愛する姉に裏切られた戦姫は、敵国の想い人に救われる

アザリアは姉が好きだった。
優しく美しい姉が大好きだった。

よって、彼女に代わって引き受けたのだ。
ヤクシュ伯爵である父の戦死。
継ぐべき男子は無く、年長の姉が代行として当主を任せられるはずだった。
しかし、姉に頼まれたのだ。
当主など嫌だ。戦場になど行きたくない。
そう泣きつかれて、アザリアは姉の代わりとなった。

そして4年。
当主としての激務にも、過酷な戦場にもアザリアは耐え抜いた。
それどころか、特に戦場に非凡な才能を見せ、戦姫と賞されるに至った。

全ては愛する姉のためだった。
しかし、

「……これです。この書状が裏切りの証拠です。アザリアは敵国に通じています」

戦勝の宴の席だ。
愛する姉はそんな訴えを口にした。
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