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20、メンヘラの真骨頂

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「ウィル、どうしたの?」

急に帰ると言い出し、半ば引っ張るようにクリスティーナを馬車まで連れてきたウィリアム。
向かい側の席で戸惑うクリスティーナをじとっと見ながら、腕を組んでいる。
ウィリアムの様に整っている顔の人が仏頂面をしていると、なんとも言えない凄味がある。

「嫌な予感はしてたけど、やっぱりティナはヴィンセント様みたいな男がタイプだったんだね」

「え、何それ?」

クリスティーナが思ってもみないことで気分を害していたウィリアムに驚きを隠せない。

「ヴィンセント様に挨拶されて、見惚れてた」

「え、そうかな……いや、確かに素敵な方だけど、別に好きとかそんなんじゃないし」

「でも、かっこいいって思ったでしょ?」

「そりゃちょっとカッコいいなくらいは思ったけど。そんな事言ったら、陛下だってすごくカッコよかったし」

「でも、ヴィンセント様の方がタイプでしょ?」

まだこだわっているウィリアムに、段々苛立ってくるクリスティーナ。

「ちょっと待ってよ、私を誰でもすぐに好きになる様な尻軽女みたいに思ってるわけ!?」

「思ってない。思ってないから、余計にヴィンセント様に心を奪われたらどうしようって不安になってる」

「そんなことあるわけないじゃん、だって私はウィルが好きなんだからっ!」

言ってからハッとして、それから真っ赤になるクリスティーナ。

「──じゃあ、証拠を見せて」

一瞬の間があってから、試すように言ったウィリアム。

「証拠って……そんなの、心の中の事なんだから見せようがないわ……」

「じゃあ、ティナからキスして」

「でも……」

クリスティーナが固まってしまうと、ウィリアムは隣に座った。

「ティナが良いって言うまでずっと目を閉じているから。そしたら、恥ずかしくないでしょ、ね? 」

「……分かった……じゃあ目を瞑って、ウィル」

ティナの言葉に素直に従い、緑の双眸が栗色の睫毛で閉じられる。

(確かに、見られてると思うと恥ずかしいけど、これなら大丈夫かも……)

ティナはウィリアムの形の良い唇に自分のそれをそっと重ねた。
ふわりと羽が触れるような一瞬のキス。

「──ティナ、もう目を開けていい?」

「う、うん」

クリスティーナの許可を得ると、ウィリアムはゆっくりと目蓋を開けた。

「今のじゃ全然足りない。もっと親密なキスして?」

「親密なキスってな──っ、ん──……」

言葉が終わらないうちにウィリアムはクリスティーナの唇を奪った。
噛みつくような激しいキスに、クリスティーナは呼吸をするのもやっとだった。
ウィリアムに優しいキスも、長いキスも、濃密なキスもされたことはあったけど、こんな風に唇も咥内も執拗に吸われたり、舌を甘噛みされる様なキスは初めてだった。
舌を絡めて吸われているうちに、クリスティーナの顎を伝って胸元にまで二人のが混じった唾液が垂れていく。
クリスティーナのうなじを撫でていた左手がどんどん降りてきて、ドレスの上から胸を揉まれた。
その瞬間、強い力ではなかったのに、クリスティーナの身体の奥がキュンと疼いた。
ビクッと揺れたクリスティーナからようやく唇を離すと、首筋の唾液の後を辿るように舐め始めた。

「ウィル、ダメ……やめて……」

自分でも本当にやめて欲しいと思っているのか分からなくなりながら、欲情するウィリアムを止めようとするクリスティーナ。

「ティナ……ごめん、あともう少しだけ……」

ウィリアムは切なそうな声を出すとクリスティーナの背を横長の座面に倒した。
覆い被さるようにキスを再開して、両手でコルセットに隠れていない部分の胸を揉みしだく。

「あぁ、ティナ……」

熱に浮かされたようにクリスティーナの肌を求めるウィリアム。

(どうしよう、私、全然イヤじゃない……こんなこと、絶対ダメなのに……)

ウィリアムが胸を揉んでいるうちにコルセットから両の乳首がはみ出してしまう。

「ウィル……ダメよ……あんっ……」

「ティナのここ、硬くなってコリコリしてる。感じてくれてるの? すっごく可愛い……」

ウィリアムの視線が自分の胸の中央に熱く注がれていると思うと恥ずかしくて、どうにかなってしまいそうだった。

「ティナのここ、少しだけ、愛させて」

耳元で掠れた声でウィリアムに囁かれた言葉の意味をすぐに理解できないでいると、突如、左胸の硬くなった蕾にウィリアムが吸い付いた。
クリスティーナの唇を何度も奪ったウィリアムの唇が、今度は胸にしゃぶりついている。

「ティナ、気持ちいい?」

「そんなの、わか……んな……ん」

クチュクチュとウィリアムの咥内で犯される乳首はクリスティーナの身体を強制的に蕩けさせて、ついには下半身から蜜を垂れさせた。

「ま、待って、ウィル、私、出血、生理が来たかもしれない。せっかくのドレスが汚れちゃうっ!」

快楽に思考も身体も奪われかけていたクリスティーナは一気に我に帰る。
ウィリアムがくれたドレスが汚れてしまうと思うと、羞恥心も通り越して申告してしまった。
けれど、ウィリアムは慌てた様子もない。

「あぁ、ティナ、それは血じゃなくて、蜜だよ」

ウィリアムはそう綺麗な笑顔で言って、いとも容易くドレスの裾から手を入れ、クリスティーナの下肢の付け根に触れた。
濡れすぎて下着越しでもぬめりで指が滑る。
その布の横から器用に指を入れて、クリスティーナの蜜を指に撫で付ける。

「ほら、ね? 血じゃないでしょ?」

そう言って蜜の絡んだ自分の指をクリスティーナに見せた後に舐めた。

「そんな……」

クリスティーナには衝撃が大きすぎた。
彼女の中の色々なキャパが、大洪水並みに押しよせたショックによって完全にオーバーして、気絶してしまった。






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