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第3章 賑やかし要員
3、同じ穴のムジナ
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「おうおうおう、あんまりうちの妹らを怖がらせるんじゃねーぞ」
「兄さん、チンピラになってる……」
「いけー、がんばれタケル」
「秀頼君は完全に十文字君をアテにしちゃったよ」
俺がでしゃばることなく解決してくれるならそれで良い。
さぁ、主人公らしいところを見せてくれタケル!
「ごめん、別に十文字君には用事ない」
「あっ、はい」
「私が用事あるのは、そっちのバカ男よ」
「ご指名だぞ、秀頼」
「…………」
役立たずー!
無能主人公もっと頑張れよ!
そんなんだから原作の嫌いなキャラクターランキングで2割も投票されるんだぞ。
6割の票をもらった俺に言う資格はないかもだが……。
「そこの男は取り入るのが上手なのね」
「君は俺たちの邪魔するのが上手なのね」
「っ、白々しい!言葉を真似しないでっ!」
なんでトラブルの方から俺にやってくるかな……。
まるで台風みたいな女だ。
賑やかし要員に過ぎなかった津軽円とは完全に別人だ。
「津軽さん、何か勘違いしてますよ。そもそも秀頼君は悪人じゃないのですよ」
「おぉ、絵美!」
津軽に怖がっている絵美であるが、フォローするくらいなら手助けできるらしい。
「言わされているんでしょ、耳を貸すわけないでしょ」
何を言ってももう彼女には通じないんだろう。
俺の信頼、信用はゼロであるのは明白だ。
理不尽に嫌われているのはどうも悲しくなる……。
「言わされてないのにー、なんでそんなに津軽さんはわたしを嫌うかなー」
「佐々木さんにはイラっとしてるけど、嫌ってはないです。イラっとしてるだけです」
「なんでイラっとって2回言いました?すごくイラっとします。てか絶対わたしを嫌いですよね?」
「まだ嫌いじゃないです。今後嫌いになりそうです。イラっとの積み重ねです」
「イラっとの積み重ねって何?」
イラっとスパイラルが津軽と絵美で出来上がっていた。
と、こんなくだらない会話は時間の無駄である。
「なぁ、津軽さん」
「あまりあなたと会話したくないんですけど」
「黙って聞いててくれ。別に危険なことはしない」
『ギフトは使いませんよ』と遠回りに釘を刺しておく。
それに渋々納得したのか、俺の会話を黙って待ってくれた津軽に俺の伝えたいことを口に紡ぐ。
「俺はともかく、そんな露骨に絵美を嫌わないでくれ。そんな『悲しみの連鎖を断ち切り』にしよう」
「……え?」
よし、食いついた。
あり得ないよな、ここでそんな原作のタイトルが出てくるなんて。
ちょっと無理矢理感はあるが、タケルらには『難しい言葉を使ってるな』と思われるだけだろうし、津軽には『強引に捩じ込んだことで、それを1番に伝えたい』と意図が読めるはずだ。
「津軽さん、俺もあんたと境遇が似ているんだ。同じ穴のムジナってやつだよ」
「ウソ、そんなの……」
「本当の津軽さんは絵美と仲良くしてる人、だよね?」
「……」
「仲良くしてあげて。絵美から話しかけたのも彼女の意思で津軽さんと友達になりたかっただけだよ」
この世界の住人が知る筈のない情報を、津軽に畳み掛ける。
どうか、伝わっていると信じたい。
「わかった。明智秀頼、まだあんたのこと信じられないけど、私が思っている人間というわけでは無さそうね……」
「あぁ、今はそれで十分だ。また話をしよう」
「ええ。同じ穴のムジナ、ね。素敵、私こそ今度ゆっくり話をしたいわ」
長い髪を揺らしながら、津軽は俺たちの元から離れていった。
……こういう同類が存在する可能性を考えないわけではなかった。
しかし、原作を知る者同士、お互いに興味を抱くなという方が無理な話である。
「と、いうわけで津軽さん、絵美たちと仲良くしてくれそうじゃない?」
「……むしろ仲良くなりたくなくなったよ」
「なんで?」
「ライバルになったかも……」
なんのライバルだろう?
