後藤家の日常

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保護者の理不尽な愚痴

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「つまんないねぇ」
「そうですねぇ」

喫茶店で夏子ちゃんと二人、不満を口にする。
何がつまらないかって、明ちゃんの事だ。
正確には、明ちゃんと春くんの事だ。

あの二人付き合い始めたのに、殆ど関係が進んでいない。
いや、多少は変わったのは解るけど、付き合った頃からぜーんぜん距離が変わらない。
キス一つで顔を赤くして、ちょっと手を握るだけで照れだして、どっかに泊って帰って来る事もない。

お前ら本当に今時の高校生か! もっと乱れろよ!
普通そのぐらいの高校生って言ったら、もっと間違いを犯すもんだろう!

春くんが本当の意味で明ちゃんに手を出してしまうのを期待してたのに、本当にあの子その気配がない。
明ちゃんも明ちゃんで当たり前にように毎日ちゃんと帰ってくる。
休日にデートに出かけて遅くても19時には帰って来るとか、本当に君ら高校生かい?

「あの二人、今時の高校生じゃないよね」
「全くですよ。態々二人っきりにしても何かあった気配もないですもん」

春くんが家に来ても、明ちゃんが向こうの家に行っても、意図的に二人きりになるようにしたりしてる。
それでもあの二人は相変わらずだ。

「春くんはともかく、明ちゃんがあんなに大人しくなるとは思わなかったんだけどなぁ」
「こっちはむしろ逆ですかね、春輝の奴抑えてるみたいなんですよね」
「へぇ、それはそれは、詳しく」

あの春くんが抑えてるとね。
いや、明ちゃんがお泊りしたときそういう話を聞いた時有ったけど、それ以降は聞いていない。
聞いても何もないですよって言われるし、春くんが嘘をつくとは思って無かったな。
いや、嘘はついて無いのか。実際何も無いのは何も無いんだろう。

「あいつ、性欲弱いんですよね」
「あー、そんな感じするよね」

喫茶店の中で、かなり踏み込んだ会話をする女二人。
この会話聞いてる人、何だこいつらって思うだろうな。

「それが最近、そうでも無いっぽいんですよね」
「どういう事?」
「まあ、あの子が一人でしてる痕跡を見つけちゃったわけでして」
「・・・春くんご愁傷さまだわぁ」

流石に家族にそんな物見られるのは辛かろう。
私は色々あって別に平気だけど、普通の子はかなり精神に来るはずだ。
明ちゃんも嫌がるだろうなぁ。

「でもあの子、今までそういう気配殆ど無かったんですよ」
「マジで? もう18だよ?」
「マジです。本当に、明ちゃんと付き合いだしたあたりからですよ。んで最近ちょっと回数が多い感じですね」
「夏子ちゃん、それは流石に春くんが可哀そうだと思うなぁ」
「ばれる痕跡を残すあのバカが悪いんです」

いや、その発言もどうなんだろうか夏子ちゃん。
まあこっちも、微かに明ちゃんがそういう事をしている気配は知ってるけどさ。
もし明ちゃんに言ったら流石にへこみそうだから言ってない。

「でもまあ、その調子なら時間の問題では有るのかな?」
「うーん、これはあたし達の責任もあるんですけど、あいつ男としての自信が無いんだと思うんですよ。だから余計かなって」
「あー、明ちゃんの可愛い春さん意識が強すぎてしり込みしてるのか」
「情けないですよねぇ」

いやまあ、そこに関してはうちの明ちゃんも悪いと思うよ。
可愛い可愛い言われまくったら、そりゃあ男性としての自信とか出来ないだろうさ。
その上あの子は本当に明ちゃんを好いてくれている。明ちゃんの望む格好をしようとするさ。
結果『男』からはどんどん離れていく。

実際最近の春くん、ドンドン可愛くなってる気がするし。
以前からケアにいろいろ気を遣ってたらしいけど、最近はちょっと本気になってる気がする。
私にとっては明ちゃんが一番かわいいけどね! そこだけは譲んねぇ!

「まあ、私としては春くんが明ちゃん大事にしてくれるならそれで良いんだけどね」
「それに関しては、前に蹴り入れて言っといたんで。まあ、見てる限り必要なさそうですけど」

あの二人幸せそうだもんなぁ。
でもやっぱり、どこか遠慮している気がするんだよな、あの二人。
全く気を遣うなとは言わないけど、もう少し踏み込んでも良いと思うんだけどな・・・。
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