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勘違いな博士と助手の話
しおりを挟む「うぅー、なんか今日もやる気が出ない~」
僕と博士しかいない研究室では、今日も博士の情けない声が響く。
「もう今日は実験したくないな」
「そんなこと言っても、しないといけませんよ」
「それでも嫌だー」
うーん……どうしたものか。
ここまで駄々をこねる博士も中々に珍しい。
……今日ぐらい、いっか。
「それでしたら、博士、今日はもう実験をお休みにして、気分転換にお出かけしませんか?散歩でもしてリフレッシュしましょう?」
「えっ!いいのか?」
「えぇ、今日ぐらいお休みにしても良いでしょう」
「そうか、分かった!それじゃあ、ちょっと準備をしてくる!」
「あ、はい、分かりました」
博士はヒュンッと他の部屋に向かっていった。
それにしても、準備……?
数十分後
「お、お待たせしたな」
「ホントですよ、博士。何をそんなに準備を……」
「ど、どうだ、助手君、似合っているか?」
驚いた。
博士は思いっきり、よそ行き服に着替えていた。
「あ、いや、博士……、散歩をするだけなのでそこまで着替えなくても良かったんですけど……」
「えっ……」
「……」
「……」
「い、いやー、その服、凄く似合っていますね。とても可愛いですよ!」
「……ホントか?」
「えぇ、本当ですとも!そんな可愛い博士の隣を歩けて、僕は幸せですね」
「そうか、それなら良かった」
博士は僕の腕をパシパシと軽く叩きながら、そう言う。
「……今日はカラオケに行きたい」
「分かりました。カラオケに行きましょう。博士の歌聴くのが楽しみです。ほかに行きたい場所、ありますか」
「買い物にも行きたい」
「えぇ、行きましょう。今日は博士に付き合いますよ」
「当たり前だろう。今日は君をへとへとになるまで付き合わせてやるからな」
「……そ、それはお手柔らかに」
そうして、僕たちは今日1日を珍しく、買い物に費やした。
……まさか、本当にクタクタになるまで連れまわされるとは。
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