9 / 26
09.同級生に懐かれる
しおりを挟む
それからも敦貴は、皇祐に構っていた。
休み時間には、真っ先に皇祐のところにやってくる。学校が終わると、一緒に帰るため皇祐の前に現われた。お互いの予定がなければ、二人でどこかに寄ってから家に帰る。そんな日常だ。
嬉しくないわけではなかったが、他の人たちの目が気になった。
彼には、たくさんの友だちがいる。それなのに、皇祐が傍にいる時は、誰も敦貴に話しかけない。そうなるのは、自分のせいだということは重々承知していた。だから理由をつけて、なるべく距離を置こうと必死だった。
***
「コウちゃーん」
昼休み、中庭のいつものベンチに座っていると、遠くから大きく手を振る敦貴の姿が見えた。
手を振り返さなくても、彼は駆け寄ってくる。
「待っててって言ったのに、先に行くんだもん」
そして、断りもなく、皇祐の隣に座るのだ。
「あれー? 今日、お弁当なんだねー」
「ああ、新しい使用人が決まったから……」
「しようにん?」
通じなかったようで、敦貴は怪訝そうな表情をしながらパンの袋を開け、ぱくりと食らいついた。
「お手伝いさんだよ。食事を作ったり、洗濯とか掃除したり、家のことをしてくれるんだ」
「すげー、そんな人いるのー? 母ちゃんも欲しいって言ってたよ。もう弁当作りたくないって、いっつもオレに怒るからさー」
「弁当? 今は持ってきてないの?」
「ああ、オレ、昼前に食べちゃうから、昼になったらもうないの。朝食べても、すぐお腹空くんだよねー」
今も、片手におにぎりを持ちながら、三つ目の蒸しパンを食べ終えようとしている。食べる量もすごいが、スピードも早かった。
敦貴は、学校に食事をしに来ているかのように、いつも何かを口にしていた。しかも、帰宅途中も買い食いをしたり、店に入って何かを食べたりする。一人で食べるのは嫌だからと、毎回付き合わされる皇祐は、大変な思いをしていた。彼の胃袋がどんな風になっているのか、想像がつかない。
休み時間には、真っ先に皇祐のところにやってくる。学校が終わると、一緒に帰るため皇祐の前に現われた。お互いの予定がなければ、二人でどこかに寄ってから家に帰る。そんな日常だ。
嬉しくないわけではなかったが、他の人たちの目が気になった。
彼には、たくさんの友だちがいる。それなのに、皇祐が傍にいる時は、誰も敦貴に話しかけない。そうなるのは、自分のせいだということは重々承知していた。だから理由をつけて、なるべく距離を置こうと必死だった。
***
「コウちゃーん」
昼休み、中庭のいつものベンチに座っていると、遠くから大きく手を振る敦貴の姿が見えた。
手を振り返さなくても、彼は駆け寄ってくる。
「待っててって言ったのに、先に行くんだもん」
そして、断りもなく、皇祐の隣に座るのだ。
「あれー? 今日、お弁当なんだねー」
「ああ、新しい使用人が決まったから……」
「しようにん?」
通じなかったようで、敦貴は怪訝そうな表情をしながらパンの袋を開け、ぱくりと食らいついた。
「お手伝いさんだよ。食事を作ったり、洗濯とか掃除したり、家のことをしてくれるんだ」
「すげー、そんな人いるのー? 母ちゃんも欲しいって言ってたよ。もう弁当作りたくないって、いっつもオレに怒るからさー」
「弁当? 今は持ってきてないの?」
「ああ、オレ、昼前に食べちゃうから、昼になったらもうないの。朝食べても、すぐお腹空くんだよねー」
今も、片手におにぎりを持ちながら、三つ目の蒸しパンを食べ終えようとしている。食べる量もすごいが、スピードも早かった。
敦貴は、学校に食事をしに来ているかのように、いつも何かを口にしていた。しかも、帰宅途中も買い食いをしたり、店に入って何かを食べたりする。一人で食べるのは嫌だからと、毎回付き合わされる皇祐は、大変な思いをしていた。彼の胃袋がどんな風になっているのか、想像がつかない。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
アルファとアルファの結婚準備
金剛@キット
BL
名家、鳥羽家の分家出身のアルファ十和(トワ)は、憧れのアルファ鳥羽家当主の冬騎(トウキ)に命令され… 十和は豊富な経験をいかし、結婚まじかの冬騎の息子、榛那(ハルナ)に男性オメガの抱き方を指導する。 😏ユルユル設定のオメガバースです。
キミの次に愛してる
Motoki
BL
社会人×高校生。
たった1人の家族である姉の由美を亡くした浩次は、姉の結婚相手、裕文と同居を続けている。
裕文の世話になり続ける事に遠慮する浩次は、大学受験を諦めて就職しようとするが……。
姉への愛と義兄への想いに悩む、ちょっぴり切ないほのぼのBL。
【完結】遍く、歪んだ花たちに。
古都まとい
BL
職場の部下 和泉周(いずみしゅう)は、はっきり言って根暗でオタクっぽい。目にかかる長い前髪に、覇気のない視線を隠す黒縁眼鏡。仕事ぶりは可もなく不可もなく。そう、凡人の中の凡人である。
和泉の直属の上司である村谷(むらや)はある日、ひょんなことから繁華街のホストクラブへと連れて行かれてしまう。そこで出会ったNo.1ホスト天音(あまね)には、どこか和泉の面影があって――。
「先輩、僕のこと何も知っちゃいないくせに」
No.1ホスト部下×堅物上司の現代BL。
僕のために、忘れていて
ことわ子
BL
男子高校生のリュージは事故に遭い、最近の記憶を無くしてしまった。しかし、無くしたのは最近の記憶で家族や友人のことは覚えており、別段困ることは無いと思っていた。ある一点、全く記憶にない人物、黒咲アキが自分の恋人だと訪ねてくるまでは────
初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
春風の香
梅川 ノン
BL
名門西園寺家の庶子として生まれた蒼は、病弱なオメガ。
母を早くに亡くし、父に顧みられない蒼は孤独だった。
そんな蒼に手を差し伸べたのが、北畠総合病院の医師北畠雪哉だった。
雪哉もオメガであり自力で医師になり、今は院長子息の夫になっていた。
自身の昔の姿を重ねて蒼を可愛がる雪哉は、自宅にも蒼を誘う。
雪哉の息子彰久は、蒼に一心に懐いた。蒼もそんな彰久を心から可愛がった。
3歳と15歳で出会う、受が12歳年上の歳の差オメガバースです。
オメガバースですが、独自の設定があります。ご了承ください。
番外編は二人の結婚直後と、4年後の甘い生活の二話です。それぞれ短いお話ですがお楽しみいただけると嬉しいです!
【完結】もう一度恋に落ちる運命
grotta
BL
大学生の山岸隆之介はかつて親戚のお兄さんに淡い恋心を抱いていた。その後会えなくなり、自分の中で彼のことは過去の思い出となる。
そんなある日、偶然自宅を訪れたお兄さんに再会し…?
【大学生(α)×親戚のお兄さん(Ω)】
※攻め視点で1話完結の短い話です。
※続きのリクエストを頂いたので受け視点での続編を連載開始します。出来たところから順次アップしていく予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる