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第2章 【side 皇祐】
25.溢れる想いは
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それからしばらくの間、敦貴は皇祐の前に姿を現さなかった。
距離を置くと言ったことを、まだ守っているのか。それとも気を遣っているのか。
皇祐は敦貴の前で、かっこ悪いほどに泣き崩れてしまった。敦貴もかなり驚いた様子だった。
いい加減、幻滅しただろうか。
敦貴との関係に、そろそろ幕を引く時期だと皇祐は考える。
やっと実った想いを手放したくなくて、ずっと先延ばしにしていた。早く解放してあげないと敦貴が可哀想だ。
彼はゲイではない。すぐに次の恋人を作ることができるはず。
自分の気持ちに決着をつけるためにも、敦貴ときちんと話をした方がいいのだ。
だけど、彼に会って優しい言葉をかけられたら、心が揺らいで気持ちがまとまらなくなる。
敦貴にとって、自分は相応しい人間ではない。身に染みてわかっているのに、皇祐の敦貴への想いは学生の頃よりもずっと強くなっていた。その想いが溢れてきて決断できないのだ。
皇祐は、いつの間にか敦貴が働くラーメン店の目の前にいた。
敦貴のことを考えていたからなのか、自然と身体が動いていたようだ。
あいにく今日は定休日で、店は閉まっている。
敦貴は今どこにいるだろうか。
店が定休日なら、彼も仕事が休みだということ。
――会いたい。
真っ先にその想いが頭の中でいっぱいになった。
ポケットから携帯電話を取り出し、敦貴に連絡しようとしたが、思いとどまる。
――僕は会ってどうする気なんだ。
敦貴と会って楽しい時間を過ごそうとでも思っているのか。一緒にいても未来はないのに、ただ敦貴を傷つけるだけ。
やりきれない気持ちが皇祐を苦しめる。
どうしたら敦貴のことを忘れることができるのだろう。
距離を置くと言ったことを、まだ守っているのか。それとも気を遣っているのか。
皇祐は敦貴の前で、かっこ悪いほどに泣き崩れてしまった。敦貴もかなり驚いた様子だった。
いい加減、幻滅しただろうか。
敦貴との関係に、そろそろ幕を引く時期だと皇祐は考える。
やっと実った想いを手放したくなくて、ずっと先延ばしにしていた。早く解放してあげないと敦貴が可哀想だ。
彼はゲイではない。すぐに次の恋人を作ることができるはず。
自分の気持ちに決着をつけるためにも、敦貴ときちんと話をした方がいいのだ。
だけど、彼に会って優しい言葉をかけられたら、心が揺らいで気持ちがまとまらなくなる。
敦貴にとって、自分は相応しい人間ではない。身に染みてわかっているのに、皇祐の敦貴への想いは学生の頃よりもずっと強くなっていた。その想いが溢れてきて決断できないのだ。
皇祐は、いつの間にか敦貴が働くラーメン店の目の前にいた。
敦貴のことを考えていたからなのか、自然と身体が動いていたようだ。
あいにく今日は定休日で、店は閉まっている。
敦貴は今どこにいるだろうか。
店が定休日なら、彼も仕事が休みだということ。
――会いたい。
真っ先にその想いが頭の中でいっぱいになった。
ポケットから携帯電話を取り出し、敦貴に連絡しようとしたが、思いとどまる。
――僕は会ってどうする気なんだ。
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やりきれない気持ちが皇祐を苦しめる。
どうしたら敦貴のことを忘れることができるのだろう。
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