Smile

アオ

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1章

6

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 ここが、お城だと言うことはなんとなく想像ついた。しかし、どの規模のお城であるのかはわからなかった。
 ニコの後ろについて歩き、窓から外を眺めたら自分のいたところがまるで学校の屋上と同じ高さで
 なんとなく不思議な気持ちになった。
 
 本当なら、今頃は授業中だったのかな。それとも、休み時間だったかな。

 ひなたは歩きながら自分がいる現状が本やゲームの中であるかのような錯覚に陥りそうだった。
 廊下は10クラス分の廊下の長さだな、
 広さは学校と同じだな。窓は学校と違って分厚いな。
 いろんなことを比べながら無言でひたすら歩いた。
 そしてまっすぐに歩いたその先に
 大きなドアにたどり着いた。
 階段上がったり下がったり廊下を曲がったりすると思っていたひなたは
 自分がいたところから一直線に歩いただけだったのでとても驚いた。
 しかしながらここだけ、ドアの大きさが違い、大きく手彫りで蔦のような模様が入ったドアで
 他の部屋と扱いが違うことが手に取るようにわかった。
 その前には両サイド、槍を持った護衛のものが無表情で立っている。
 ニコはそのもの達に目で合図し、二つノックしをし、護衛にドアを開けさせた。


 「失礼します。ヒナタさまお連れいたしました」

 部屋の中に響き渡るその声にひなたはびっくりした。
 ひなたは護衛の人にぺこりと会釈をしこわごわと入る。
 大きな広間などに案内されるかと思いきや、
 どうやら国王の個室か書斎らしく両サイドに大きな本棚があり目の前には
 机と座り心地の良さそうな椅子に国王が座っていた。
 なのでここが国王の部屋であると理解した。
 それでも王様の部屋だからさぞかし豪華と思いきやとても質素。
 いや、置いてある家具とかは品が良いんだろうなとはわかるけど、
 無駄なものを一切置いてない感じ。
 膨大な本はあるけど高そうな絵や花瓶、置物などは一切なかった。

 この国王は税金とか無駄使いするようなバカな人じゃなさそう。
 ひなたはなんとなく思った。それだけでもちょっとだけ安心した
 ふと王様のほうを見ると知らない男の人が2人。これまた、美形。
 ここの世界は顔のいい男しかいないのかね。
 自分は乙ゲーはしないけどそこの世界ですかねと言いたい。

 二人を眺めてたら国王が私に紹介をしてくれた。
「ヒナタさん、紹介します。彼はコーナン・グレートといって、この国の
 王宮直属の騎士団長だ。君の守りも担当してもらう」
 なんて綺麗な赤毛なんだろう。瞳も金色だし。角度によって赤くも見える。
 背がすごく高く190センチはゆうにあるかな。
 この体幹の太さはきっと服をガバッと上に上げると確実にシックスパットだな。
 騎士団というのは国を守ってる人なんだろうか王宮直属ってことなんだろうか。
 どっちにしてもとても強そうってことはよくわかる。
 静かな瞳はとても強い精神力が伺えた。
「よろしくお願いします」
 といって頭をぺこりとさげたらびっくりされた。
 ああ、もしかしてお辞儀する習慣がないのかな?ま、いっか。
「こっちはロール・ヘンディ。神官長であなたが異世界からきたことの予言や
 今後起こりうることを見通したり調べ対策をしていくものだ。
 僕の補佐的な仕事をやってもらっている」
 この人もまあ、なんと色気のある男の人だろう。
 腰までながいグレーの髪はさらさらで、枝毛なさそう。
 そのサラサラの髪を後ろにひとまとめにして、
 男の人なのにやたらと色気がある。
 女装が似合いそう・・・。
 「よろしくお願いします」
 とまたお辞儀した。
 よろしくお願いしますと返してくれたけど
 彼はじーっと見つめて何かを探ってるみたい。
 なんだよう、さぐっても何もでないぞう。
 神官は人の心とか読めるのかな。だとすると何も考えてないのがバレるからやめて欲しい。
 国王は挨拶を済ませると、私を目の前の大きなソファーに座るように促した。
「ひなたさんが何でここに来たのか、この後にはどうするのか
 彼らとともに答えを出していけるよう何でも相談してください。
 それから、今からお話しすることはとても重要なお話しです。
 きちんと頭に入れて話しを聞いてくれますか?
 質問は話しのあとにいくらでも聞きます」

 国王の真剣な眼差しに私は頷くので精一杯だった。

 ここはフォレット国といって彼で13代目の大きな大国であった。
 初代が国を立てた際にとても力のある魔法使いがある予言をした。


 『国王が10代を過ぎたころ徐々に近隣の国々がこの国を狙ってくるだろう。
 どんなに国王がしっかりしても争いのたえない国になってくる。
 若い国王が誕生した時、異世界より一人の少女が降り立つ。
 その少女は長い黒髪に黒い瞳であるという。
 少女は動物や人々を助け、やがてはこの国がゆるがないほど
 豊かな国となるであろう。』

 と、まあこれがおおよその予言の内容だった。
 今まで若い国王は誕生せず、ロナルドが始めての10代の国王であるという。
 ある日、国中の動物が突然大騒ぎした。それはほんのわずかな時間のみで
 大ごとにはならなかったが、予言を知った一部の人間だけがこの異変に気付き、
 注意深く観察していた。そして城から北の方角に大きな丘がありその近くの森に住んでいる
 動物達が種類問わず移動はじめたという。
 この異常な現象に気づいたロナルドとコーナンが後をついていったら
 ヒナタが寝ていた場所にたどりついたらしい。

 ここまで話しを聞いてただただ驚いていた。
 ゲームや小説にありそうな話が自分にふりかかるとは。
 しかも、動物や人を助けるなんて。ありえない。
 どっちかというと動物には助けてもらったし。
 そんな力があるとは思えない。
 ぶっちゃけ、どんなことすればいいのかもわからないし、漠然としすぎている予言の内容に驚いた。

 「信じられないだろうが、これが国で代々伝わっている予言です。
 私達はこの予言を信じてずっと様子を伺っていました。
 今、予言の通り、この国の周りでは争いごとが始まってしまいました。
 今まで、平和に生活していたというのに、急に国境近くで問題が起きているのです。
 それにこの世界では黒髪で黒い瞳の人間は一人としていなんです。
 赤毛、金髪、白髪、シルバー、緑、色々な髪の者がいますが黒髪はいないのです。
 ひなたさん以外は」
 一息ついて彼はまた続けた。
 「何も知らない世界に連れてこられあなたにとって心の負担は私たちの想像以上のものでしょう。
 しかし、この国の人間を助けていただけないでしょうか。
 予言の少女として皆の心の支えになっていただけないでしょうか」
 
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