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*シャルロット姫と食卓外交
美味しいケバブ
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黒い騎士服を着た第二騎士団、白い騎士服を着た第一騎士団が焚き火を取り囲み酒を飲んでいた。
騎士たちは楽しげに会話をしていたり、一方では酔っ払って諍いをしていたりと賑やかで、それを見ていたシャルロットも楽しくなってきた。
ジュワッと肉が焼ける音とともに煙が舞う。
黄金の瞳をした中年くらいのダンディーな雰囲気の見慣れない男が、慣れた手付きで鉄串に一口サイズに切った肉や野菜を刺しては熱した網の上に転がしていた。
その様子を見ていたシャルロットに男は穏やかに笑いかけた。
そして箱の中から小さい袋を取り出して彼女に手渡した。
「マシュマロ?ビスケットも……」
前世の世界のスーパーで売られているような既製品のマシュマロやビスケットだ。
この世界に存在するものではない。
「これは“ケバブ”という料理で、我が以前 異世界へ行った時にそこの民に教えてもらったのだ。ついでにマシマロを焼くと美味だそうだ。焼いたマシマロをビスケットで挟むスモアという料理もあるとーーこれはクロウから教わってな」
「!?……もしかしてあなたも転生者?」
「我はただの精霊だ。お前はクロウと同じ異世界の人間であったそうだな。向こうの世界はいいな。この世界にはないうまい飯がいっぱいあるぞ。たまに旅に出て美味いものを調達するのが我の趣味なのだ」
まるでバイヤーのようねと、シャルロットは関心した。
「あっ、もしかしてバルキリー夫人が飲んでいたコーヒーも?」
「“よーろっぱ”を旅した時に手に入れたのだ。シャルロット姫が持ってきたあいすくりーむもとても気に入っていた。また作ってくれ」
「ふふふ、近いうちにまた離宮へお伺いするわ」
チワワが尻尾を振りながらシャルロットに駆け寄ってきた。
そしてシャルロットの足元をクルクルと回った。
「シャルロット~」
「クロウ、あなたもお肉食べる?」
「食べる~」
さっきまで国王とコボルトに怒られて凹んでいたのにもう元気そうだ。
シャルロットが串から一口サイズのお肉を外して手ずからクロウに与えた。
「俺も食べていいか」
グレース皇子とユーシンも現れた。
「どうぞ、ユーシンもいっぱい食べてね」
グレース皇子は当然のようにシャルロットの座っている長椅子に近付き、密着するように隣に座った。
「いただこう」
「え?」
シャルロットが持ってるケバブの串をちらりと見て、グレース皇子は口を開けた。
シャルロットは目を点にしてぼんやりとしていたが、身体が勝手に動き、気付けばグレース皇子の口にケバブの串を運んでいた。
グレース皇子はフッと笑って一口大のお肉をぱっくりと食べた。
「!!?」
「美味いな」
無邪気に笑いかけられてシャルロットは思わず頬を染めた。
クロウがきゃんきゃん吠えながら二人の間を裂くように隙間にもぐりこんできた。
「大人げないよ~父さん」
ユーシンが荒ぶるチワワをヒョイっと抱き上げ、向こうで飲んでいるコハン団長たちの元へ向かった。
シャルロットは苦笑しながら二人を見送った。
ようやく静かになったところでグレース皇子が切り出した。
「……シャルロット姫、その…、俺と結婚して欲しい」
むぐっ
それは唐突に、シャルロットが肉を口にしたタイミングで真剣な顔でプロポーズをされてしまい、びっくりしたシャルロットはついむせてしまった。
「すまない」
「い、いえ……、でも結婚って、婚約もしましたし、もとよりそのつもりでここにいるんですけど…?」
ケホケホと咳き込むシャルロット。
「それは父上とシャルロット姫の親が決めた形だけのものでだろう」
「ええ、そうですね」
「俺は姫のことが……好き?、なのかもしれない、いや……好きなんだ!」
たどたどしいが真摯な姿勢の愛の告白にシャルロットは戸惑いつつも照れてしまう。
グレース皇子は緊張しているのかいつも以上にしかめっ面だ。
「…姫が来てから城も賑やかになった。俺にとってただ栄養を補給するだけだと思っていた食事も楽しい時間だと思えるようになった。今後もそれが続いて欲しいと、姫に側にいて欲しいと思うようになった。ーーちゃんと自分の口から言いたかったんだ、結婚して欲しいと。こんな気持ちを抱くのは生まれて初めてだ」
「グレース様……」
グレース皇子はしかめっ面のまま顔を真っ赤にさせていた。
シャルロットもつられて赤面する。
そして二人で押し黙る。
「あの……、…私も、あなたの事が好きよ。……よろしくお願いします」
シャルロットはぺこりと頭を下げた。
真面目で曲がったところがなくて穏やかで優しくて、ちょっぴり意地っ張りなところもあって、どこか放って置けない人。
それが恋愛なのか、愛情なのかわからないけど、
