絶対お兄ちゃん主義!

桜祭

文字の大きさ
上 下
29 / 33
1章

妹と友の対面

しおりを挟む
体を起き上がらせた星丸含む3人を縦に並べさせて重要な事、つまり妹の説明から入る事にした。
しかしどう説明しようか、全然頭に言うべき事が思いつかない。
最初に痺れを切らした光が1歩前に出た。

「で、結局なんの話があんのよ?私を来て早々ネタにしてさ」
「俺はお前が天使だと思ったんだよ」
「そ、そういう事を真顔で言うな」

照れた光にちょっと笑いそうになるのを抑えて説明に入ろうと決めた。
……のだが。

「お兄ちゃん?また回覧板ですか?」
「あはは、回覧板来過ぎだろ」
「お兄さん、来客?」

恋、音、瑠璃の順番で居間からの声がした。
それを聞いた3人はそれぞれ違った反応を見せた。

達裄も男だなーみたいな顔の星丸。
ゴミを見る目の光。
うらやましそうに、けれども尊敬するかのような影太。

苦笑いで対応する板挟みの俺。

「あれ君達昨日の三つ子ちゃん?」
「音ちゃんに瑠璃ちゃんにめぐりちゃん俺の事覚えてる~」

面倒になり3人を居間に連れて来た。
光は実は知り合っていた俺ら3人に着いていけてなかった。

「あんたは『ドン退きのロリータニスト』先輩ですね」
「違うよめぐりちゃん、『口説きのイリュージョニスト』だよ」
「全然口説けてなかったですけどね」

めぐりはとにかく影太に冷たかった。
俺にも冷たいのだけれども、というか俺ら3人に良い印象がないらしい(当たり前)。

「んで、なんでバカ2人も知り合いなの?というか三つ子って何?」

少し後ろから傍観する俺と光。
心成しか俺に対して態度がきつくなっている。

「昨日あのロリコンの付き合いでナンパした時に口説いた相手があの子らで、しかも三つ子らしいんだよ」
「へぇ、であんたは誰タイプよ?」
「だ、誰もタイプじゃねーし」
「そ、でなんであんたの家に居るのよ」
「まだ説明してなかったな」

すごく不機嫌な光から順にみんなを座らせた。
北側に左から恋、音、瑠璃、めぐりを縦1列に。
向かい合うようにして南側に左から光、星丸、影太と縦1列に並ばせた。
仲裁のような形で俺1人立っている。

「えー、説明するとこの子らは妹です。こちら側は友達と呼びたくない友達です。以上紹介を終わります」
「ごめん全然わかんない」

星丸の言葉がここに居る全員の総意見であった。
把握しているのは俺だけなので詳細に10分掛けて説明するのであった。

「へえ、こっちの子が巫女さんの妹なんだ」

光と星丸は巫女つまり姉さんと面識があるので俺の姉ときちんと認識している。
しかし姉さんを知らない影太は……。

「巫女?あれお前の家って神社なの?」
「よく誤解されるけど義理の姉の名前なんだ」
「ややこしいな……。因みに巫女さんって下着付けないらしいじゃん。遠野の姉ってどうなの?」
「何を聞いてるんだお前?」

影太のわけのわからない質問に光、音、瑠璃、めぐりはあからさまに嫌な目を影太に向けていた。
星丸はとても興味深々、なんだお前ら?

