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第1章 邂逅編
罪人姫は黄昏に散る
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ボムイノシシは既に導線に火が付いている。
「いやっ!?ま、待って!?」
『ブウウウウウ!』
ツキ改め、かぐやが逃げようと背中を向けるもボムイノシシが乗っかってくる。
力が強すぎる、引き剥がせない。
ならいっそ息の根を……、駄目爆発する事実は変わらない。
ーー桃太郎がやった倒し方は……、無理あんなデタラメ魔術使えない。
思考が浮かんでは、すぐ消える。
新しい思考が浮かんでは、すぐ――。
――バァァァァン!
下半身が吹き飛んだ。
かぐやの身体はもう既に肉と血の塊。
意識は朦朧とし、この意識が途絶えれば自分は死ぬのがもうわかる。
助からない……。
ボムイノシシはくたばったかぐやを見て満足したのか山へ消えていく足音がする。
「しにたく、ない……。しにたくな、ぃ……」
ーー今まで何人もの志を壊し、高笑いをして踏みにじったその罰がわたくしに来てしまったとでもいうのかな……?
反省はしてない、でも死にたくない……。
血も出尽くしたのか身体が冷たくなっていき……。
ーーーーー
「っぅ……」
逆行の魔術がなんとか発動したおかげで胸を貫かれる前の身体に戻した桃太郎。
ほぼオートで死にそうになると身体が勝手に魔力を使い逆行の魔術を駆使してしまう。
そして、体内の魔力を全て失っても、3から5分あれば全回復が出来るくらいには世界から魔力を吸収する力も強いのだ。
弱点としては死んだ土地、砂漠では魔力全回復が1時間掛かるくらいだ。
まぁそんな機会は無い様にしなくてはならないが……。
因みに、何故トラックと正面衝突事故で亡くなった際はオート逆行を発動しなかったのかの説明をすると即死だったからだ。
苦しんで死にそうになるとオート逆行が発動する。
寿命や病気で死ぬ際も同じ逆行は発動しない。
別に不死ではなく、半不死みたいな存在の桃太郎。
前世で4回、今世では1回死んだことになるのか。
4回目のオート逆行発動であった。
カウントされない1回はマジで死んだ経験より。
ーー全く、魔術なんてロクなもんじゃねーな……。
さて、俺を殺した張本人は何をしているのかチラッと盗み見る。
『ありがとう、愛しているわ桃太郎。貴方がもし月の住人で、私の味方で居てくれたなら婚約者に任命していたわ』
……何故か告白していた。
意味わからなくてそのまま死んだ振りを続ける。
とりあえずすることも無いし可哀想なので、桃太郎らボムイノシシのバリアボールを解除する。
まだ生きている状態なのかピクピクしている。
死んだ振りを続けてツキが演じているドラマの視聴者になってみる。
『私はこれより、ツキ・ブレードの名前を捨てて、わたくしはかぐやへ戻りますわ』
独り言ぶつぶつ怖い……。
でもなんかこのままやられるのは癪だった。
理由は『なんかイラっとするし……』。
そのまま黙ってツキの寸劇を視聴していくと、月と繋がっているっぽいゲートを魔力で構築しだした。
「……」
なんでもありかこいつ……、桃太郎って語られていないだけでこんな事件も巻き込まれたものだったのか……?
「あっ、そうだ」
ちょっと懲らしめてやろうとするイタズラ心が湧いてくる。
『やられたらやり返す、1000倍返しだ!』とは、軍での我が上司の精神だったのでそれを実行させていただく。
その辺に転がったボムイノシシに回復の魔術を駆使して、すぐに座標を弄る魔術を起動させる。
座標を弄った先は『ゲートの内側から1メートル先』。
これによりゲートを開けた瞬間、ボムイノシシと邂逅せざるを得ない。
『私はこれより、ツキ・ブレードの名前を捨てて、わたくしはかぐやへ戻りますわ』
どうやら御剣恭弥と同じみたいに、ツキにも違う名前があるらしい。
彼女のいきなり身長が伸びて、子供の面影は消えて美人へと進化した方に気を持っていかれて、名前はよく聞こえなかった。
そして、ツキがドヤ顔でゲートを開けると、怒り狂ったボムイノシシが門番の如く立ちふさがっている。
「……え?」
間抜けな声を漏らしたツキは、その2秒後には下半身が爆発四散。
ボムイノシシは役目を終えたとばかりに山へ帰って行った。
ーーありがとうボムイノシシ、さっきは酷いことしてごめんなぁ!
『ブウウウウウウウ!』と、お互い様さと伝えた鳴き声と、孤独な背中がそう物語った――気がした。
俺とボムイノシシの友情が広まったといってもいいだろう。
昨日の敵は、今日の味方だよな!
あっという間にボムイノシシは黄昏に包まれた神社から姿を消したのであった。
「いやっ!?ま、待って!?」
『ブウウウウウ!』
ツキ改め、かぐやが逃げようと背中を向けるもボムイノシシが乗っかってくる。
力が強すぎる、引き剥がせない。
ならいっそ息の根を……、駄目爆発する事実は変わらない。
ーー桃太郎がやった倒し方は……、無理あんなデタラメ魔術使えない。
思考が浮かんでは、すぐ消える。
新しい思考が浮かんでは、すぐ――。
――バァァァァン!
下半身が吹き飛んだ。
かぐやの身体はもう既に肉と血の塊。
意識は朦朧とし、この意識が途絶えれば自分は死ぬのがもうわかる。
助からない……。
ボムイノシシはくたばったかぐやを見て満足したのか山へ消えていく足音がする。
「しにたく、ない……。しにたくな、ぃ……」
ーー今まで何人もの志を壊し、高笑いをして踏みにじったその罰がわたくしに来てしまったとでもいうのかな……?
反省はしてない、でも死にたくない……。
血も出尽くしたのか身体が冷たくなっていき……。
ーーーーー
「っぅ……」
逆行の魔術がなんとか発動したおかげで胸を貫かれる前の身体に戻した桃太郎。
ほぼオートで死にそうになると身体が勝手に魔力を使い逆行の魔術を駆使してしまう。
そして、体内の魔力を全て失っても、3から5分あれば全回復が出来るくらいには世界から魔力を吸収する力も強いのだ。
弱点としては死んだ土地、砂漠では魔力全回復が1時間掛かるくらいだ。
まぁそんな機会は無い様にしなくてはならないが……。
因みに、何故トラックと正面衝突事故で亡くなった際はオート逆行を発動しなかったのかの説明をすると即死だったからだ。
苦しんで死にそうになるとオート逆行が発動する。
寿命や病気で死ぬ際も同じ逆行は発動しない。
別に不死ではなく、半不死みたいな存在の桃太郎。
前世で4回、今世では1回死んだことになるのか。
4回目のオート逆行発動であった。
カウントされない1回はマジで死んだ経験より。
ーー全く、魔術なんてロクなもんじゃねーな……。
さて、俺を殺した張本人は何をしているのかチラッと盗み見る。
『ありがとう、愛しているわ桃太郎。貴方がもし月の住人で、私の味方で居てくれたなら婚約者に任命していたわ』
……何故か告白していた。
意味わからなくてそのまま死んだ振りを続ける。
とりあえずすることも無いし可哀想なので、桃太郎らボムイノシシのバリアボールを解除する。
まだ生きている状態なのかピクピクしている。
死んだ振りを続けてツキが演じているドラマの視聴者になってみる。
『私はこれより、ツキ・ブレードの名前を捨てて、わたくしはかぐやへ戻りますわ』
独り言ぶつぶつ怖い……。
でもなんかこのままやられるのは癪だった。
理由は『なんかイラっとするし……』。
そのまま黙ってツキの寸劇を視聴していくと、月と繋がっているっぽいゲートを魔力で構築しだした。
「……」
なんでもありかこいつ……、桃太郎って語られていないだけでこんな事件も巻き込まれたものだったのか……?
「あっ、そうだ」
ちょっと懲らしめてやろうとするイタズラ心が湧いてくる。
『やられたらやり返す、1000倍返しだ!』とは、軍での我が上司の精神だったのでそれを実行させていただく。
その辺に転がったボムイノシシに回復の魔術を駆使して、すぐに座標を弄る魔術を起動させる。
座標を弄った先は『ゲートの内側から1メートル先』。
これによりゲートを開けた瞬間、ボムイノシシと邂逅せざるを得ない。
『私はこれより、ツキ・ブレードの名前を捨てて、わたくしはかぐやへ戻りますわ』
どうやら御剣恭弥と同じみたいに、ツキにも違う名前があるらしい。
彼女のいきなり身長が伸びて、子供の面影は消えて美人へと進化した方に気を持っていかれて、名前はよく聞こえなかった。
そして、ツキがドヤ顔でゲートを開けると、怒り狂ったボムイノシシが門番の如く立ちふさがっている。
「……え?」
間抜けな声を漏らしたツキは、その2秒後には下半身が爆発四散。
ボムイノシシは役目を終えたとばかりに山へ帰って行った。
ーーありがとうボムイノシシ、さっきは酷いことしてごめんなぁ!
『ブウウウウウウウ!』と、お互い様さと伝えた鳴き声と、孤独な背中がそう物語った――気がした。
俺とボムイノシシの友情が広まったといってもいいだろう。
昨日の敵は、今日の味方だよな!
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