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【第1部】~ 再起をかけた5回転半ジャンプ ~
国内戦への決意
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「ほ、放火!? そ、それって、どういうことなの?」
「私、こう見えてもスケート界では、少しは名の知れた選手だったの。
だから、私の周りは敵ばかりだった。
いじめや嫌がらせ、命を狙われたことだってあったわ。
私のことををよく思わない人はたくさんいたの。」
「ま、まさか、君を逆恨みする人間が火を点けたということ!?」
「私を恨んでいるなら、私だけを狙えばいいのに。
関係のないお父さんやお母さんまで巻き添えにするなんて、許せないっ!
でもね、その犯人はまだ捕まっていないの。
だから、いつか私がその犯人を見つけて、ちゃんと裁きを受けさせてやるの!」
唇を噛みしめながら、大粒の涙を流す琴音。 そして最後に琴音は優にこう告げた…
「でも、今はその犯人のことよりも、スケートに復帰することに専念するべきだと思うの。
復帰して、一週間後に行われる国内戦で優勝して、オリンピックに出場して、ゴールドメダルを勝ち獲りたい。
そして、天国にいるお父さんとお母さんに、一緒に喜んでもらいたいの!
私のこの苦しかった4年間を絶対無駄にしたくない!」
「琴音さん、僕はあえて心を鬼にして、全力であなたの復活を後押しますよ。頑張っていきましょう!」
そして、それからもリハビリ治療は続き、琴音の右足は劇的に良くなっていった。
その後、優と琴音のそのリハビリ治療は瞬く間に最終段階へと入ってゆく。
だが、この時期になると、なぜか優はリハビリの時間にしばしば遅れてくるようになっていた。
「コラッ! 遅いぞっ!
患者の私がこんなにやる気を出してるのに、担当者のあなたが遅刻してきてどうするのよっ!」
「ゴメン、ゴメン! ^^;」
しかし、それからはリハビリの時間に遅れてくるだけでなく、優は無断で担当を休むようになっていった。
というのも研修医である大空優は、自身のスキルアップを図るために、各地で行わている研修会などに
積極的に参加していたからだった。
そんな彼をかばうように謝る母親の大空美香。
優と二人だけのリハビリ運動がこの頃にはとても楽しく、心地の良い日課となっていた琴音の心には、
冷たく、寂しげな風が吹き渡っていた…
そして、退院の日を迎える。
つづく…
「私、こう見えてもスケート界では、少しは名の知れた選手だったの。
だから、私の周りは敵ばかりだった。
いじめや嫌がらせ、命を狙われたことだってあったわ。
私のことををよく思わない人はたくさんいたの。」
「ま、まさか、君を逆恨みする人間が火を点けたということ!?」
「私を恨んでいるなら、私だけを狙えばいいのに。
関係のないお父さんやお母さんまで巻き添えにするなんて、許せないっ!
でもね、その犯人はまだ捕まっていないの。
だから、いつか私がその犯人を見つけて、ちゃんと裁きを受けさせてやるの!」
唇を噛みしめながら、大粒の涙を流す琴音。 そして最後に琴音は優にこう告げた…
「でも、今はその犯人のことよりも、スケートに復帰することに専念するべきだと思うの。
復帰して、一週間後に行われる国内戦で優勝して、オリンピックに出場して、ゴールドメダルを勝ち獲りたい。
そして、天国にいるお父さんとお母さんに、一緒に喜んでもらいたいの!
私のこの苦しかった4年間を絶対無駄にしたくない!」
「琴音さん、僕はあえて心を鬼にして、全力であなたの復活を後押しますよ。頑張っていきましょう!」
そして、それからもリハビリ治療は続き、琴音の右足は劇的に良くなっていった。
その後、優と琴音のそのリハビリ治療は瞬く間に最終段階へと入ってゆく。
だが、この時期になると、なぜか優はリハビリの時間にしばしば遅れてくるようになっていた。
「コラッ! 遅いぞっ!
患者の私がこんなにやる気を出してるのに、担当者のあなたが遅刻してきてどうするのよっ!」
「ゴメン、ゴメン! ^^;」
しかし、それからはリハビリの時間に遅れてくるだけでなく、優は無断で担当を休むようになっていった。
というのも研修医である大空優は、自身のスキルアップを図るために、各地で行わている研修会などに
積極的に参加していたからだった。
そんな彼をかばうように謝る母親の大空美香。
優と二人だけのリハビリ運動がこの頃にはとても楽しく、心地の良い日課となっていた琴音の心には、
冷たく、寂しげな風が吹き渡っていた…
そして、退院の日を迎える。
つづく…
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