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薔薇園の出会い 01
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幽霊の体なら、誰にも見とがめられずに入れるのでは無いかという目論見は正しかった。
まんまと宮殿の中に入り込んだメルは、建物内に一歩足を踏み入れた瞬間にその威容に圧倒される。
(凄い! キラキラで綺麗!)
入口を入ってすぐの場所にあったのは、優美に湾曲した大階段だ。
艶やかな黒檀の手すりには精緻なら彫刻が施され、床はふかふかの深紅の絨毯で覆われている。
天井には豪奢なシャンデリアがぶら下がっており、階段を登りきった壁面には、青薔薇を描いたステンドグラスがはめ込まれていた。
(やっぱり王様のお住まいだけあって凄いわ……)
ここだけでなく、きっと細部に至るまでこの豪華さに違いない。メルは感嘆のため息をつきながら階段を昇る。
まず一番上の階まで行って、青薔薇がある薔薇園の位置を探そうと思ったのだ。
(確か、王族の居住区域内にあるって聞いたような……?)
だけど、それがどこなのかまではわからない。
この半透明の体は、壁も天井も関係なくすり抜けられる。だが、メルは建物の内装にも興味があったので、ゆっくりと階段を浮かびながら昇って廊下を移動した。
途中、宮殿に仕える使用人や警護の兵士とすれ違う。しかしやはり誰にもメルは認識してもらえなかった。
(……幽霊もいないみたい)
宮殿の中は街中とは違って、半透明の人間(?)は自分以外に存在しなかった。
ハイランドの王族は建国の女神ハイランディアの末裔で、生まれながらに神気を顕現させ、強力な神術を扱うと言われているから、それが影響しているのかもしれない。
◆ ◆ ◆
(わあ、すごい)
一旦最上階まで昇って位置を確認し、もう一度下まで降りて――そんな手間を踏んでたどり着いた薔薇園は圧巻の美しさだった。
ちなみに、ここに至るまでかなりの時間がかかっている。宮殿の廊下には、絵画やら陶器やら、様々な美術品が至る所に飾られていて、その一つ一つを鑑賞しながら薔薇園を探したからだ。
(凄いなあ、どこもかしこも豪華……)
メルはうっとりと花壇に咲き誇る大輪の薔薇に見蕩れた。
(薔薇がこんなにも見事に咲いているという事は、今は夏の手前あたりかしら?)
この体は暑さも寒さも感じないから季節感がよくわからない。だけど、これまですれ違った人々の服装や、この薔薇園の様子を見るに、きっと季節は春と夏のはざまに違いない。
そんな事を考えながら、メルは花壇のエリアを抜け、アーチ状に仕立てられた白薔薇の回廊を通り抜ける。
すると、隠れ家のような四阿があり、その周囲を取り囲むように青い薔薇が咲いていた。
奇蹟の青薔薇、『ローザ・ミスティカ』だ。メルはふらふらと吸い寄せられるように青薔薇へと近付いていく。
(この色を絵の具で表現するとしたら何色を使えばいいかしら……)
噂に聞いていた通り、深みのある上品な青だ。
コバルトブルーにフタロブルーを混ぜて、花弁の根元は少し紫を入れて……。
と、考えたところで首を傾げた。
(どうして私、絵を描く想像をしたのかしら)
水彩画は富裕層の子女にとっては嗜みだ。
服装、そしておぼろげな自分の住んでいた場所の風景から考えるに、恐らく自分はその階級に位置する人間だったのだろう。顔の思い出せない赤毛の婚約者も、上等な紳士服を身に着けていた。
(きっと私、それなりのお家の出身だったのね……)
幼馴染みほど裕福ではなくても、毎日あくせく働かねばいけない労働者階級ではない。
おぼろげに思い出せる家の中の光景から考えるに、恐らく上級中流階級――資本家、学者、軍人、官僚など、平民の中でも家事使用人を雇える程度には余裕がある家柄の出身だ。
何人かの女中が家の中で働いている姿が脳裏をよぎる。
また、自分の事は霞がかったように曖昧だというのに、誰もが知っているような一般常識はするすると思い出せるのは不思議だった。
……と自分について考察していると、背後からヒュッと息を呑むような音が聞こえた。
何事かと思い、メルは振り返る。
すると、彫像のように端正な容貌の青年が立っていた。
周囲に咲くローザ・ミスティカのように深みのある青の瞳に、緩やかに波打つ金色の髪の美形だ。その顔立ちにメルは見覚えがあった。
(王子様だ……)
この国の第二王子、ギルバートだ。
王族の写真や絵姿はあちこちに出回っているから、国民に広く顔を周知されている。
今年で二十四歳になる彼は、おとぎ話に出てくる『白馬に乗った王子様』のような外見をしているため、特に女性から高い人気を誇っていた。
(すごい、本物だわ)
メルは目を大きく見開くとギルバートの顔を観察した。
本物は写真や絵姿よりも遥かに格好良い。特に足の長さと顔の小ささにメルは目を奪われた。
彼の背後には鮮やかに咲き乱れる青薔薇があるものだから、それがまた絵画のワンシーンのように映える。
ギルバートはスケッチブックを手に持っていた。どうやらここには写生をしに来ていたらしい。
(絵を嗜まれるのね)
どんな絵を描くのだろう。
まじまじと観察するメルの目の前で、ギルバートは突然踵を返すと、足早にその場から離れていった。
その態度に、ハッとメルは気付く。
(私を見てた!)
自分が見える人がいた。メルはぱあっと顔を輝かせると、慌ててギルバートを追いかけた。
「あの! ギルバート殿下ですよね! 待って下さい! 私が見えてますよね!」
ギルバートはメルの質問に答えず、全力で駆け出した。
速い。
メルはまだあまりうまく空中を移動できないから、どんどん距離を離されていく。
「待って下さい。なんで逃げるんですか!」
「追いかけてくるからに決まってる! クソっ、なんでここに亡者がいるんだ!」
悪態をつきながら、ギルバートは一目散に宮殿へと向かって走り去る。
素直に追い掛けても、移動速度が違うから絶対追い付けない。
瞬時にそう判断したメルは、壁抜けができるのを利用して、障害物を無視して真っ直ぐに宮殿を目指した。
そして、壁に頭を突っ込み、少し離れた場所にある、庭に通じる出入口の方へと顔を向ける。
少し待っていると、慌てた様子でギルバートが建物内に飛び込んできた。
どうやら先回りに成功したようである。メルはほっと息をついた。
ギルバートは、警戒心を露わにして、扉近くにある窓から外の様子を確認している。
きっとメルが付いてきていないかをチェックしたに違いない。
ややあってギルバートはふうっと息をつくと、気を取り直した様子でこちらに方向転換をし、ゆっくりと歩き出した。
メルは咄嗟に壁を抜け、建物の外側に身を隠す。
(見つかったらまた逃げられちゃう)
メルはただ、彼と少しだけ話をしてみたいだけなのに。
むうっと膨れると、メルはギルバートが通り過ぎるのを待った。
(そろそろいいかしら)
しばらく待ってから再び顔を建物の中に突っ込むと、ギルバートは廊下の突き当たりにある階段を昇ろうとしているところだった。
メルは見つからないように距離を大きく取り、物陰や壁の中に身を隠しながら彼の後を追いかけた。
まんまと宮殿の中に入り込んだメルは、建物内に一歩足を踏み入れた瞬間にその威容に圧倒される。
(凄い! キラキラで綺麗!)
入口を入ってすぐの場所にあったのは、優美に湾曲した大階段だ。
艶やかな黒檀の手すりには精緻なら彫刻が施され、床はふかふかの深紅の絨毯で覆われている。
天井には豪奢なシャンデリアがぶら下がっており、階段を登りきった壁面には、青薔薇を描いたステンドグラスがはめ込まれていた。
(やっぱり王様のお住まいだけあって凄いわ……)
ここだけでなく、きっと細部に至るまでこの豪華さに違いない。メルは感嘆のため息をつきながら階段を昇る。
まず一番上の階まで行って、青薔薇がある薔薇園の位置を探そうと思ったのだ。
(確か、王族の居住区域内にあるって聞いたような……?)
だけど、それがどこなのかまではわからない。
この半透明の体は、壁も天井も関係なくすり抜けられる。だが、メルは建物の内装にも興味があったので、ゆっくりと階段を浮かびながら昇って廊下を移動した。
途中、宮殿に仕える使用人や警護の兵士とすれ違う。しかしやはり誰にもメルは認識してもらえなかった。
(……幽霊もいないみたい)
宮殿の中は街中とは違って、半透明の人間(?)は自分以外に存在しなかった。
ハイランドの王族は建国の女神ハイランディアの末裔で、生まれながらに神気を顕現させ、強力な神術を扱うと言われているから、それが影響しているのかもしれない。
◆ ◆ ◆
(わあ、すごい)
一旦最上階まで昇って位置を確認し、もう一度下まで降りて――そんな手間を踏んでたどり着いた薔薇園は圧巻の美しさだった。
ちなみに、ここに至るまでかなりの時間がかかっている。宮殿の廊下には、絵画やら陶器やら、様々な美術品が至る所に飾られていて、その一つ一つを鑑賞しながら薔薇園を探したからだ。
(凄いなあ、どこもかしこも豪華……)
メルはうっとりと花壇に咲き誇る大輪の薔薇に見蕩れた。
(薔薇がこんなにも見事に咲いているという事は、今は夏の手前あたりかしら?)
この体は暑さも寒さも感じないから季節感がよくわからない。だけど、これまですれ違った人々の服装や、この薔薇園の様子を見るに、きっと季節は春と夏のはざまに違いない。
そんな事を考えながら、メルは花壇のエリアを抜け、アーチ状に仕立てられた白薔薇の回廊を通り抜ける。
すると、隠れ家のような四阿があり、その周囲を取り囲むように青い薔薇が咲いていた。
奇蹟の青薔薇、『ローザ・ミスティカ』だ。メルはふらふらと吸い寄せられるように青薔薇へと近付いていく。
(この色を絵の具で表現するとしたら何色を使えばいいかしら……)
噂に聞いていた通り、深みのある上品な青だ。
コバルトブルーにフタロブルーを混ぜて、花弁の根元は少し紫を入れて……。
と、考えたところで首を傾げた。
(どうして私、絵を描く想像をしたのかしら)
水彩画は富裕層の子女にとっては嗜みだ。
服装、そしておぼろげな自分の住んでいた場所の風景から考えるに、恐らく自分はその階級に位置する人間だったのだろう。顔の思い出せない赤毛の婚約者も、上等な紳士服を身に着けていた。
(きっと私、それなりのお家の出身だったのね……)
幼馴染みほど裕福ではなくても、毎日あくせく働かねばいけない労働者階級ではない。
おぼろげに思い出せる家の中の光景から考えるに、恐らく上級中流階級――資本家、学者、軍人、官僚など、平民の中でも家事使用人を雇える程度には余裕がある家柄の出身だ。
何人かの女中が家の中で働いている姿が脳裏をよぎる。
また、自分の事は霞がかったように曖昧だというのに、誰もが知っているような一般常識はするすると思い出せるのは不思議だった。
……と自分について考察していると、背後からヒュッと息を呑むような音が聞こえた。
何事かと思い、メルは振り返る。
すると、彫像のように端正な容貌の青年が立っていた。
周囲に咲くローザ・ミスティカのように深みのある青の瞳に、緩やかに波打つ金色の髪の美形だ。その顔立ちにメルは見覚えがあった。
(王子様だ……)
この国の第二王子、ギルバートだ。
王族の写真や絵姿はあちこちに出回っているから、国民に広く顔を周知されている。
今年で二十四歳になる彼は、おとぎ話に出てくる『白馬に乗った王子様』のような外見をしているため、特に女性から高い人気を誇っていた。
(すごい、本物だわ)
メルは目を大きく見開くとギルバートの顔を観察した。
本物は写真や絵姿よりも遥かに格好良い。特に足の長さと顔の小ささにメルは目を奪われた。
彼の背後には鮮やかに咲き乱れる青薔薇があるものだから、それがまた絵画のワンシーンのように映える。
ギルバートはスケッチブックを手に持っていた。どうやらここには写生をしに来ていたらしい。
(絵を嗜まれるのね)
どんな絵を描くのだろう。
まじまじと観察するメルの目の前で、ギルバートは突然踵を返すと、足早にその場から離れていった。
その態度に、ハッとメルは気付く。
(私を見てた!)
自分が見える人がいた。メルはぱあっと顔を輝かせると、慌ててギルバートを追いかけた。
「あの! ギルバート殿下ですよね! 待って下さい! 私が見えてますよね!」
ギルバートはメルの質問に答えず、全力で駆け出した。
速い。
メルはまだあまりうまく空中を移動できないから、どんどん距離を離されていく。
「待って下さい。なんで逃げるんですか!」
「追いかけてくるからに決まってる! クソっ、なんでここに亡者がいるんだ!」
悪態をつきながら、ギルバートは一目散に宮殿へと向かって走り去る。
素直に追い掛けても、移動速度が違うから絶対追い付けない。
瞬時にそう判断したメルは、壁抜けができるのを利用して、障害物を無視して真っ直ぐに宮殿を目指した。
そして、壁に頭を突っ込み、少し離れた場所にある、庭に通じる出入口の方へと顔を向ける。
少し待っていると、慌てた様子でギルバートが建物内に飛び込んできた。
どうやら先回りに成功したようである。メルはほっと息をついた。
ギルバートは、警戒心を露わにして、扉近くにある窓から外の様子を確認している。
きっとメルが付いてきていないかをチェックしたに違いない。
ややあってギルバートはふうっと息をつくと、気を取り直した様子でこちらに方向転換をし、ゆっくりと歩き出した。
メルは咄嗟に壁を抜け、建物の外側に身を隠す。
(見つかったらまた逃げられちゃう)
メルはただ、彼と少しだけ話をしてみたいだけなのに。
むうっと膨れると、メルはギルバートが通り過ぎるのを待った。
(そろそろいいかしら)
しばらく待ってから再び顔を建物の中に突っ込むと、ギルバートは廊下の突き当たりにある階段を昇ろうとしているところだった。
メルは見つからないように距離を大きく取り、物陰や壁の中に身を隠しながら彼の後を追いかけた。
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