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第二十八話・ひとりで

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 薄暗い部屋の中、ベッドにそっと腰掛けるオトヤ。

 枕元にミダラードライブを置き、捻挫した右足首をテーピングの上からそっと撫ぜると、ふう、と息を吐いた。

(シンが言ってたよね・・・・・・リビドーは、怪我の治療にも使えるって)

 ベッドにタオルを敷き、ベッド下に仕舞っていた箱を開ける。そこには、少しずつ買い揃えたいくつかの玩具が入っていて。

 そのうちの一つ、まだ使ったことのない男性器の形をしたディルドを取り出すと、試しにスイッチを入れた。

 ーーその瞬間、ディルドがヴィィインッと音をたてて手の中で激しく振動し出して、オトヤはビクッと背筋を震わせる。

(あ、こ、こんなの、挿れたらッ・・・・・・♡)

 震える硬いシリコンの感触に、オトヤは瞳を潤ませて太ももの内側を擦り合わせる。

 挿れるのを想像するだけで股間が勃起して、我慢汁でパンツが濡れる。

 急ぐような手付きでズボンを脱ぎ、下着も脱いだオトヤは、そのままベッドの上に仰向けになると、脚を全開に広げ、股間にたっぷりとローションを垂らした。

(教官、ごめんなさい・・・・・・毎晩毎晩、オカズにしてッ・・・・・・♡)

 ベッドサイドテーブルの上に視線をやる。そこには、リヒトの写真が入った写真立てが並んでいて。

 その一つを手に取ると、オトヤはそのリヒトの写真にちゅ、と口付けた。

「教官、好き、好きッ・・・・・・♡♡♡」

 写真のリヒトをとろけた瞳で見つめながら、ローションでずぶ濡れのアナルにディルドの先端を突き立てる。

 そのまま、ずぶずぶと中に玩具を飲み込んでいくと、オトヤはその気持ちよさに吐息を震わせ、身体を捩った。

「あ、ぁッ・・・・・・ん、きも、ち♡」

 ぐぐーーっと前立腺を押すと、腰が溶けそうなほどの快楽に襲われて、股間でガチガチに勃起しているオトヤの小さい陰茎がピクンピクンと震える。

「ふ、へぁっ・・・・・・ぁ、きもち、教官、教官ッ・・・・・・♡♡♡」

 ゆっくりと抜き挿しを繰り返しながら、写真たてを枕元に置き、空いた片手で股間のものを扱き出す。

 しかし両手で同時に別々の動きをするのは難しく、満足いく快感が得られないもどかしさにオトヤは半泣きになった。

(あ、す、スイッチ・・・・・・‼︎♡)

 先ほどの激しい振動に怯えながらも、もっともっと気持ち良くなりたいという欲望に抗えず、ディルドのスイッチ部分に恐る恐る手を伸ばす。

 震える指先で押すボタン。

 ーー刹那、アナルに嵌ったディルドが激しく振動し出し、その強烈な快感にオトヤは声もなく叫んで仰け反った。

「~~~~ッ‼︎‼︎♡♡♡」

 目を見開き、ガクガク震えて脚をピンと伸ばすオトヤ。シーツをぎゅううっと掴み、細い腰をヘコヘコと振りながら甘イキしてしまう。

(だめ、これッ♡ 振動、前立腺に当たって♡♡♡)

 機械のため当然イッても止まってなどくれない。絶頂中の敏感なナカを激しい振動で刺激されて、オトヤは泣きながら勢いよく射精した。

「んぅう~~ッ・・・・・・‼︎‼︎♡♡♡」

 射精の気持ちよさに、頭の中が真っ白になる。

 大好きなリヒトのことしか、考えられなくなって。

「んあぁ♡♡♡ きょぅ、かんッ・・・・・・すき、だいしゅき・・・・・・‼︎♡ きもち、教官ッ・・・・・・♡♡♡」

 呂律の回らない舌で教官、教官と連呼しながら、ディルドにナカのイイ所を押し当てて恍惚とした。

 リヒトの大人の男の手で肌を撫でられ、薄く整った形の唇で口付けられる妄想をしながら、自分の胸の乳首をクリクリと刺激する。

 強く抱きしめられ、首筋や肩をがぶ、とまた噛まれたい。

 こんな玩具じゃなくて、リヒトの熱く硬い肉棒を嵌めて欲しい。

 好きだと囁きあって、互いに溺れ合って。

「きょうか、教官ッ・・・・・・♡♡♡ あ、も、ぼくッ・・・・・・も、だめ、またイクぅッ♡♡♡」

 切ない啼き声を上げて、オトヤは激しく身悶えながら絶頂した。

 気持ちいい。なのに、何故か物足りなくて、全身が疼く。

 リヒトに抱かれてからだ。玩具や怪人の触手なんかでは、満足できなくなったのは。

(教官、教官に、抱かれたい・・・・・・)

 ぽろぽろ涙をこぼしながら、オトヤはぎゅうっと枕を抱きしめる。

 さっき治療で一緒にいたばかりなのに・・・・・・もう、リヒトが恋しくてたまらなかった。
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