「お姉ちゃんはたまに付けないですね。あれ、付けない方が多いかな?」
「恋!言ってはいけません、いけませんよ!」
「……ユキってたまに狂うよね」

そして真面目に答える巫女の妹の恋。
この子は耐性でもあるのだろうか?
ボソボソしためぐりの声はバッチリ届いているのであった。

「遠野」
「あ?」

コソコソ声で俺の耳元に近付く影太。
とても目がキランキランしている。
質問があるらしいが十中八九の予想は付いた。

「恋ちゃんを俺にください」
「死んでください」

とてもわかりやすかった。
どうせこうなるだろうなと思っていた事が案の定過ぎて頭が痛くなった。
しかも恋は見た目は小学生でも年齢は1つ下。
かなり都合のいいターゲットであろう。

「どうも恋ちゃん、俺山田影太って言います。俺の事をお兄ちゃんって呼んでください」
「よろしくお願いします影太さん」
「……お兄ちゃんって呼んで」
「お兄ちゃん、影太さんが呼んでるよ?」
「……別に君のお兄ちゃんを呼んでないよ」
「?」

恋は影太が何を言っているのかわかっていなくただ天然が発動しただけであった。
このやり取りに光と星丸とめぐりは声を押し殺して笑っていた。
ゲラゲラと笑っている音、クスクス笑っている瑠璃。
恋の反応に大満足し、安心した俺は恋の頭を撫でた。
とても影太が悔しそうだった。

「今日の夜はすき焼きにするけどそれまでどうするの?」
「あー、そうだな。どうする?」

めぐりから言われ、どうするか考えてみる。
予定では普通にみんなと遊びながらトークをするって感じだったのだが何をしていこう。

「遠野の妹口説く大会」
「却下」

ロリコンの意味不明な大会を却下した。
去年はわんこそば対決なるわけわからん事をしたらしいが思い出せなく、2人に去年どんな事をしたのか聞いてみた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

兄がいるので悪役令嬢にはなりません〜苦労人外交官は鉄壁シスコンガードを突破したい〜

藤也いらいち
恋愛
無能王子の婚約者のラクシフォリア伯爵家令嬢、シャーロット。王子は典型的な無能ムーブの果てにシャーロットにあるはずのない罪を並べ立て婚約破棄を迫る。 __婚約破棄、大歓迎だ。 そこへ、視線で人手も殺せそうな眼をしながらも満面の笑顔のシャーロットの兄が王子を迎え撃った! 勝負は一瞬!王子は場外へ! シスコン兄と無自覚ブラコン妹。 そして、シャーロットに思いを寄せつつ兄に邪魔をされ続ける外交官。妹が好きすぎる侯爵令嬢や商家の才女。 周りを巻き込み、巻き込まれ、果たして、彼らは恋愛と家族愛の違いを理解することができるのか!? 短編 兄がいるので悪役令嬢にはなりません を大幅加筆と修正して連載しています カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。

妹がいなくなった

アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。 メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。 お父様とお母様の泣き声が聞こえる。 「うるさくて寝ていられないわ」 妹は我が家の宝。 お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。 妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?

嫌われていると思って彼を避けていたら、おもいっきり愛されていました

Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のアメリナは、幼馴染の侯爵令息、ルドルフが大好き。ルドルフと少しでも一緒にいたくて、日々奮闘中だ。ただ、以前から自分に冷たいルドルフの態度を気にしていた。 そんなある日、友人たちと話しているルドルフを見つけ、近づこうとしたアメリナだったが “俺はあんなうるさい女、大嫌いだ。あの女と婚約させられるくらいなら、一生独身の方がいい!” いつもクールなルドルフが、珍しく声を荒げていた。 うるさい女って、私の事よね。以前から私に冷たかったのは、ずっと嫌われていたからなの? いつもルドルフに付きまとっていたアメリナは、完全に自分が嫌われていると勘違いし、彼を諦める事を決意する。 一方ルドルフは、今までいつも自分の傍にいたアメリナが急に冷たくなったことで、完全に動揺していた。実はルドルフは、誰よりもアメリナを愛していたのだ。アメリナに冷たく当たっていたのも、アメリナのある言葉を信じたため。 お互い思い合っているのにすれ違う2人。 さらなる勘違いから、焦りと不安を募らせていくルドルフは、次第に心が病んでいき… ※すれ違いからのハッピーエンドを目指していたのですが、なぜかヒーローが病んでしまいました汗 こんな感じの作品ですが、どうぞよろしくお願いしますm(__)m

