後藤家の日常

四つ目

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夜遅くまで、少なくともお互いが眠気に負けるまで私と春さんはお互いを求めた。
今までの我慢を全て晴らすかのように、私達は自分達を一切隠さなかった。
そして翌日、起きてから自分の変化に気が付いた。

「・・・痛い?」

ちょっとだけ下半身が痛い。痛い理由は解ってはいる。解ってるけど何故今頃と思う。
だって最初は痛くなかったのだから。
一応知識として、血が出ない人や痛くない人が居るというのは知っていた。
だから自分はその部類の人間だと思っていたのだけど、どうやら違うらしい。

「気持ちがちょっと昂りすぎてたからかな」

アドレナリンが出過ぎて自覚できなかったのかもしれない。
幸せな気持ちでいっぱいだったからな、昨日は。
まだ寝ている春さんの頭を撫でていると、それだけで痛みを忘れそうだし。

「そういえば今何時だろう」

時計を見てみると、もう10時を過ぎてた。大分ぐっすりと寝ていた様だ。
いや、寝た時間を考えればそうでも無いのかもしれない。
朝食は昼食といっしょになりそうだ。

「普段のお母さんを責められないな」

お母さんがお父さんと夜遅くまで元気な理由を、いやだけど解ってしまった。
本当に心から好きな人とくっついていられて、その行為が気持ち良くて、気持ち良く出来る事。
これはちょっと、自制心を働かせる様に気を付けないと、ただれた生活を送ってしまうな。

それはそれで魅力的だけど、ちゃんと生活をできないのは私としては認められない。
春さんだって、ずっとこの調子は良くないだろう。もうすぐ推薦の受験もあるんだから。
私だって来年は受験生だ。こんな事ばかりしていられない。

「あー、これ良いね、起きたくなくなる」

これからの事を考えていると、春さんの声が聞こえた。
どうやらいつの間にか起きていたらしい。
ずっと撫で続けていたので、それで起こしてしまったかな。

「おはようございます、春さん」
「おはよう明ちゃん」

朝の挨拶をすると、素敵な笑顔で返事をしてくれる春さん。
何が嬉しいのか楽しいのか、少し蕩けるような笑顔なのがとても可愛い。
なので思わず、問いかけずにキスをしてしまった。
けど彼もそれを素直に受け入れ、お互い舌を絡めあう。
唇を離すと透明な糸が私と春さんの間に出来て、ぷつりと切れた。

「朝ごはんどうします、春さん」
「俺は食べたいなー。明ちゃんは?」
「私も食べたいですね」
「んじゃ、お願いしよっか」

電話で朝食をお願いし、また豪勢な朝食を食べて少し休憩。
けどその後は、どちらともなく傍に寄り、お互いの肌に触れあっていた。
自制心を等と言っていたはずなのに、結局昨日の焼き直しの様な事になっている。
なので私はもう、とりあえずこの連休の間は諦める事にした。



帰ったらちゃんと頑張ろう。
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