理沙からは呆れたという感じのジト目で視線を感じるし、タケルは笑いをこらえている。
「気にしないで」
絵美が気にするなというから、気にしないことにした。
「兄さん、チンピラになってる……」
「いけー、がんばれタケル」
「秀頼君は完全に十文字君をアテにしちゃったよ」
俺がでしゃばることなく解決してくれるならそれで良い。
さぁ、主人公らしいところを見せてくれタケル!
「ごめん、別に十文字君には用事ない」
「あっ、はい」
「私が用事あるのは、そっちのバカ男よ」
「ご指名だぞ、秀頼」
「…………」
役立たずー!
無能主人公もっと頑張れよ!
そんなんだから原作の嫌いなキャラクターランキングで2割も投票されるんだぞ。
6割の票をもらった俺に言う資格はないかもだが……。
「そこの男は取り入るのが上手なのね」
「君は俺たちの邪魔するのが上手なのね」
「っ、白々しい!言葉を真似しないでっ!」
なんでトラブルの方から俺にやってくるかな……。
まるで台風みたいな女だ。
賑やかし要員に過ぎなかった津軽円とは完全に別人だ。
「津軽さん、何か勘違いしてますよ。そもそも秀頼君は悪人じゃないのですよ」
「おぉ、絵美!」
津軽に怖がっている絵美であるが、フォローするくらいなら手助けできるらしい。
「言わされているんでしょ、耳を貸すわけないでしょ」
何を言ってももう彼女には通じないんだろう。
俺の信頼、信用はゼロであるのは明白だ。
理不尽に嫌われているのはどうも悲しくなる……。
「言わされてないのにー、なんでそんなに津軽さんはわたしを嫌うかなー」
「佐々木さんにはイラっとしてるけど、嫌ってはないです。イラっとしてるだけです」
「なんでイラっとって2回言いました?すごくイラっとします。てか絶対わたしを嫌いですよね?」
「まだ嫌いじゃないです。今後嫌いになりそうです。イラっとの積み重ねです」
「イラっとの積み重ねって何?」
イラっとスパイラルが津軽と絵美で出来上がっていた。
と、こんなくだらない会話は時間の無駄である。
「なぁ、津軽さん」
「あまりあなたと会話したくないんですけど」
「黙って聞いててくれ。別に危険なことはしない」
『ギフトは使いませんよ』と遠回りに釘を刺しておく。
それに渋々納得したのか、俺の会話を黙って待ってくれた津軽に俺の伝えたいことを口に紡ぐ。
「俺はともかく、そんな露骨に絵美を嫌わないでくれ。そんな『悲しみの連鎖を断ち切り』にしよう」
「……え?」
よし、食いついた。
あり得ないよな、ここでそんな原作のタイトルが出てくるなんて。
ちょっと無理矢理感はあるが、タケルらには『難しい言葉を使ってるな』と思われるだけだろうし、津軽には『強引に捩じ込んだことで、それを1番に伝えたい』と意図が読めるはずだ。
「津軽さん、俺もあんたと境遇が似ているんだ。同じ穴のムジナってやつだよ」
「ウソ、そんなの……」
「本当の津軽さんは絵美と仲良くしてる人、だよね?」
「……」
「仲良くしてあげて。絵美から話しかけたのも彼女の意思で津軽さんと友達になりたかっただけだよ」
この世界の住人が知る筈のない情報を、津軽に畳み掛ける。
どうか、伝わっていると信じたい。
「わかった。明智秀頼、まだあんたのこと信じられないけど、私が思っている人間というわけでは無さそうね……」
「あぁ、今はそれで十分だ。また話をしよう」
「ええ。同じ穴のムジナ、ね。素敵、私こそ今度ゆっくり話をしたいわ」
長い髪を揺らしながら、津軽は俺たちの元から離れていった。
……こういう同類が存在する可能性を考えないわけではなかった。
しかし、原作を知る者同士、お互いに興味を抱くなという方が無理な話である。
「と、いうわけで津軽さん、絵美たちと仲良くしてくれそうじゃない?」
「……むしろ仲良くなりたくなくなったよ」
「なんで?」
「ライバルになったかも……」
なんのライバルだろう?
理沙からは呆れたという感じのジト目で視線を感じるし、タケルは笑いをこらえている。
「気にしないで」
絵美が気にするなというから、気にしないことにした。
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