【完結】すべてを妹に奪われたら、第2皇子から手順を踏んで溺愛されてました。【番外編完結】

三矢さくら
恋愛
「侯爵家を継承できるという前提が変わった以上、結婚を考え直させてほしい」 マダレナは王立学院を無事に卒業したばかりの、カルドーゾ侯爵家長女。 幼馴染で伯爵家3男のジョアンを婿に迎える結婚式を、1か月後に控えて慌ただしい日々を送っていた。 そんなある日、凛々しい美人のマダレナとは真逆の、可愛らしい顔立ちが男性貴族から人気の妹パトリシアが、王国の第2王子リカルド殿下と結婚することが決まる。 しかも、リカルド殿下は兄王太子が国王に即位した後、名目ばかりの〈大公〉となるのではなく、カルドーゾ侯爵家の継承を望まれていた。 侯爵家の継承権を喪失したマダレナは、話しが違うとばかりに幼馴染のジョアンから婚約破棄を突きつけられる。 失意の日々をおくるマダレナであったが、王国の最高権力者とも言える王太后から呼び出される。 王国の宗主国である〈太陽帝国〉から輿入れした王太后は、孫である第2王子リカルドのワガママでマダレナの運命を変えてしまったことを詫びる。 そして、お詫びの印としてマダレナに爵位を贈りたいと申し出る。それも宗主国である帝国に由来する爵位で、王国の爵位より地位も待遇も上の扱いになる爵位だ。 急激な身分の変化に戸惑うマダレナであったが、その陰に王太后の又甥である帝国の第2皇子アルフォンソから注がれる、ふかい愛情があることに、やがて気が付いていき……。 *女性向けHOTランキング1位に掲載していただきました!(2024.7.14-17)たくさんの方にお読みいただき、ありがとうございます! *完結しました! *番外編も完結しました!

今世ではあなたと結婚なんてお断りです!

水川サキ
恋愛
私は夫に殺された。 正確には、夫とその愛人である私の親友に。 夫である王太子殿下に剣で身体を貫かれ、死んだと思ったら1年前に戻っていた。 もう二度とあんな目に遭いたくない。 今度はあなたと結婚なんて、絶対にしませんから。 あなたの人生なんて知ったことではないけれど、 破滅するまで見守ってさしあげますわ!

あなたに愛や恋は求めません

灰銀猫
恋愛
婚約者と姉が自分に隠れて逢瀬を繰り返していると気付いたイルーゼ。 婚約者を諫めるも聞く耳を持たず、父に訴えても聞き流されるばかり。 このままでは不実な婚約者と結婚させられ、最悪姉に操を捧げると言い出しかねない。 婚約者を見限った彼女は、二人の逢瀬を両親に突きつける。 貴族なら愛や恋よりも義務を優先すべきと考える主人公が、自分の場所を求めて奮闘する話です。 R15は保険、タグは追加する可能性があります。 ふんわり設定のご都合主義の話なので、広いお心でお読みください。 24.3.1 女性向けHOTランキングで1位になりました。ありがとうございます。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

【完結】似て非なる双子の結婚

野村にれ
恋愛
ウェーブ王国のグラーフ伯爵家のメルベールとユーリ、トスター侯爵家のキリアムとオーランド兄弟は共に双子だった。メルベールとユーリは一卵性で、キリアムとオーランドは二卵性で、兄弟という程度に似ていた。 隣り合った領地で、伯爵家と侯爵家爵位ということもあり、親同士も仲が良かった。幼い頃から、親たちはよく集まっては、双子同士が結婚すれば面白い、どちらが継いでもいいななどと、集まっては話していた。 そして、図らずも両家の願いは叶い、メルベールとキリアムは婚約をした。 ユーリもオーランドとの婚約を迫られるが、二組の双子は幸せになれるのだろうか。

処理中です...