1 / 262
【過去編】転生先はオリヴィア小国のお姫様?シャルロットとお兄様のホームメイド・トンプース
プロローグ
しおりを挟むーーオリヴィア小国 首都トゥエルフスナイト
国といっても下町風の田舎。人口も少なくて人間よりも乳牛の数の方が多い。酪農家が多く、どこもかしこも牧場や田園や果樹園などが広がっている。
オリヴィア小国の双子の王子シャリーとシーズは新大陸にあるエスター国へ留学し、全寮制のアカデミーに通っていた。
故郷オリヴィア小国に帰省するのは夏の長期休暇だけだった。
そして双子が13歳になる年に、妹のシャルロットが産まれた。
昔から娘を欲しがっていた父と母の待望の女の子、オリヴィア小国のお姫様だ。
両親の喜びようは凄まじかった。
手紙で妹が出来たと報告を受けた時は、実感もなくて特に感情はなかったが、翌年の夏に帰省して妹の顔を見た瞬間、電撃が走った。
「☆%^_^&~~~!」
金髪碧眼、長い睫毛に、ぷくぷくほっぺの人懐こいベイビー。
言葉にならないほど可愛くて、双子の王子は妹に夢中になった。
勉強が苦手なシャリー王子と授業をサボってばかりのシーズ王子は留年の危機もあったが、早く帰国して可愛い妹と暮らしたいという強い願望のパワーでなんとか卒業し帰国できた。
小さなシャルロットとのお昼寝権を巡ってよく双子は喧嘩した。
いち早く自分の名前を呼ばせようと、必死になってシャルロットに教え込んでいた日々が懐かしいーー。
けれど、オリヴィア小国の王家と親戚関係にあるソレイユ国の王家に招かれて、宮殿のパーティーにシャルロットを連れて行ったのがまずかった。
オリヴィア小国は元ソレイユ国の公爵領だった小さな田舎の国だが、精霊王の由緒正しい血筋。
オリヴィア小国の王家は代々男系だからプリンセスはかなり珍しい。 それに、直系の女の子は精霊王の加護を持って産まれてくると言い伝えられている。
魔法が使える訳ではないが、精霊から愛されて、召喚して使役することもできるらしい。
特に魔人の国はその加護を喉から手が出るほど欲しがっていた。
なので、政略結婚や見合いの打診や、それに準ずる手紙は余裕で百通を超えていた。
「シャルロットは他国なんぞに嫁に出さんぞ!!」
もちろん、親バカ&シスコンな父と兄は全力で拒んだ。
しかし大人の事情で断り切れない縁談もあった。
シャルロットが5歳の冬の終わり、同じ大陸の東側にあるペレー国の王家からお見合いの話が舞い込んだ。
相手は30歳の独身の第二王子で本人が申し出てきた。小児性愛という性癖があると大陸中でもっぱらの噂。
もちろん双子は大激怒した。
「お父様!噂のロリコン王子だよ!お見合いさせるって正気?」
「でもなぁ~、シャリー、ペレー国には借りがあるから拒否はできん。もちろん会うだけ会って断るつもりだよ」
断るつもりだと無理やり納得させられたのだが、この弱気で及び腰の父が不安でーーお見合い当日の早朝、双子のシャリーとシーズは小さなシャルロットを馬に乗せて外国へ逃亡する事にした。
そして冷たい森の中、国境付近で、シャリーとシャルロットが乗った馬が崖から滑落してしまう……。
0
お気に入りに追加
394
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
もう恋なんてしない
前世が蛍の人
ファンタジー
「私を愛してると言って見せてくれた笑顔も、私を信じるって言った言葉も。
―全部嘘だったのですね…っ」
ミカエラは婚約者であるシュヴァルツ殿下から身に覚えのない罪を着せられ、婚約破棄を言い渡された。
「―お幸せに。」
彼女はシュヴァルツ殿下と、その隣に立ってこちらを見下しているアリエッタ嬢にそう答えた。
これは、婚約破棄を言い渡された彼女、ミカエラが深く傷ついた心を癒すために旅に出るお話。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
元悪役令嬢はオンボロ修道院で余生を過ごす
こうじ
ファンタジー
両親から妹に婚約者を譲れと言われたレスナー・ティアント。彼女は勝手な両親や裏切った婚約者、寝取った妹に嫌気がさし自ら修道院に入る事にした。研修期間を経て彼女は修道院に入る事になったのだが彼女が送られたのは廃墟寸前の修道院でしかも修道女はレスナー一人のみ。しかし、彼女にとっては好都合だった。『誰にも邪魔されずに好きな事が出来る!これって恵まれているんじゃ?』公爵令嬢から修道女になったレスナーののんびり修道院ライフが始まる!
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる