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このリンカーネーションを君に

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「……まさか本当に最期まで居てくれるなんてね」

「当たり前だろ?僕は言ったことは守る男だからね」

「そうは言っても……1000年だぞ、1000年。お前の魂は一体どれだけしぶといんだ……」


ベッドで横たわりながら、彼女は呆れたように笑う.


「それにしても、お前は本当に運が良すぎる。何故、いつも死んだ後の転生先が人間なんだ!普通は虫とかになるはずだろ」

「うーん、これが愛の力ってやつなんじゃない?」

「やかましいわ!……だが、そうだとしても転生先は完全に神の気まぐれだと言われているんだぞ?そんな事、あり得る訳が……」

「神様も僕らの事を見てくれていて、僕らの恋を応援しようとしてくれていたんだよ、きっと」

「……それが本当だとしたら、まったく神は余計なことをするもんだな」


口調はぶっきらぼうなのに、顔は割と満更でもない顔をしている。


「……なんでそんなにニコニコしているんだ」

「いや、素直じゃないなと思ってね」

「ふん、うるさい。……と言うか、お前のせいだぞ!お前が死んでも何回も転生して、私の所を訪ねてくるからこんなことになったんじゃないか!」

「えー、そんなこと言われてもなー、君が長生きなのがいけないんだよ」

「私の所為にするな!と言うか私が長命なのは仕方がないだろ、魔女なんだから。そもそも魔女に恋する時点でおかしいのだけど」

「そんなにおかしい事かな?僕はただ恋した相手に『好きだ』と真っすぐ伝えただけだけど?」 

「……そういう所が卑怯なんだ」


ほんのり赤くした顔を布団で隠しながら、彼女は小さく呻く。
その様子を見て、僕は微笑む。


「まったく……私のどこがそんなに良いんだか」

「えっ、それを話しだしたら止まらなくなるけど、聞く?」

「……やっぱ、やめておく。聞き終わる前に私の寿命が尽きてしまいそうだからな」

「むぅ、それは残念だな。せっかく本人に言えるチャンスだと思ったのに」

「はぁ……まさかこんな最後まで呆れさせるとは……凄いなお前」

「ありがとう」

「別に褒めてない!……ふぅ、だが、やはりあの魔法を最後まで解明できなかったことが心残りだな、残念だ……」

「なるほど……心残りはそれだけ?」

「……あとは……もうお前と一緒に居られなくなること……ってこんなこと言わせるな!……凄く恥ずかしい」


やっぱり可愛い。
最期まで可愛い。



「それにしても……まさか僕が見送る番になるだなんて思っても無かったな。こっち側はこんな気持ちなんだね」

「私はその気持ちを今まで、お前の所為で何回も味わったんだぞ。今度はお前の番だ」

「いやホント君は凄いよ。こんな気持ち、1回だけでも胸がはち切れそうだ……」

「ハハハ、……そんなに重くとらえるな。大丈夫……お前が寂しくならないように私も転生して……会いに来てやるからな」

「本当に?」

「あぁ、お前が出来たんだ。……この、エリート魔女様が出来ない訳が…………無いだろう」

「……そうだよね。うん、そうだよ!ちゃんと待ってるからね!」

「……ははは、頼んだぞ」



そう言いながら、ニッコリと微笑む彼女。


少しして、彼女は静かに目を瞑る。










……逝ったか。逝っちゃったか。


まったく……最期まで可愛い人だな。


動かなくなってしまった彼女の顔を見て、僕はそう思う。




涙が流れる。
そして、止まらない。



彼女と話している間は絶対に泣かない、明るく振舞うと決めていただけに余計に。



でも出会った頃は凄く冷たかった彼女が、今では僕のために戻ってくると言ってくれた。
そんな事実に僕は思わず、頬が緩む。






だけど、僕は知っている。
魔女は死んでしまうとその魂は転生などはせず、そのまま冥界へと行ってしまうと。








…………あぁ、これからの人生が長く感じてしまうな。






















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