シャルロットが笑うと、グレース皇子はホッとしたように柔らかく笑った。
ふと照れ隠しに夜空を見上げると星が祝福でもするように光った。
騎士たちは楽しげに会話をしていたり、一方では酔っ払って諍いをしていたりと賑やかで、それを見ていたシャルロットも楽しくなってきた。
ジュワッと肉が焼ける音とともに煙が舞う。
黄金の瞳をした中年くらいのダンディーな雰囲気の見慣れない男が、慣れた手付きで鉄串に一口サイズに切った肉や野菜を刺しては熱した網の上に転がしていた。
その様子を見ていたシャルロットに男は穏やかに笑いかけた。
そして箱の中から小さい袋を取り出して彼女に手渡した。
「マシュマロ?ビスケットも……」
前世の世界のスーパーで売られているような既製品のマシュマロやビスケットだ。
この世界に存在するものではない。
「これは“ケバブ”という料理で、我が以前 異世界へ行った時にそこの民に教えてもらったのだ。ついでにマシマロを焼くと美味だそうだ。焼いたマシマロをビスケットで挟むスモアという料理もあるとーーこれはクロウから教わってな」
「!?……もしかしてあなたも転生者?」
「我はただの精霊だ。お前はクロウと同じ異世界の人間であったそうだな。向こうの世界はいいな。この世界にはないうまい飯がいっぱいあるぞ。たまに旅に出て美味いものを調達するのが我の趣味なのだ」
まるでバイヤーのようねと、シャルロットは関心した。
「あっ、もしかしてバルキリー夫人が飲んでいたコーヒーも?」
「“よーろっぱ”を旅した時に手に入れたのだ。シャルロット姫が持ってきたあいすくりーむもとても気に入っていた。また作ってくれ」
「ふふふ、近いうちにまた離宮へお伺いするわ」
チワワが尻尾を振りながらシャルロットに駆け寄ってきた。
そしてシャルロットの足元をクルクルと回った。
「シャルロット~」
「クロウ、あなたもお肉食べる?」
「食べる~」
さっきまで国王とコボルトに怒られて凹んでいたのにもう元気そうだ。
シャルロットが串から一口サイズのお肉を外して手ずからクロウに与えた。
「俺も食べていいか」
グレース皇子とユーシンも現れた。
「どうぞ、ユーシンもいっぱい食べてね」
グレース皇子は当然のようにシャルロットの座っている長椅子に近付き、密着するように隣に座った。
「いただこう」
「え?」
シャルロットが持ってるケバブの串をちらりと見て、グレース皇子は口を開けた。
シャルロットは目を点にしてぼんやりとしていたが、身体が勝手に動き、気付けばグレース皇子の口にケバブの串を運んでいた。
グレース皇子はフッと笑って一口大のお肉をぱっくりと食べた。
「!!?」
「美味いな」
無邪気に笑いかけられてシャルロットは思わず頬を染めた。
クロウがきゃんきゃん吠えながら二人の間を裂くように隙間にもぐりこんできた。
「大人げないよ~父さん」
ユーシンが荒ぶるチワワをヒョイっと抱き上げ、向こうで飲んでいるコハン団長たちの元へ向かった。
シャルロットは苦笑しながら二人を見送った。
ようやく静かになったところでグレース皇子が切り出した。
「……シャルロット姫、その…、俺と結婚して欲しい」
むぐっ
それは唐突に、シャルロットが肉を口にしたタイミングで真剣な顔でプロポーズをされてしまい、びっくりしたシャルロットはついむせてしまった。
「すまない」
「い、いえ……、でも結婚って、婚約もしましたし、もとよりそのつもりでここにいるんですけど…?」
ケホケホと咳き込むシャルロット。
「それは父上とシャルロット姫の親が決めた形だけのものでだろう」
「ええ、そうですね」
「俺は姫のことが……好き?、なのかもしれない、いや……好きなんだ!」
たどたどしいが真摯な姿勢の愛の告白にシャルロットは戸惑いつつも照れてしまう。
グレース皇子は緊張しているのかいつも以上にしかめっ面だ。
「…姫が来てから城も賑やかになった。俺にとってただ栄養を補給するだけだと思っていた食事も楽しい時間だと思えるようになった。今後もそれが続いて欲しいと、姫に側にいて欲しいと思うようになった。ーーちゃんと自分の口から言いたかったんだ、結婚して欲しいと。こんな気持ちを抱くのは生まれて初めてだ」
「グレース様……」
グレース皇子はしかめっ面のまま顔を真っ赤にさせていた。
シャルロットもつられて赤面する。
そして二人で押し黙る。
「あの……、…私も、あなたの事が好きよ。……よろしくお願いします」
シャルロットはぺこりと頭を下げた。
真面目で曲がったところがなくて穏やかで優しくて、ちょっぴり意地っ張りなところもあって、どこか放って置けない人。
それが恋愛なのか、愛情なのかわからないけど、
シャルロットが笑うと、グレース皇子はホッとしたように柔らかく笑った。
ふと照れ隠しに夜空を見上げると星が祝福でもするように光った。
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