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第1章 【side 敦貴】
02.イライラが募る同窓会 ②
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「あれ? おまえ、アイツと仲良かったんじゃねーの」
意地悪そうに笑う柿田に腹が立ったが、何も言い返せなくて唇を噛んだ。
仲谷皇祐は高校時代からの親友、だと敦貴は思っている。
どこに行くのも何をするのも彼と一緒で、離れている時間の方が短かったかもしれない。
適当でおおらかな性格の敦貴に対して、皇祐は責任感が強く、真面目すぎるほどまっすぐな性格。正反対の二人だったが、意外と気が合って高校の三年間を共に過ごした。
高校卒業後は、それぞれ別々の大学に行くことになった。それだけでも心細いのに、皇祐は日本ではなく、海外の大学に留学だ。高校の頃のように頻繁に会うことができなくなると知った敦貴はしばらく落ち込んでいた。
皇祐が留学してからは、追い打ちをかけるように彼と連絡が取れなくなってしまう。理由はわからなかったが、皇祐の携帯電話にかけても繋がらなくなったのだ。
すぐに自宅を訪ねた。お手伝いさんという人が出てきて、皇祐の連絡先を聞いたが、個人情報だとか言われてしまう。「友だちだ」といくら言っても教えてもらうことはできなかった。
突然のことだったから、ショックで放心状態の日々を過ごした。
連絡先は携帯番号しか教えてもらっていない。それ以外に皇祐と連絡を取る方法はわからなかった。もしかしたら、他に方法があったのかもしれない。だけど、あの頃の敦貴には何も思いつかなかったのだ。
彼からの連絡を待つしかなかった。何度も着信を確認する日が続く。だけど結局連絡は来なくて、それっきりになった。
その皇祐が日本に戻っているとなれば、会える可能性はゼロではない。心の奥では、この同窓会に皇祐がいるんじゃないかと微かな期待を抱いていたのだから。
「近くに住んでるっていうから、今日も来いって誘ったんだけどな。そりゃ、来れるわけないか。アイツの家、すっげー金持ちだったじゃん。だけど、親の会社倒産してひどいことになってたって知ってた?」
柿田から皇祐の情報を聞くのは、堪えられなかった。しかも、皇祐にとっては人には知られたくない内容のはずだ。笑いながら話す柿田に嫌悪感を抱いた。
「仲谷の奴、今、何やってると思う?」
調子に乗る柿田は、面白がって話を続けた。
「え、弁護士とか? 検事?」
「仲谷くん、そんな感じするよね」
周りにいた女性たちも、困った顔をしながら柿田に話を合わせている。
「学生の頃なら、そんなイメージだよな。これが全然違うんだって」
何が可笑しいのか一人で声を上げて笑っている。不愉快で敦貴は眉をひそめた。
意地悪そうに笑う柿田に腹が立ったが、何も言い返せなくて唇を噛んだ。
仲谷皇祐は高校時代からの親友、だと敦貴は思っている。
どこに行くのも何をするのも彼と一緒で、離れている時間の方が短かったかもしれない。
適当でおおらかな性格の敦貴に対して、皇祐は責任感が強く、真面目すぎるほどまっすぐな性格。正反対の二人だったが、意外と気が合って高校の三年間を共に過ごした。
高校卒業後は、それぞれ別々の大学に行くことになった。それだけでも心細いのに、皇祐は日本ではなく、海外の大学に留学だ。高校の頃のように頻繁に会うことができなくなると知った敦貴はしばらく落ち込んでいた。
皇祐が留学してからは、追い打ちをかけるように彼と連絡が取れなくなってしまう。理由はわからなかったが、皇祐の携帯電話にかけても繋がらなくなったのだ。
すぐに自宅を訪ねた。お手伝いさんという人が出てきて、皇祐の連絡先を聞いたが、個人情報だとか言われてしまう。「友だちだ」といくら言っても教えてもらうことはできなかった。
突然のことだったから、ショックで放心状態の日々を過ごした。
連絡先は携帯番号しか教えてもらっていない。それ以外に皇祐と連絡を取る方法はわからなかった。もしかしたら、他に方法があったのかもしれない。だけど、あの頃の敦貴には何も思いつかなかったのだ。
彼からの連絡を待つしかなかった。何度も着信を確認する日が続く。だけど結局連絡は来なくて、それっきりになった。
その皇祐が日本に戻っているとなれば、会える可能性はゼロではない。心の奥では、この同窓会に皇祐がいるんじゃないかと微かな期待を抱いていたのだから。
「近くに住んでるっていうから、今日も来いって誘ったんだけどな。そりゃ、来れるわけないか。アイツの家、すっげー金持ちだったじゃん。だけど、親の会社倒産してひどいことになってたって知ってた?」
柿田から皇祐の情報を聞くのは、堪えられなかった。しかも、皇祐にとっては人には知られたくない内容のはずだ。笑いながら話す柿田に嫌悪感を抱いた。
「仲谷の奴、今、何やってると思う?」
調子に乗る柿田は、面白がって話を続けた。
「え、弁護士とか? 検事?」
「仲谷くん、そんな感じするよね」
周りにいた女性たちも、困った顔をしながら柿田に話を合わせている。
「学生の頃なら、そんなイメージだよな。これが全然違うんだって」
何が可笑しいのか一人で声を上げて笑っている。不愉快で敦貴は眉をひそめた。
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