22 / 396
本編
21 玉体
しおりを挟む「んっ…………あぁっ!」
「ふふ、ここがよろしいのですか?」
「ん……そこぉ…………ぁ……」
「気持ちいいのですね、もっとして差し上げますよ」
「もっとなん、て……あっ……」
「ほら、こちらなんてどうですか?」
「あぁっ! そこ、だっめ……んぅっ……!」
「はい、終わりです。
そんなにも気持ちよかったのですか? このオイルマッサージ。
お気に召されたようでしたら毎日でも致しますよ」
「うぅ、リディアマッサージ上手すぎない? もうゴッドハンドだよ」
結局リディアに隅から隅まで洗われて全身オイルマッサージまでされた。抵抗したんだけどキラッキラの笑顔で
「私に全てお任せください! 大丈夫ですよ、私に恥ずかしがることは何もございませんよ」
って言われて押し切られたんだよ……え? 局部?
……察して。
いやまぁ、正直人にお風呂入れてもらうのって凄くくせになりそうなくらい気持ちよかったよ。頭なんか特に丁寧にわしわしされたら気持ちよすぎて寝かけたよね。
全身洗われて湯船に浸かるとその間にリディアが僕の髪にオイルを揉み込んでマッサージを始めたんだけど、多分それのおかげで僕の髪の毛は乾いたらかつてないほどにさらっさらのつやっつやになると思う。なんかいい匂いもするし。
そして何よりついさっき終わったオイルマッサージ! あれほんと堪らない。やばい。エステに通う女の人の気持ちがわかった気がするよ、僕。いや、綺麗になりたいわけじゃないけどさ、気持ちいいし全身軽くなるし最高すぎるよ!!
「お褒めに預かり光栄です。マッサージは血行を良くし、健康にもよろしいのですよ」
僕に服を着せて、僕の髪を優しく布で拭きながらリディアが言う。
うわ、この布めっちゃ水分吸収する。さっきまでびちゃびちゃだったのにもうほとんど乾いちゃった。
「そうなの? じゃあ、リディアがお休みじゃない日は毎日軽くでもやってもらおうかな?」
「ふふ、かしこまりました。では入浴のお手伝いも毎日させていただきますね」
「えっそれはいいかな?!」
「ご遠慮なさらずに。私に全てお任せください」
いやいやいやそんなにっこり笑顔で言われても……!
「いや、自分d「お任せくださいね?」
「……はい」
負けました。だって圧力がすごいんだよ……! リディア綺麗な顔してるのに押しが強い!! 勝てる気がしないよ……
それにしても明日から毎日お風呂はリディアに入れてもらうのか……手伝ってもらうような歳でもないのに! いや、確かに頭とか洗ってもらうの凄い気持ちよかったけどさぁ! やっぱ恥ずかしいじゃん!!!
……慣れるしかない、か。
「そういえばユキ様、ユキ様の故郷の方達は皆様体毛が薄くていらっしゃるのですか?」
ん? ハゲ?
「え、確かにそれなりの歳の人とか、苦労してる人とかは髪の毛薄かったりするけど、この世界は違うの?」
「いえ、こちらの世界でもそれは同じですよ。私が言っているのは所謂ムダ毛のことでございます」
……ムダ毛。うん、なんでその質問したのかなんとなーくわかった気がするよ。
……悲しいことに。
「別にそんなことないよ? 男の人とかすね毛も生えてるし髭だって生えてるよ?
……で、一応聞くけどなんでその質問を?」
「いえ……ユキ様のお身体にはムダ毛というものが一切見受けられませんでしたので……そういう世界なのかと」
やっぱり……! 僕気にしてるのに!!!
そうなんだよ、僕なぜか一切ムダ毛ってものが生えてこないんだよ!! 流石に産毛程度はあるよ? うっすらと。
でも一般的な男の人が生えてるようなすね毛も脇毛も髭も! ……アソコの毛も!!! 何も生えてないんだよ!!!! ツルッツル!! マニアックすぎるよ!!!
修学旅行とかでさ、いかに同級生に見られないようにするかってすごい大変だったよね。まぁ、抵抗虚しく見られましたけども!
それでも「キモい」とかは言われなかったのは不幸中の幸い、ってやつなのかな?
ただ「身長高め合法ショタ目指せ」って言われたなぁ。いやもう平均身長ある時点でショタもクソもないしどこに需要あるのって感じだったなぁ。
……ん? ここの平均身長2mってことは僕ショタ? え、合法ショタなっちゃった? 僕やだよ、そんなの。
はぁ、でも中学ぐらいまでは成長遅いんだって言い聞かせてたけどもう今18だからなぁ……今更毛が生えるなんて望み薄いよ……毛も薄いけど……なんちゃって。
いや冗談抜きで本気で僕このままだとツルッツルのまんまだよ!! おっさんになってもツルッツルとかもう大分やばいでしょ……いや別に誰かに見せるわけじゃないけどさ!! 気分的な問題だよ!
「……リディア、僕の体毛のことは誰にも言わないでおいてくれるかな」
「なぜですか?! 私、ユキ様のような一切ムダ毛のない美しいお身体は初めて拝見いたしました! これはもうユキ様の玉体を皆様にお知らせするべきだと……!」
「いやいやいやいやいややめて?! それだけはやめて?! 僕そんなことされたら外歩けなくなっちゃうよ!!!」
僕、「ムダ毛がないんだって。アソコもツルッツルだと」「ええ? まさか子供じゃあるまいし」「流石にちょっと引くな……」なんて指さされながらヒソヒソされるのやだよ!
「そんな……! あんなにお美しいのに……! なにもお恥ずかしがることはございませんよ?」
「い、言い触らしたらリディアとはもう口もきかないよ!! お、お世話してくれる人も変えてもらうからね!!!」
「なっ……! わ、わかりました。ユキ様の美しいお身体は私の中にだけ留めておきます……」
「う、うん、できれば忘れてほしいけど、言い触らさないならそれでいいよ……」
よ、よし! これで僕のコンプレックスが知れ渡ることは回避できた!! よかった……!
……このやり口はまた使えそうだなぁ。なんてね。
29
お気に入りに追加
2,138
あなたにおすすめの小説
離縁しようぜ旦那様
たなぱ
BL
『お前を愛することは無い』
羞恥を忍んで迎えた初夜に、旦那様となる相手が放った言葉に現実を放棄した
どこのざまぁ小説の導入台詞だよ?旦那様…おれじゃなかったら泣いてるよきっと?
これは、始まる冷遇新婚生活にため息しか出ないさっさと離縁したいおれと、何故か離縁したくない旦那様の不毛な戦いである
クソ雑魚新人ウエイターを調教しよう
十鳥ゆげ
BL
カフェ「ピアニッシモ」の新人アルバイト・大津少年は、どんくさく、これまで様々なミスをしてきた。
一度はアイスコーヒーを常連さんの頭からぶちまけたこともある。
今ようやく言えるようになったのは「いらっしゃいませー、お好きな席にどうぞー」のみ。
そんな中、常連の柳さん、他ならぬ、大津が頭からアイスコーヒーをぶちまけた常連客がやってくる。
以前大津と柳さんは映画談義で盛り上がったので、二人でオールで映画鑑賞をしようと誘われる。
マスターの許可も取り、「合意の誘拐」として柳さんの部屋について行く大津くんであったが……?
俺の妹は悪女だったらしい
野原 耳子
BL
★冷酷な第一王子✖頑張るお兄ちゃん騎士
伯爵家の長男であるニアは、妹のダイアナが聖女様を傷付けた罪で家族もろとも処刑された。
だが、首を斬り落とされた瞬間、十六歳だった頃の過去に戻ってしまう。
家族を救うために、ニアは甘やかしてきた妹を厳しく鍛え上げ、自分自身も強くなろうとする。
しかし、妹と第一王子の出会いを阻止したことによって、
なぜかニアの方が第一王子に気に入られて側近になってしまう。
第一王子に執着され、運命は予想外な方向に転がっていくが――
今、私は幸せなの。ほっといて
青葉めいこ
ファンタジー
王族特有の色彩を持たない無能な王子をサポートするために婚約した公爵令嬢の私。初対面から王子に悪態を吐かれていたので、いつか必ず婚約を破談にすると決意していた。
卒業式のパーティーで、ある告白(告発?)をし、望み通り婚約は破談となり修道女になった。
そんな私の元に、元婚約者やら弟やらが訪ねてくる。
「今、私は幸せなの。ほっといて」
小説家になろうにも投稿しています。
国王様は新米騎士を溺愛する
あいえだ
BL
俺はリアン18歳。記憶によると大貴族に再婚した母親の連れ子だった俺は5歳で母に死なれて家を追い出された。その後複雑な生い立ちを経て、たまたま適当に受けた騎士試験に受かってしまう。死んだ母親は貴族でなく実は前国王と結婚していたらしく、俺は国王の弟だったというのだ。そして、国王陛下の俺への寵愛がとまらなくて?
R18です。性描写に★をつけてますので苦手な方は回避願います。
ジュリアン編は「騎士団長は天使の俺と恋をする」とのコラボになっています。
【完結】真実の愛とやらに負けて悪役にされてポイ捨てまでされましたので
Rohdea
恋愛
最近のこの国の社交界では、
叙爵されたばかりの男爵家の双子の姉弟が、珍しい髪色と整った容姿で有名となっていた。
そんな双子の姉弟は、何故かこの国の王子、王女とあっという間に身分差を超えて親しくなっていて、
その様子は社交界を震撼させていた。
そんなある日、とあるパーティーで公爵令嬢のシャルロッテは婚約者の王子から、
「真実の愛を見つけた」「貴様は悪役のような女だ」と言われて婚約破棄を告げられ捨てられてしまう。
一方、その場にはシャルロッテと同じ様に、
「真実の愛を見つけましたの」「貴方は悪役のような男性ね」と、
婚約者の王女に婚約破棄されている公爵令息、ディライトの姿があり、
そんな公衆の面前でまさかの婚約破棄をやらかした王子と王女の傍らには有名となっていた男爵家の双子の姉弟が……
“悪役令嬢”と“悪役令息”にされたシャルロッテとディライトの二人は、
この突然の婚約破棄に納得がいかず、
許せなくて手を組んで復讐する事を企んだ。
けれど───……あれ? ディライト様の様子がおかしい!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる