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絆されて 02 ※

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 ユベールはそこだけを露出させ、再びマリーに覆い被さってきた。

 そこはすでに大きく勃ち上がり、先走りをだらだらと流している。マリーを求めて涎を垂らしているように見えた。

「ま、待って下さい」
「待てない」

 ユベールは荒い息をつき、マリーの入口に押し当ててきた。
 先走りとマリーの愛液が混ざり合う。くちゅりという水音がいやらしい。

「本気で嫌なら思い切り抵抗して欲しい。そしたら我慢するから……」

 縋り付くような眼差しを向けられ、マリーはユベールを押し戻そうとする手の力を緩めた。

 ユベールのこの目は卑怯だ。何でも許してあげたくなる。

 マリーの態度を肯定と受け取ったのだろう。ユベールは嬉しそうに表情を緩めた。
 そして何度か腰を前後させ、先端に互いの体液を纏わせる。そして、入口を指で広げ、性器の先端を中に埋めてきた。

「初めてだから、上手く出来なかったらごめん」

 囁きの後、みち、と性器が押し入ってきた。

 痛い。
 初めては痛いものだと言うが、隘路を切り開かれる痛みにマリーの視界が潤んだ。

「っ、い、たぁ……」
「すまない、痛いのか? やはり魔力を……」
「まりょくは、駄目です。がまん、しますから……」

 はあはあと息をつきながらマリーはユベールを見上げた。
 魔力を流されると気持ち良いが訳がわからなくなる。それは嫌だと思った。

「ごめんなさい、わたしも、はじめてで……」
「初めてじゃなかったら相手を殺してる」

 物騒な囁きと共に頭を優しく撫でられた。

 少し戻って、また奥に。それを繰り返され、ユベールのものがちょっとずつ胎内に侵入してくる。
 治癒魔法は自分には使えないから、この痛みには耐えるしかない。

「ごめん、マリー、気持ちよすぎて……」

 謝罪とともに、ユベールが再奥まで入り込んできた。
 かと思うと、

「ぁ、くっ……」

 ユベールは眉を寄せ、何かを堪えるような顔をした。胎内の性器がひくひくと痙攣し、温かいものが注ぎ込まれるような感覚があった。

「もしかして、今、出てますか……?」

 尋ねると、図星だったらしい。ユベールの顔がかっと紅潮した。
 マリーは呆然として自分のお腹を見つめ、手を当てた。

「ここに今、ユベール様の……」

 赤ちゃんの素が注がれたのだ。
 そう思うと、いやらしさに気が遠くなって胎内がきゅうっと収縮した。

「マリー、そんな締め付けたら、また……」

 胎内のものが膨張し、みちみちと膣壁を押し広げてきた。

「んっ……」

 奥をぐん、と押し込まれて、むず痒いような感覚が走った。

「ごめんマリー、俺ばっかり気持ちよくなってる」

 蕩けた青い眼差しが申し訳なさそうにマリーに向けられる。

「痛いのは、だんだん治まってきましたから……それに、何か気持ちいい、ような……?」

 首を傾げながら告げると、ユベールは目を見張る。

「あの、奥を……」

 小さな声で囁くと、ぐり、と奥を小突かれた。
 マリーは小さく悲鳴をあげる。

「ここが気持ちいいのか……?」

 ユベールの性器がむず痒さを感じる一番奥を刺激してきて、マリーは体をくねらせた。

「あ、変な感覚、です。むずむずして……ひゃん!」
 どちゅん、と突き込まれ、頭の中に閃光が弾けた。

「ここ、コリコリしたのがある。マリーの一番奥かな……?」
「そんなの、わかんな……っ、……」
「マリー、可愛い。それに、俺も、気持ちい……」
 とろんとした眼差しでユベールはうっとりと呟いた。
 性器を最奥に擦り付けるようにゆるやかに動かされる。

「凄い、溢れてくる」

 ユベールの眼差しは、食い入るように結合部に注がれていた。
 破瓜の血と精液が混ざりあい、ほのかに桃色がかったものが、性器の動きに掻き出されてとろとろと零れている。

  胎内全体にお互いの体液が混ざりあったものが塗り込められていると思うと、卑猥さに頭がくらくらする。

「っ、ごめんマリー……」

 短い謝罪の言葉と同時に、ずちゅ、と腰を打ち付けられた。

「あっ、やっ、はげしっ……」

 唐突に始まった激しい律動に、我慢できないから謝ったのだとマリーは理解した。

「んっ、あ、やっ、あぁあ……」

 ぐちゅぐちゅと卑猥な水音が響き視界が揺れる。
 出て、入って、出て、入って。
 はあはあと荒い息をつき、目を閉じ眉根を寄せながら、ユベールは一心不乱に腰を打ち付けてきた。
 二人ともまだ着衣のままだ。それががっつかれているようでよりいやらしい。

「ごめん……気持ちい……」

 溶けた眼差しがマリーに向けられる。
 その間もユベールのものはマリーの中を出入りし、容赦なく膣壁を掻き抉ってくる。

 隘路を擦られるのはまだ少し引き連れるような痛みがある。でも奥をどちゅどちゅされるのは気持ちいい。一番先端の先走りを零すそこが一番奥に当たると、甘い快感が引き出されて些細な痛みなんて気にならなくなってくる。

 性器同士が一番深い部分で繋がりあって、まるでキスを繰り返しているみたいだ。
 ずちゅ、ずちゅ、とそこを突き込まれるとマリーのそこはユベールのものをきゅうきゅうと締め付けた。

 行かないで。もっと奥にいて。

「くっ……」

 小さく呻くと、ユベールは奥にぐりゅ、と先端を押し付けてきた。

「――――っ」

 マリーはぎゅっと目を瞑り、快感を堪える。膣壁が収縮し、ユベールの形を、太さを実感する。そしてひくん、と彼のものが痙攣するのがわかった。

 続いて温かなものがじわぁっと胎内に広がる。

 ああ、注がれてる。肉棒がひくつく度に、どぷどぷとユベールの子種が。

「ユベール様、婚姻契約を……」

 話し掛けるが、ユベールはマリーに覆い被さったまま答えない。

「あの、ユベール様?」
「まだ嫌だ」
「は?」
「だって契約したら魔力の質が同じになってしまう」
「それの何が嫌なんですか」
「勿体ない。マリーの魔力は気持ちいいから……」

 ぎゅうう、と抱き込んで囁かれ、マリーの頭にかあっと血が昇った。

「馬鹿なんですかあなたは! 離れてください!」

 流されたとは言え、なんでこんな人に体を許してしまったんだろう。マリーはユベールの下でもがいた。

「早く退いて下さい。さっさと契約を結んで浄化しないと子供ができちゃいます」

 重ねてそう言うと、ユベールは渋々とマリーの上から身を起こした。
 ずるりとユベールのものが抜け、どろりと中から注がれたものが溢れてくる。

 改めてユベールに抱かれた事を実感し、マリーは内心で頭を抱えた。

「ユベール様、嫌だじゃないんです。婚姻契約をしましょう」
 契約は、女の胎内に男の精がある状態でないと出来ない。

「こんな風になし崩しのようにするのは良くない。契約を一度結べばもう後戻りは出来ないんだ。だから今日はしない」
 ユベールはそう言うと、マリーの体に浄化の魔法を使った。

「ちょっと!」

 抗議は遅かった。浄化の魔法によって、マリーの体は一瞬にして清められてしまう。
 一般的に、交わってから半日以内に浄化の魔法を使えば妊娠はしないと言われている。

 マリーは諦めのため息をつき、服の乱れを直した。すると、背後から胴体にユベールの腕が巻きついてくる。

 マリーはぺちりとその手を叩いた。

「勘違いしないで下さい。これは一時の気の迷いですから! あなたが悪いんです! あなたの魔力で頭がぼうっとして……」

 やってしまった感が凄い。その気持ちのままにまくし立てると、巻き付く腕がぎゅうっと強くなった。

「それでもいい。マリーが許してくれるなら俺は何でもいいんだ」

(この人は……)

 ユベールのその言葉に、マリーの心に湧き上がったのは何とも言えない敗北感だった。



   ◆ ◆ ◆



「一つお聞きしたいんですがいいですか?」
「何だ」
「私を好きになったきっかけは治癒魔法をかけた事と仰っていましたよね。それは魔力相性が良くて気持ちよくなっちゃったから好きになったという事ですか?」
「……っ! 違う!」

 強く否定されマリーは首を傾げた。

「意識するきっかけになったのは間違いないが、マリーを好ましいと思ったのは、うちに馴染む為の努力をしている姿をずっと見てきたからだ。嫌々でも討伐に参加したり、母上にもかなり気を使ってくれていただろう?」
「……それはまぁ、そうですね」

 マリーは今までのあれこれを思い出し、ユベールから目を逸らした。

 その時である。時を告げる神殿の鐘の音が聞こえてきた。時計に目をやると、ユベールの部屋に来てから軽く二時間以上が過ぎていた。

「そろそろ戻らないと。……離して下さい」
「嫌だ」
「嫌だじゃないです。いつまでもここには居られません」

 まだマリーの体にはユベールの腕が巻きついている。
 ユベールの力には抵抗できない上に、魔力を流すという手段も使えないのが腹立たしい。

「少し冷静になって考えたいんです。ユベール様もお仕事があるんですよね?」

 淡々と諭すと、ユベールは渋々という表情でマリーを解放した。



 乱れた髪と服を直し、マリーは逃げ出すように自分に割り当てられた部屋に戻った。すると部屋にはミラが待機しており、探るような目を向けられた。

「お嬢様、ユベール様と何かありましたね?」

 ミラに隠し事はできない。かあっと頬を染めると、ミラは何かを察したように、はあっとため息をつくと肩を落とした。

「私のお嬢様があの馬鹿に……」
「何も! 何もないわよ! ちょっとお部屋でお話をしただけで……」

 我ながら苦しい説明だ。髪型が変わっているのだ。ミラにはきっとお見通しだろう。

「……深くは聞きませんよ。想像もしたくありませんし。ただ関係改善がされた事は察しました。察しましたとも」

 深く突っ込まれなかったのは助かったが、ちっと舌打ちをするミラが何となく怖い。

「ミラはお嬢様が幸せになるならそれでいいんです。いいんですけどね……かくなる上は今後浮気などしないようきっちりと監視するのみですよ」

「……もしかしてミラ、私がこちらに嫁ぐ時、ついてくるつもりだったりする?」

「当たり前ではありませんか! 今回こちらに来たのはこちらに顔を売る為ですし」

 さらっと言われ、マリーは目を瞬かせた。

「侯爵家への根回しはルカリオ様からやって頂いてますので大丈夫ですよ。お嫁に行ったとしてもミラはマリー様のお傍にいます」

 当たり前のように言われ、マリーは目を丸くする。

「それともミラのこの気持ちは迷惑ですか?」

「そんな訳ないわ! ミラがこちらに着いてきてくれるならとても嬉しいし心強いけど……いいの? ミラもそろそろ適齢期でしょ?」
「生憎相手がおりませんので。それに今は男性よりも、お嬢様のお傍にいる方が楽しいですから」

 そう言ってミラはふわりと笑った。

 お嬢様には幸せになって欲しい。幸せになっては欲しいがその相手がユベールというのは物凄くむかつく。

 ミラの微笑みの裏には複雑な感情が渦巻いていたのだが、マリーには知る由もなかった。
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