平均身長2mってことは僕ショタ? え、合法ショタなっちゃった? 僕やだよ、そんなの。


 はぁ、でも中学ぐらいまでは成長遅いんだって言い聞かせてたけどもう今18だからなぁ……今更毛が生えるなんて望み薄いよ……毛も薄いけど……なんちゃって。



 いや冗談抜きで本気で僕このままだとツルッツルのまんまだよ!! おっさんになってもツルッツルとかもう大分やばいでしょ……いや別に誰かに見せるわけじゃないけどさ!! 気分的な問題だよ!

「……リディア、僕の体毛のことは誰にも言わないでおいてくれるかな」

「なぜですか?! 私、ユキ様のような一切ムダ毛のない美しいお身体は初めて拝見いたしました! これはもうユキ様の玉体を皆様にお知らせするべきだと……!」

「いやいやいやいやいややめて?! それだけはやめて?! 僕そんなことされたら外歩けなくなっちゃうよ!!!」

 僕、「ムダ毛がないんだって。アソコもツルッツルだと」「ええ? まさか子供じゃあるまいし」「流石にちょっと引くな……」なんて指さされながらヒソヒソされるのやだよ!

「そんな……! あんなにお美しいのに……! なにもお恥ずかしがることはございませんよ?」

「い、言い触らしたらリディアとはもう口もきかないよ!! お、お世話してくれる人も変えてもらうからね!!!」

「なっ……! わ、わかりました。ユキ様の美しいお身体は私の中にだけ留めておきます……」

「う、うん、できれば忘れてほしいけど、言い触らさないならそれでいいよ……」

 よ、よし! これで僕のコンプレックスが知れ渡ることは回避できた!! よかった……!


 ……このやり口はまた使えそうだなぁ。なんてね。




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